1.ED(勃起障害)の原因となる4タイプ
EDが起こる原因には、おもに次の4つがあります。
1-1.器質性ED
血管や神経の障害によって起こるタイプです。勃起は、海綿体に血液が流れ込むことで起こりますが、それがなんらかの原因により血液が流入しづらくなると、勃起が成立しにくくなります。原因として考えられるのは、神経の異常、高血圧や脂質異常症などです。
1-2.心因性ED
心因性EDとは、精神的なストレスが原因で起こるEDのことです。カウンセリングなどで原因を明確にして根本から治療する必要があります
1-3.混合性ED
混合性EDとは、器質性EDと心因性EDの両方が絡んで起こるEDです。
EDはどれか一つだけが原因になっていることもありますが、多くは複数の原因が絡んでいます。そのため、きっぱりと「EDの原因はこれです」ということはなく、「心因性EDがおもな原因のED」のように原因を絞らず範囲を広げていうことが一般的です。
1-4.薬剤性ED
薬剤性EDとは、服用している医薬品の影響で起こるEDのことを指します。抗うつ薬などはEDを引き起こすことがあると知られている医薬品です。
2.ED(勃起障害)の改善が期待できるセルフケア
EDを改善する方法としては、薬を使った治療を行なったり生活習慣を改めたりする方法が挙げられます。薬による治療は病院を受診する必要がありますが、生活習慣を改める方法は今すぐ自分でできるものです。近頃、いつもと比べて元気が足りないと感じている方は、まずはセルフケアを始めてみましょう。
2-1.ストレスを解消する
勃起に関係しているものに男性ホルモンがあるといわれています。しかし男性ホルモンは、加齢やストレスの影響で減ってしまうものです。加齢にあらがうことは難しいですが、ストレスは心がけ次第で解消することができます。体を動かしたり、深呼吸してみたり、好きな音楽を聴いたりしてストレスの解消に努めてください。
2-2.禁煙
喫煙は、血管内皮にダメージを与えたり陰茎へ向かう血液の流れを悪くしたりすることから、EDのリスクを高めることで知られています。そのため、喫煙者にとって禁煙は有意義なものであるといえるでしょう。
また、喫煙は高血圧の原因にもなりえます。その高血圧がEDを引き起こすという悪循環を招くことにもなりかねません。さらに、高血圧の治療のための降圧薬によってもEDが引き起こされることもあるため、喫煙はさまざまな方向からEDのリスクを高めます。喫煙している方は禁煙を心がけましょう。
2-3.適度な運動をする
EDは、ED治療薬の使用に加えて運動を行なうことで症状がより改善しやすいというデータがあることから、適度な運動が効果的であるとされています。また、運動不足もEDの原因の一つです。
適度な運動は、男性ホルモンの分泌量を増やす働きもあります。男性ホルモンは勃起機能と密接な関係があるため、運動を取り入れることでEDの改善につなげられるでしょう。運動は肥満の解消にも効果的です。肥満もEDの原因となるので、運動不足の方や体重が気になる方は毎日の生活に運動を取り入れてみてください。
ED改善はセルフケアから始めてみよう
EDには、血管や神経が障害される器質性ED、精神的なストレスで起こる心因性ED、器質性EDや心因性EDの両方が絡み合って起こる混合性ED、薬の副作用によって起こる薬剤性EDなどがあります。EDを改善するには薬を使う方法もありますが、まずはセルフケアを試してみるのもよいでしょう。
ストレス解消や禁煙、減量や適度な運動はEDを改善できるといわれています。一度にすべて行なう必要はありません。まずは自分ができそうなものから試してみてはいかがでしょうか。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。