風邪の症状とは?見分けがつきにくいほかの病気との違いを解説

冬になり、空気が乾燥してくると、風邪をひく人が増えてきます。風邪はさまざまなウイルスが原因となって起こりますが、人から人へと感染するため気を付けなければいけません。

また、風邪だと思っていても、実際には別の病気にかかっているケースもあります。類似した症状が出る病気は多くあるため、ほかの病気との判別が必要になるでしょう。

そこで今回は、風邪の症状と、風邪と見分けがつきにくいほかの病気との違いを解説します。

1.風邪の症状とは?

一般的に風邪とは、鼻汁などの鼻症状、のどの痛みなどの咽頭症状、咳や痰などの下気道症状が、同程度で同時に現れるウイルス性急性気道感染症のことを指します。発熱をともなうことも少なくありません。

典型的な風邪症状は、まず咽頭症状や微熱、倦怠感が現れて、次に鼻症状、下気道症状と続きます。発症から3日目前後が全体の症状のピークとなり、7~10日程度で症状が治まっていくのが典型的なパターンです。

ただし、上記のような流れで進まず症状が悪化する場合や、一度治まりかけた症状が悪化した場合などには、細菌感染症を合併しているおそれがあるでしょう。

冒頭で触れたとおり、風邪の原因の多くはウイルスです。風邪の原因となるウイルスは非常に数が多いため、型や種類の異なるウイルスに都度感染してしまうこともあります。

感染源には、次の3つのルートがあります。


  • ・飛沫感染
    風邪ウイルスに感染した人がくしゃみや咳をして、ウイルスを含んだ小さい飛沫が飛び散り、それを吸い込むことで起こる感染


  • ・空気感染
    上記の飛沫の水分が蒸発した状態のウイルスが空気中に浮遊し、それを吸い込むことで起こる感染


  • ・接触感染
    ウイルスが付着した手を介して、口や鼻などの粘膜から起こる感染

風邪はどの経路からでも感染するおそれがあるので、風邪をひいている人に近づかない、外出後のうがい・手洗いの徹底、マスクの着用などが風邪予防の基本といえるでしょう。

2.風邪と見分けがつきにくいほかの病気

風邪をひくと、鼻症状、咽頭症状、下気道症状などが出ますが、これらの症状を引き起こす病気はほかにもあります。

ここでは、風邪と同様の症状が見られる病気を紹介します。

2-1.インフルエンザ

インフルエンザウイルスに感染することでかかる病気です。風邪と同じく、喉の痛みや鼻汁、咳などの症状も見られるほか、38度以上の発熱や全身の倦怠感、関節痛、頭痛などの症状が見られます。

子どもの場合は急性脳症、免疫力が低下している人や高齢者の場合は二次性肺炎を起こし、重症となるケースもあるのです。

2-2.急性咽頭炎

急性気道感染症のなかでも、おもに喉の痛みが症状として現れる病気です。おもな原因はウイルス感染ですが、A群β溶連菌などの細菌感染の場合もあります。

2-3.急性(鼻)副鼻腔炎

急性気道感染症のうち鼻汁や鼻閉が主な症状の場合は急性鼻炎と呼ぶこともあります。

また急性鼻炎を発症した後、膿性鼻汁や、その鼻汁が喉頭に流れ込む副鼻腔炎症状が出現する方もいます。それら両方の症状がある場合、総括して急性鼻副鼻腔炎と呼ぶこともあります。

2-4.急性気管支炎

発熱や痰の有無に関係なく、おもに咳症状が出る急性気道感染症です。咳は2~3週間ほど続くこともあります。

おもな感染源はウイルスですが、一部はマイコプラズマや百日咳菌などからも発生します。

風邪の症状が現れたら、まずは風邪かどうか見極めよう

風邪というと、上気道から下気道感染症を含め、広い意味で使われることがあるため、風邪以外の症状も、風邪と認識してしまう人が少なくありません。風邪の症状に紛れて、深刻な病気が潜んでいるかもしれません。まずは、風邪なのかそうでないのかを見極めましょう。

風邪をひかないためには、風邪をひいている人に近づかないようにしつつ、こまめなうがい・手洗いやマスクの着用などを徹底することが大切です。そして、風邪をひいた場合には、しっかりと休むことが重要です。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医