目次
1.肌の潤いが不足してしまう原因とは?
肌がひどく乾燥しがちな人と、そうではない人。いったい何が違うのでしょうか?
「乾燥肌は体質だから仕方ない……」と体質のせいにしてしまいがちですが、肌の潤いが不足してしまう原因は大きく「バリア機能の低下」と「季節要因」に分けられます。
1-1.バリア機能の低下
肌の潤いが不足してしまう原因の1つ目は、肌の「バリア機能の低下」です。
皮膚は、体の内と外との境界線です。健康な皮膚は、最も外側にある「角質層」がバリアとなって、病原体やアレルゲンなどの侵入を阻止する「防護壁」のような役割と、体内の水分が体の外に出ていくのを防ぐ「保湿機能」としての2つの役割を担っています。これを肌の「バリア機能」といいます。
このバリア機能が何らかの原因で低下すると、肌に蓄えられた水分が体の外へ出ていきやすくなり、その結果、肌の潤いが不足してしまいます。つまり、肌の潤いを保つにはバリア機能がしっかりと働くことが必要不可欠です。
では、バリア機能が低下してしまう原因として、どのようなものが挙げられるのでしょうか?
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加齢
肌のバリア機能を保つために重要な角質層の成分として、以下の3つが挙げられます。
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1.皮脂膜
「皮脂膜」は、皮膚の表面を覆っている部分です。皮脂と汗が混ざり合ってできています。
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2.天然保湿因子(NMF)
「天然保湿因子」は、皮膚が作り出す天然の保湿剤のようなものです。角質層に存在し、水分を保持することで肌をしっとりさせる役割を担っています。
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3.角質細胞間脂質
「角質細胞間脂質」は、皮膚のバリア機能や水分保持機能に特に重要な役割を担っており、角層細胞の間に存在する脂質のことを指します。また、角質細胞間脂質の約50%が「セラミド」という脂質で構成されています。
潤いのある正常な肌は、「天然保湿因子」を含む「角質細胞」がレンガのように積み重なり、その隙間を「セラミド」をはじめとする「角質細胞間脂質」が満たしています。
これらは、年齢を重ねるごとに減少していくことが知られています。そのため、年齢とともに肌のバリア機能が低下し、乾燥しやすい肌へと変化していきます。
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生活習慣
バリア機能は、ちょっとした生活習慣によっても低下します。
例えば、お風呂で熱いお湯につかると、皮脂膜が溶け、肌のバリア機能を保つのに必要な「皮脂」が流されて、角質層内の保湿成分の流出につながりやすくなってしまいます。寒い冬は熱い湯船でじっくり温まりたくなりますが、肌の潤いを守るためには、お湯の温度は「ぬるめ」がおすすめです。
また、体を洗うときに、タオルやスポンジでゴシゴシこすることも皮脂を流してしまう原因になります。石鹸やボディーソープをよく泡立て、手のひらを使ってやさしく洗いましょう。
他にも、食生活の乱れによりセラミドが不足することも、バリア機能の低下につながります。セラミドを多く含む食品として代表的なものは、大豆、胚芽部分を含む米、ほうれん草、ヨーグルトなどです。これらを含め、バランスの良い食事を心がけましょう。
1-2.季節要因
肌の潤いが不足してしまう原因の2つ目は、「季節要因」です。
たとえバリア機能が低下していなくても、肌の表面にある角質層の水分が不足すれば、肌は乾燥してしまいます。角質層の水分量は、季節の状況にも左右され、増えたり減ったりするのが特徴です。
例えば、角質層の水分は「汗の水分」が蓄えられたもので、汗をかきにくい寒い季節は肌が乾燥しやすくなります。また、気温の低下や暖房の効かせすぎが原因で空気が乾燥しているときにも、角質層の水分が蒸発しやすくなり、肌は乾燥してしまいます。