自律神経失調症の改善に効果的なこととは?
普段の生活で気を付けるべき点を解説

ストレス社会という言葉を耳にする機会が多くなりました。

ふとしたことでイライラしたり、眠りが浅くなったり、めまい、頭痛というような症状で悩んでいる方は、自律神経の働きが乱れていることが原因かもしれません。

そこで今回は、自律神経が乱れることによる自律神経失調症について解説します。

1.自律神経失調症とは?

自律神経は、人の意思を問わず汗をかいたり、消化吸収をしたり、気温に合わせて体温を調節したりと、体の機能を維持するために働くもので、正反対の働きをする交感神経と副交感神経にわけられます。
交感神経と副交感神経はそれぞれ下記のような働きをするものです。

【交感神経】

  • ・主に朝起きてから寝るまで機能している

  • ・血圧や心拍数を上げる

  • ・瞳孔が開く

  • ・排尿・排便を止める

【副交感神経】

  • ・主に眠りに入るときやリラックスをしているときに機能している

  • ・血圧や心拍数を下げる

  • ・胃や腸などの消化器の働きを活発にする

  • ・唾液が出る

  • ・排尿・排便を促す

通常はこの2つの神経それぞれがバランスをとりながら体の機能を維持しています。

しかし、強いストレス、睡眠不足などの不規則な生活、更年期に見られるホルモンの乱れなどが原因となってこのバランスが崩れることにより、自律神経失調症と呼ばれるさまざまな不調が現れるのです。

2.自律神経失調症のおもな症状

自律神経失調症で見られる症状は、全身的・器官的・精神的に見られ、多岐に渡ります。ここからは、それぞれの症状の具体例について紹介をします。

2-1.全身的症状

  • ・体がだるい

  • ・ぐっすり眠れない、眠りが浅い

  • ・寝ても疲れがとれない

2-2.器官的症状

  • ・のぼせ

  • ・冷え

  • ・頭痛、めまい、立ちくらみ

  • ・動悸

  • ・息が切れる

  • ・下痢や便秘

2-3.精神的症状

  • ・些細なことでイライラする

  • ・怒りっぽくなった

  • ・憂うつ

  • ・やる気がおきない

  • ・涙が出やすくなった

  • ・些細なことで落ち込みやすくなった

3.自律神経を整えるためにできること

自律神経失調症は、自律神経のバランスが崩れることによって症状が出るものです。それらの症状を改善するために、病院へ通い、ホルモン剤を使うなどの症状を和らげる対症療法や、睡眠の周期を改善するための行動療法などを受ける方もいます。

しかし自律神経失調症の症状は、原因となるストレスへの対処をしたり、睡眠や食事の仕方を見直したりすることで、改善が見込める場合もあるのです。

ここからは、自律神経を整えるために心がけるポイントをお伝えしますので、普段の生活に取り入れてみてください。

3-1.メンタル面で心がけられること

メンタル面で自律神経を整えるために心がけるポイントは、「ストレスをコントロールすること」です。

ストレスはこまめに解消しないと蓄積していく一方で、やがては心や体への不調につながります。しかし、溜まったストレスを一人で解決するのはなかなか難しいものです。そのため、人に相談したり、生きがいとなる趣味を見つけたりすることが必要でしょう。

普段からリラックス効果のある音楽をすき間時間などに聴くのも効果的です。音楽には自律神経の乱れを改善する効果があるといわれています。

風の音や鳥のなき声、木々のそよぐ音など自然の音が入っている音楽がおすすめです。

3-2.生活習慣で心がけられること

生活習慣で心がけるポイントは3つです。

  • ・食事

  • ・運動

  • ・規則的な睡眠

食事は栄養バランスを考え、一日3食しっかり食べるようにしましょう。バランスの良い食事とは、主食はもちろんのこと、肉や魚などの主菜・野菜を使った副菜・乳製品(牛乳1本が目安)・果物をそろえて食べることです。

運動は、すぐに始められるウォーキングがおすすめです。ウォーキングなどの有酸素運動は、疲れやストレスを和らげる効果が期待できます。朝食前もしくは朝食を食べたあとにすることがおすすめです。朝の運動は、血糖値が上がるのを抑えることができ、頭の中がスッキリします。

規則的な睡眠も自律神経を整える効果が期待できます。毎日同じ時間に床につくことは、質の良い睡眠にもつながるものです。また、寝る直前にパソコンやスマートフォンを見るのを控えることも、質の良い睡眠を得るコツです。

自律神経失調症の改善にはストレスを溜めないことが鍵

自律神経失調症は、ストレスなどによって自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが崩れてさまざまな症状が見られる状態です。おもな原因はストレスのほか、睡眠不足などの不規則な生活、更年期に見られるホルモンの乱れなどが挙げられます。
普段からストレスを溜めないように、困ったことがあったら誰かに相談したり、趣味に没頭したりするなど、ストレス解消法を見つけておくとよいでしょう。その他にも、バランスの良い食事や運動・規則的な睡眠も自律神経による不調の改善が期待できます。

症状が改善しない・よりひどくなったという場合には、無理せずに医療機関にかかるようにしてください。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。