朝が苦手な理由と朝を得意にするための対策方法を紹介

寝たはずなのに、朝から「疲れている」「だるい」「布団から出られない」という人は多いのではないでしょうか。
このような症状が続いていると、心や体の健康を害してしまう可能性があります。

今回は、朝が苦手な人の3つの特徴と、苦手な朝を克服するための対策方法について解説します。できることからはじめて、朝から快適に過ごせる毎日を目指しましょう。

1.朝が苦手な人の特徴は3つ

朝が苦手な人の特徴は、大きく分けて以下の3つです。

1-1.体内時計が夜型になっている

  • 夜更かしの習慣がある

    夜寝る前にスマートフォンやゲームなどに熱中したり、パソコン仕事やテレビを見たりして夜更かしするのが日課になっている人は、朝が苦手ということが多いのではないでしょうか。こういった行動は、目から入る光の刺激が目覚めを助長するため、不眠の原因になるのです。

    若い世代では平日と比べて、休日は起床時間が2~3時間ほど遅くなる傾向があります。
    これは、平日の睡眠不足をカバーする意味がありますが、一方で、人間の脳内で生体リズムを調節する役割を持つ体内時計のリズムを崩す原因になっているのです。

  • 起床時間が遅く、暗いままの部屋でダラダラしている

    朝暗いままの寝室でダラダラと過ごしていると、起床直後の日光による体内時計のリセットがうまくできず、体内時計が夜型化してしまいます。

    その結果、夜の睡眠の準備が遅れ、朝寝坊につながる悪循環に陥ってしまうのです。

1-2.睡眠不足

日本の成人の平均睡眠時間は6時間以上8時間未満です。睡眠時間は季節によっても変化が見られ、夏は短くなり、冬は長くなります。

しかし、さまざまな理由から睡眠時間が削られ、睡眠の満足度が低下するケースがあります。

厚生労働省の保健福祉動向調査(2000年)によると、男女別で睡眠不足になる理由が異なることがわかりました。

男性が睡眠不足になる理由は「仕事・通勤・通学・勉強などで睡眠時間がとれない」ことが40.2%で最多です。

一方女性は「悩みやストレスなどから」が30.4%と一番多くなっています。年齢別では、24歳以下は「仕事・通勤・通学・勉強などで睡眠時間がとれない」「自分の趣味で夜更かししたから」が原因の多くを占め、25~34歳では「育児のため」とする方が多い傾向に見られました。

また、年齢によって睡眠時間に変化が見られるケースもあります。
10歳代前半までは8時間以上、25歳では約7時間、45歳には約6.5時間、65歳では約6時間となるように、健康で持病がない人は、睡眠時間が20年ごとに30分程度ずつ減っていく傾向があるのです。

特に男性は女性よりも、加齢によって早寝早起きになる人が多いとされています。

年齢を重ねるごとに睡眠時間が短くなっていくことは自然なことです。昼間の生活に困らない程度の睡眠が適度であることを知っておくとよいでしょう。

1-3.眠りの質が悪い

  • 必要以上に早寝をしている

    夜更かしが睡眠不足の原因になるからといって、早めに布団に入れば良いかというとそうではありません。
    必要以上に長い時間、寝床に就いていると途中で目覚めることが多くなり、不眠を招く可能性が高くなるのです。

    ところが多くの高齢者は、生理的な睡眠時間は加齢とともに短くなるのにも関わらず、年を重ねるにつれ、寝床に就いている時間は長くなる傾向があります。必要以上に早寝するのは逆効果になる場合もあるので注意が必要です。

  • 心のバランスが不安定になっている

    睡眠による休養感が低い人ほど、心のバランスが不安定になってしまいます。

2.苦手な朝を克服する方法

朝を快適に過ごすための対策方法は、大きく分けて以下の3つです。

2-1.眠りと目覚めのメリハリをつける

朝から健康的に過ごすために、適度な運動と朝食を摂って、眠りと目覚めのメリハリをつけましょう。
適度な運動をすることで寝入りがスムーズになり、中途覚醒の削減につながります。

また、朝食を摂ることで寝ぼけた体を目覚めに誘導してくれますが、一方で、寝る直前の激しい運動や夜食の摂取は、寝入りを悪くするため控えたほうがよいでしょう。

2-2.寝る前のカフェイン摂取・喫煙を避ける

寝る前のカフェイン摂取や喫煙は、睡眠の質を悪くするため控えるのがおすすめです。

寝る前のカフェイン摂取は、カフェインの覚醒作用により寝入りを妨げ、睡眠を浅くする可能性があります。また、利尿作用により夜間のトイレ回数が増える原因にもつながるのです。寝る前には、カフェインが含まれるコーヒーや栄養ドリンク剤・ココア・緑茶・紅茶などは控えましょう。

また、タバコに含まれるニコチンにも覚醒作用があるので、控えたほうがよいでしょう。

2-3.眠る環境を整える

睡眠をとりまく環境を整えることは、よく眠るために重要なポイントとなります。

  • 寝室の騒音・光・温度・湿度

    寝室は静かで暗く、温度や湿度を適切に保つことが大切です。
    寝室の許容室温範囲は13度から29度で、冬場は低めに夏場は高めとなりますが、ベッドや布団の中に入ったときに体の付近が33度前後の状態が理想的だとされています。
    湿度は50%程度が最適です。

  • 寝具の温度

    私たちの体は、体内時計の働きにより体の中から熱を放出して発汗することで、体温を下げて深い眠りを保とうとします。そのため、寝具は吸湿性・放湿性・保温性が良いものを選ぶのがおすすめです。

    冬場の寒さが厳しいときは、あらかじめ電気毛布や湯たんぽで布団の中を温めておきましょう。寝具が冷えていると、体温の放熱を抑えてしまうので深い眠りになりにくくなります。

  • 枕の高さ

    枕の高さは敷布団と首の角度が約5度になるのが理想的です。高さの合った枕で、なおかつ、頭部を支えられる弾力があるもの、素材は発汗に備えて吸湿性・放湿性の良い素材を選ぶことも重要となります。

  • ベッドマットや敷布団

    ベッドマットや敷布団は適度な硬さがあるものを選びましょう。
    私たちは上向きで寝ているときが過度に力むことなく特にリラックスした状態になっており、上向き姿勢で寝ている時間が多いほど寝心地が良いと感じるためです。

    寝返りは、睡眠中に体の同じ部分が圧迫され続けることによる体の負担を防ぐために生理的に行なわれます。

    ところが、やわらかすぎる布団では体が沈みこんでしまい、不自然な寝姿勢になってしまうのです。一方で硬すぎる布団では骨などを強く圧迫してしまうため、体に負担がかかってしまいます。その結果、体の負担を減らすために寝返りの回数が多くなるため、眠りの質が悪くなってしまうのです。

自分に合った睡眠を見つけて朝を快適に

朝に疲れを残さないためには、質の良い睡眠で脳や体をきちんと休めてあげることが重要です。
睡眠は運動や食事・喫煙などの生活習慣と同様に、健康に大きく影響を与えます。快眠できるように寝心地の良い寝具などを選び、寝室の明るさや室温などの環境を整えましょう。

また、寝不足になると翌日の仕事や勉強の作業効率が下がる可能性があります。
ライフスタイルは人それぞれなので、生活に合わせて寝る時間と起きる時間を一定にして適切な睡眠時間を確保することが大切です。

今回ご紹介した方法を参考に、朝から快適に過ごせる毎日を目指しましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医