1.青魚のおもな種類
青魚とは、サバ、マグロ、アジ、イワシ、サンマなど背の青い魚のことをいいます。青魚には、血液を若く保つなどの効果が期待できるDHAやEPAなどが豊富に含まれており、健康維持に役立つ食品として注目されています。
しかし、近年では、日本人の「魚離れ」が進んでいるといわれています。
1人あたりの魚介類の消費量について、平成24年の調査では、平成13年の調査に比べて約3割も減少傾向が見られました。
さらに平成18年には、1人一日あたりの肉類の摂取量が魚介類の摂取量を上回り、その差が年々広がっているのです。年齢別に見た場合も、男女問わず70歳以上まで魚介類を食べる量が減少しており、若者から高齢者まで魚よりも肉を好む傾向が見て取れるようになっています。
2.青魚に多く含まれる栄養素とその働き
青魚にはどのような栄養素が含まれているか見ていきましょう。
2-1.DHA・EPA
DHAとEPAは、脂肪酸の一種です。人間の体内ではほとんど合成されず食事から摂る必要があることから、必須脂肪酸と呼ばれています。
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脂肪酸の種類
脂肪酸は大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸にわかれます。
飽和脂肪酸は牛脂や乳脂肪・ラードなどおもに動物性の脂肪に含まれていて、常温で固まりやすいことが特徴です。
不飽和脂肪酸はさらに一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸にわかれます。多価不飽和脂肪酸はさらに「n-3系脂肪酸」「n-6系脂肪酸」にわかれ、DHAとEPAはn-3系脂肪酸に分類されます。
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DHAとEPAの特徴
DHAやEPAは私たちの全身に存在している構成成分で、健康を維持するうえで貴重な栄養素です。ともに血液をサラサラにする成分を持ち、血管年齢の老化防止に寄与しています。また、それぞれは以下のような働きを持ちます。
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n-3系脂肪酸の目安量
厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)では、DHA・EPAに加えてα-リノレン酸を含むn-3系脂肪酸の目安量が示されています。
n-3系(オメガ3)脂肪酸の目安量(一日あたり)
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男性 |
女性 |
18~29歳 |
2.0g |
1.6g |
30~49歳 |
2.0g |
1.6g |
50~64歳 |
2.2g |
1.9g |
65~74歳 |
2.2g |
2.0g |
75歳以上 |
2.1g |
1.8g |
ただし、妊娠中や授乳中の女性は20代~40代までの女性の目安量と比較して、同等かわずかに多い目標量が定められています。妊娠中は胎児の器官形成のため、授乳婦は母乳の分泌のためにもn-3系脂肪酸の摂取が大切です。
2-2.タウリン
タウリンとはアミノ酸の一種です。イカ・タコ・貝類などのほか、青魚のなかではマグロの血合い肉に多く含まれています。
水溶性で水に溶けやすいため、タウリンを多く含む食品は汁ごと摂取できるスープや鍋物などに利用することがおすすめです。
体内では肝臓の解毒能力を増強させたり、インスリン分泌を促したり、血圧を正常に維持するなどの働きがあります。
2-3.アンセリン
アンセリンとは2つのアミノ酸が結合したジペプチドと呼ばれる成分です。
マグロやカツオに多く含まれており、体内では抗酸化作用や、pHを一定に保とうとする働きが期待されています。
2-4.分岐鎖アミノ酸
分岐鎖アミノ酸はBCAAとも呼ばれ、アミノ酸の一種であるバリン・ロイシン・イソロイシンの総称です。これらは体内で合成できないため、「必須アミノ酸」と呼ばれています。
BCAAは筋肉のエネルギー源となり、おもにマグロの赤身・カツオなどに多く含まれています。
3.栄養が豊富な青魚を使ったレシピ
ここでは、青魚を使った簡単レシピをご紹介します。あと1品欲しいときにぜひ作ってみてください。
3-1.しめさばとレモンのカルパッチョ
青魚を積極的に摂ろう
近年、日本人は若者から高齢者にいたるまで、魚離れが進んでいます。しかし、マグロやサバなどの青魚には、DHAやEPAをはじめとした健康に役立つ栄養が豊富です。そのため、積極的に摂ることが推奨されます。
調理が苦手であったり、時間が取れなかったりという人は、缶詰や総菜などもうまく利用し、日々の食事に魚を取り入れるようにしてみましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。