50代の体型維持に必要なこととは?
肥満者の割合や体型を維持するメリット

若い頃は痩せていたり、太ってもすぐに痩せられたりしていたのに、年を重ね、50代になってからは体型維持が難しくなってきた……と実感されている方は少なくないのではないでしょうか。

この記事では、50代になって体のことが気になってきた方、健康に気をつけたいけどどれくらい気をつけたら良いのかわからないという方に向けて、50代の体型維持に必要な知識を説明します。

必要なエネルギー量の目安、50代で肥満となる方の割合、肥満対策の方法について紹介します。

1.50代に必要なエネルギー量

体型維持や肥満対策のためには、食事によるエネルギーの摂取量と、運動や基礎代謝による消費のバランスが適切である必要があります。

必要なエネルギー量は「基礎代謝量×身体活動レベル」で求めることが可能です。

ここではまず、必要なエネルギー量の目安を知るために必要な知識である、基礎代謝量と身体活動レベルについて説明します。

1-1.基礎代謝量

基礎代謝量は動いていないときでも臓器や組織で消費されるエネルギーのことです。

人が1日に消費する総エネルギーの内訳は、運動による消費が約30%、食事による消費が約10%、基礎代謝が約60%を占めていると考えられています。

エネルギー消費の過半数を占める基礎代謝ですが、体重1kgあたりの基礎代謝量の代表値である基礎代謝基準値と、年齢ごとに異なる平均体重である参照体重を掛けることで求められます。

例えば、50歳~69歳の基礎代謝基準値は男性が21.5、女性が20.7で、参照体重は男性が65.3kg、女性が53.0kgです。

これらをそれぞれ掛け合わせると、50代男性の基礎代謝量は21.5×65.3=約1400(kcal/日)、50代女性は20.7×53.0=約1100(kcal/日)となります。

1-2.身体活動レベル

人が何をどれだけ食べるべきかは、個人の年齢や性別とともに、身体活動レベルの指標を用いて判断されます。身体活動レベルは、以下の3つの区分に分けられます。

レベルⅠ:普段の生活では座っていることがほとんどの方。
レベルⅡ:座っていることが多いものの通勤や買い物、軽いスポーツなどをする方。
レベルⅢ:移動や立っていることが多い方、スポーツなど体を動かす習慣がある方。

身体活動レベルは男女共通の値になり、年齢別に該当する数値があります。50歳~69歳の場合、レベルⅠは1.50、レベルⅡは1.75、レベルⅢは2.00です。

ご自分の身体活動レベルがわかったら、先ほど求めた基礎代謝量(男性1400kcal/日、女性1100kcal/日)に掛けて、必要なエネルギー量を計算してみましょう。

これによって、1日に必要とされる推定エネルギー必要量を計算することができます。例えば、50代男性・身体活動レベルⅠの方の推定エネルギー必要量は、1400kcal×1.5=2100kcal となります。

2.50歳になると太りやすい?

ここでは50代の方々のうち、どれくらいが肥満に該当するのか、また、体型維持のメリットについて説明します。

2-1.50代の肥満者割合

肥満の判定にはBMI指数が用いられ、25以上が肥満と考えられています。体重(kg)を身長(m)の2乗で割ると求めることができるため、気になる方は一度計算してみましょう。

50代の場合、男性では39.2%、女性20.7%がBMI25以上との調査結果があり、特に男性においては他の年代と比べても高い傾向にあります。

このように、肥満者の割合は上回っている傾向が見られます。これを機に健康な体を維持するためにはどうしたら良いか、以下を参考に考えてみましょう。

2-2.健康な体を維持するメリット

健康な体を維持することは、生活習慣病の予防につながります。腹囲が基準を超え(内臓型肥満)、さらに高血圧・脂質異常・高血圧のうち2つが重なるとメタボリックシンドロームに該当します。

運動をすると体内の糖分や脂質が消費され、内臓脂肪の減少が期待できることから、上記のような生活習慣病のリスク軽減が見込めるでしょう。

また、運動をすることには精神的なメリットもあります。自分が心地良く感じられる程度の運動をすると気分がリフレッシュできたり、不安に感じていたことを前向きに考えられるようになったりすることも期待できるでしょう。

3.50代で体型維持するためには?

内臓脂肪を減らすための運動は、有酸素運動が良いと考えられています。どのような運動を行なうかより、自分に合った方法を選んで、よりエネルギーの消費率を上げていくように取り組むことが大切です。

例えば、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病の改善では、中程度以上の運動量で毎日30分以上を目標に有酸素運動を実施することが推奨されています。

また、食後30~60分以内に行なう軽い運動は、食事で摂った糖分が脂肪になる前に消費されると考えられています。ただし、あまり激しい運動をすると消化に必要な血液が胃ではなく筋肉に使われてしまい、消化不良にもつながるため注意が必要です。

食事については、バランス良く栄養を摂ることが大切です。炭水化物を摂らない方法で痩せようとする方もいますが、体は糖質からエネルギーを作れなくなると筋肉などのタンパク質を分解してエネルギーにしてしまうという注意点があります。

筋肉がなくなると基礎代謝や運動量にも影響し、逆に太りやすい体になってしまうため、適度に炭水化物も摂るようにしましょう。

自分に合った運動と食事で健康な毎日を送りましょう

50代では、統計上、肥満に該当する方の割合が他の年代に比べて多く、また、健康のために何らかの行動を起こしている方の割合が少ない傾向にあります。

50代は基礎代謝量も落ちるため、若い頃はすぐに痩せられても、なかなか同じようにはいきにくいものです。そのため、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを知るために、現在の基礎代謝量と身体活動レベルを確認し、目安となる必要エネルギー量を把握しましょう。

また、体型維持を心がけて行動することでどのようなメリットがあるのかをあらためて知ることも大切です。本記事でお伝えしたように、体型維持を実現するには、適度な運動とバランスの良い食事も大切で、これらは生活習慣病の予防にもつながるため、一石二鳥の行動といえます。

ご自身の生活習慣を今一度見直し、少しずつ健康に対する意識を高めていきましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医