寝不足による悪影響とは?理由や解消方法についても解説

寝不足により体がだるい、やる気や集中力が続かないなどさまざまな悪影響が生じます。しかし、いつの間にか寝不足に慣れてしまったという方も少なくないのではないでしょうか。

日本では他国と比べても十分な睡眠を取れない方が多いようです。寝不足を放っておくと思わぬ疾患につながることもあるため注意が必要でしょう。

この記事では、寝不足による悪影響や寝不足になってしまう理由、解消方法について説明します。

1.寝不足がもたらす悪影響

睡眠は生活時間の約3分の1を占め、人間にとって不可欠な生活習慣です。そのため、睡眠時間が短くなることで起こりうる体への影響は多岐にわたります。

まずは寝不足による悪影響について、身体的なものと精神的なものの2つに分けて説明します。

1-1.身体的な悪影響

寝不足がもたらす身体的影響は、糖尿病をはじめとした生活習慣病への罹患リスクが上がることの懸念です。糖尿病に関していえば、不眠を抱えている人はそうでない人と比較して、罹患リスクが2倍近く高いとの報告もあります。

さらに、甲状腺ホルモンやインスリンなどの内分泌などへの影響、代謝や免疫、倦怠感やめまい、食欲の低下なども睡眠不足により起こりうるものです。

1-2.精神的な悪影響

精神面では、睡眠不足、やる気や記憶力の低下などが考えられます。

また、睡眠不足は日中に強い眠気をもよおすものです。そのため、作業効率や注意力の低下などにも影響するでしょう。

実際、寝不足によって長距離を運転する方や新幹線や船などの運転手が事故を起こした例もあります。

2.寝不足になるおもな原因

寝不足の原因にも、身体的な原因と精神的な原因が挙げられます。

2-1.身体的な原因

身体的な原因としては、あらゆる疾患や症状などが関係していることがあります。例えば、咳などで呼吸がしにくいことや、関節リウマチなどによる体の痛み、アレルギー疾患などによりかゆい症状がある場合は寝不足の原因になります。

また、疾患とは関係なくコーヒーや紅茶、緑茶などのカフェインやタバコのニコチンが刺激物となり眠りにくくなる場合や、寝室の環境が良くないことが眠れない原因となることもあるでしょう。

2-2.精神的な原因

一方、精神的な原因としてはおもにストレスや心の病気などが挙げられます。寝不足が続くと、眠れないこと自体がストレスとなる場合もあります。

上記以外では、夜勤などにより生活リズムが崩れることも原因となる場合があるでしょう。

3.寝不足を解消するためにできること

不眠の原因として考えられることは複数あるため、まずはそれぞれ思い当たる原因に対処することが大切です。

ここでは寝不足の原因に対処するため、快眠のためにできることについて紹介します。

3-1.体内時計を整える

まずは体内時計を整えることが大切です。平日や休日に関係なく就寝の時間と起床の時間を一定にして、規則正しい生活リズムを保ちましょう。

人間の体は強い光を浴びた14時間後に眠くなりやすくなるため、朝のうちに太陽の光などを浴びるようにしましょう。その逆に、夜は強い光を浴びると体内時計がずれてしまうため注意が必要です。

3-2.ストレス解消や運動

ストレス解消のために趣味に触れることが大切です。好きな音楽を聞いたり、本を読んだり、自分に合う方法でこまめにストレスケアを行ないましょう。

有酸素運動を行なうと快眠につながることや、脂肪燃焼などの健康効果にもつながることが期待できます。

またリラックスするために、ぬるめのお湯で半身浴をするとよいでしょう。深部体温が高まり、副交感神経が優位になることで、快眠に良いと考えられています。

3-3.寝る前に刺激物をとらない

寝る前の過ごし方については、コーヒーなどのカフェインやタバコを控えることが大切です。

入眠には飲酒が良いと思われる方もいますが、眠りが浅くなり睡眠の後半で覚醒する原因になりえます。そのため、お酒を楽しむ場合は、飲む時間帯や一日1合までなど節度ある適度な飲酒量を意識するとよいでしょう。

3-4.寝室の環境を整えること

寝室の環境については、まずは温度や湿度、光や音の具合を整えましょう。その次に自分の体に合った枕や敷布団、掛け布団を選ぶことが大切です。

寝具には良い寝相を保つ役割があるため、枕は後頭部から首の空間を埋める高さのものを、敷布団はやわらかすぎないように少し硬さのあるものを選ぶと体に負担をかけにくいと考えられています。

掛け布団については、寝汗の吸湿と放湿がされやすく、寝返りしやすいように軽いものを使用することが望ましいでしょう。

まずは寝不足の原因を見つけることから

寝不足による悪影響から、理由、解消方法について紹介しました。

寝不足の悪影響には糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病や、注意力の低下から大きな事故につながることなど、無視できないことが多くあります。

寝不足を改善するためには、原因に応じた対策を取ることが大切です。

まずはご自身の生活習慣や状況から、寝不足と関係していることがないか考え、無理のない範囲で寝不足の解消に取り組んでみましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。