目次
1.そもそもコレステロールの働きとは?
コレステロールは、血液中に含まれる脂質の一種です。健康に悪い影響を与えるというイメージが根強いですが、細胞膜や各種ホルモン、胆汁酸を作る材料であり、体にとって欠かせません。
しかし、コレステロールが多すぎると、血液中の余ったコレステロールが血管の壁に付着します。このプラークにより、血液の流れが妨げられます。
コレステロール値の上昇は、健康診断で指摘されて初めて気付くことも多いでしょう。「コレステロール値が高いと健康的ではない」といったイメージがあるため、毎回ドキドキしながら健康診断の結果を見る方もいるかもしれません。
今回は、LDL・HDLコレステロールの違いや、女性のコレステロール値が高くなる原因、改善するための食生活について解説します。
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コレステロールは、血液中に含まれる脂質の一種です。健康に悪い影響を与えるというイメージが根強いですが、細胞膜や各種ホルモン、胆汁酸を作る材料であり、体にとって欠かせません。
しかし、コレステロールが多すぎると、血液中の余ったコレステロールが血管の壁に付着します。このプラークにより、血液の流れが妨げられます。
コレステロールというと、「悪玉コレステロール」や「善玉コレステロール」という言葉を思いつく方も多いでしょう。
健康維持には、体内で悪玉コレステロールと善玉コレステロールの量が一定に保たれていることが必要不可欠です。これらのバランスが崩れ、各基準値を外れた状態は「脂質異常症」という疾患に該当します。
ここでは、「LDL(悪玉)コレステロール」と「HDL(善玉)コレステロール」の違いについて解説します。
LDLコレステロールの役割は、肝臓で生成されたコレステロールを全身に運ぶことです。「悪玉コレステロール」とも呼ばれています。
数値が正常範囲内なら問題ありませんが、LDLコレステロールは増えすぎると血管壁に付着していくのが特徴です。
LDLコレステロール値は140mg/dl未満が正常範囲です。血液検査の結果が140mg/dl以上であれば「高コレステロール血症」と診断されます。
HDLコレステロールの役割は、余分なコレステロールを全身から回収し、肝臓に戻すことです。「善玉コレステロール」とも呼ばれています。
HDLコレステロールの正常範囲は40mg/dl以上です。血液検査の結果、40mg/dl未満の場合は「低コレステロール血症」と診断されます。
女性には、コレステロール値が高くなりやすい時期があります。それは「更年期」です。
更年期とは、閉経前後の10年間を指します。更年期は、女性の体にさまざまな変化が現れる大きな転換期です。日本人女性の閉経年齢は平均で約50歳とされているので、45~55歳頃が更年期に該当するでしょう。
女性の体は、卵巣から分泌される女性ホルモンである「エストロゲン」や「プロゲステロン」の影響を受けています。エストロゲンは妊娠や出産に備えるだけでなく、LDLコレステロールを減らしてHDLコレステロールを増やします。
更年期に卵巣の働きが低下して女性ホルモンの分泌量が急激に減少すると、それまで保たれていたコレステロールのバランスが崩れやすくなります。その結果、脂質異常のリスクが高まるでしょう。
また、エストロゲンには内臓脂肪の燃焼を促す働きもあるため、更年期にエストロゲンの分泌が減少することで内臓脂肪もたまりやすくなってしまいます。
LDLコレステロールを減らしてHDLコレステロールを増やすために自分でできる対策として、まずは日々の食事を見直すことが重要です。
豆腐や納豆から摂られる大豆たんぱくは、コレステロールが体内に吸収されるのを抑える働きが期待されています。
また、オレイン酸やドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などの不飽和脂肪酸は、HDLコレステロールを維持したままLDLコレステロールを減らすとされる注目の成分です。
オレイン酸はオリーブ油、DHAやEPAはサンマ、アジなどの青魚に豊富に含まれるため、積極的に取り入れるとよいでしょう。その他、食物繊維にもコレステロールを低下させる働きがあるといわれています。
血管壁に付着したLDLコレステロールが過酸化脂質になるのを防ぐため、以下のような抗酸化作用の強い栄養素を摂取するのも効果的です。
・ビタミンC
・ビタミンE
・β-カロテン
・ポリフェノール など
摂取源としては、ニンジンやカボチャなどの緑黄色野菜、大豆製品、ごまなどが挙げられます。
食事以外の生活習慣では、喫煙や運動不足がHDLコレステロール減少の原因とされるため、喫煙する方は禁煙を検討し、運動不足の方は適度な運動を心がけましょう。
なお、コレステロール値の異常は自覚症状がないことがほとんどです。できれば定期的に健診を受けて、健康状態を正しく把握しておきましょう。
女性ホルモンには、LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす働きがあります。しかし、更年期になると女性ホルモンの分泌量が減少してしまうため、それまで健康だった女性も健康診断の数値が悪化してしまうかもしれません。
閉経後も健康的に過ごすため、この機会に生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。
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