【血圧の正常値とは】気を付けるべき生活習慣を解説

高血圧は、生活習慣病と大きな関係があるものです。そのため、血圧を正常に保てば、生活習慣病の予防につながると考えられます。「血圧を正常に保つために塩分を控えよう」と、聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

とはいえ、そもそも正常な血圧がどれくらいなのかを知らない方もいるかもしれません。そういった方のために、今回は血圧の正常値や高血圧の判断基準、血圧が異常値になる原因を詳しく解説します。

1.血圧の正常値とは?

正常な血圧とは、最大血圧(収縮期血圧)が120mmHg未満かつ、最小血圧(拡張期血圧)が80mmHg未満の状態を指します。

ただし、これは病院で測る場合の値となり、自宅で測るときは収縮期血圧が115mmHg未満かつ、拡張期血圧が75未満で正常です。

診察室血圧 家庭血圧
正常血圧 収縮期血圧:120mmHg未満
拡張期血圧:80mmHg未満
収縮期血圧:115mmHg未満
拡張期血圧:75mmHg未満
正常高値血圧 収縮期血圧:120~129mmHg
拡張期血圧:80mmHg未満
収縮期血圧:115~124mmHg
拡張期血圧:75mmHg未満

参考:e-ヘルスネット「高血圧」

2.血圧の概要と正常値以外の判断基準

ここでは、血圧の概要について解説します。また血圧には、正常よりも高くなる高血圧、逆に正常よりも低くなる低血圧があるので、それぞれどれぐらいの数値が該当するのかを見ていきましょう。

2-1.血圧の概要

血圧の話をするときに出てくるのが、収縮期血圧と拡張期血圧です。収縮期血圧は「上の血圧」「最大血圧」とも呼ばれ、心臓が収縮したときの一番高い血圧を示しています。

そして、拡張期血圧とは「下の血圧」「最小血圧」とも呼ばれるものです。これは、心臓が拡張したときの一番低い血圧を示しています。

2-2.高血圧の判断基準とは?

前述のとおり、正常よりも数値の高い状態が高血圧です。病院で計測した際の収縮期血圧が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧が90mmHg以上だと高血圧と判断されます。

なお、数値によって、下表のように高血圧の程度が変わります。

診察室血圧 家庭血圧
Ⅰ度高血圧 収縮期血圧:140~159mmHg
拡張期血圧:90~99
収縮期血圧:135~144mmHg
拡張期血圧:85~89mmHg
Ⅱ度高血圧 収縮期血圧:160~179mmHg
拡張期血圧:100~109mmHg
収縮期血圧:145~159mmHg
拡張期血圧:90~99mmHg
Ⅲ度高血圧 収縮期血圧:180mmHg以上
拡張期血圧:110mmHg以上
収縮期血圧:160mmHg以上
拡張期血圧:100mmHg以上

参考:e-ヘルスネット「高血圧」

2-3.低血圧の判断基準とは?

正常よりも数値の低い状態を低血圧といい、一般的には、収縮期血圧が100mmHg以下、拡張期血圧が60mmHg以下だと低血圧と判断されます。

低血圧に該当するからといって、治療が必要なわけではありませんが、血圧低下によって調子が悪い場合には治療が必要です。

3.血圧が正常値よりも高くなる原因と症状

血圧が高くなってしまう理由は、高血圧の種類によって異なります。高血圧には、二次性高血圧と本態性高血圧があるので、それぞれの原因を見ていきましょう。

二次性高血圧とは、なんらかの疾患が原因で起こる高血圧のことです。おもに、甲状腺や副腎などの腎臓の疾患が原因となります。

一方で本態性高血圧とは、特に疾患がないのに起こる高血圧のことです。高血圧と診断される日本人の多くは、この本態性高血圧に該当します。

本態性高血圧のおもな原因とされているのは、以下のような生活習慣や遺伝などです。特に日本人の場合は、食塩の過剰摂取が問題となっています。

  • • 食塩の過剰摂取

  • • 肥満

  • • 運動不足

  • • ストレス

  • • 遺伝

なお、高血圧は自覚症状がほぼない疾患です。自分で気が付くことは難しいため、定期的に健康診断や血圧測定を受けて、血圧を確認しておく必要があるでしょう。

4.血圧が正常値よりも低くなる原因と症状

血圧が低くなった際に見られる症状は、めまいや立ちくらみ、頭痛や疲れやすさなどです。

低血圧には、以下のような種類があります。

4-1.起立性低血圧

普段の血圧は正常であるものの、いきなり立ち上がったり起き上がったりすると、血圧が下がってしまいます。

4-2.症候性低血圧

脱水や熱中症などが原因で起こる低血圧です。原因となる疾患や症状を治療する必要があります。

4-3.本態性低血圧

他に疾患がなく、体質や遺伝によって血圧が低くなるタイプの低血圧です。低血圧と診断される方の多くは、この本態性低血圧に該当します。

5.血圧を正常値にするための生活習慣

高血圧は自覚症状がほとんどありませんが、命に関わる疾患を引き起こす原因となります。知らないうちに健康をむしばむ原因となるため、血圧を正常に保つための生活を心がけることが大切です。

5-1.減塩を意識する

血圧を正常にするうえでは、減塩を意識することが大事です。

厚生労働省によって定められている「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人男性で一日に7.5g未満、成人女性で6.5g未満を目標としています。

「どう減塩すれば良いかわからない」と悩む方もいるかもしれませんが、次のような日頃のちょっとした心がけで塩分量を減らすことが可能です。

  • • 加工食品の摂取や外食を控える

  • • 調味料の使いすぎに気を付ける

  • • 香辛料や香味野菜をうまく取り入れて、食材の味付けを行なう

  • • 漬け物を控える

  • • 麺類のスープは飲み干さない

  • • 味噌汁の具を多くする

5-2.野菜類や果物などを積極的に摂る

野菜や果物に含まれるカリウムは、体内のナトリウムを排泄しやすくする作用を持つため、塩分摂取量の調節に役立ちます。野菜は一日350g、果物は片手分を目安に摂るよう心がけましょう。腎機能が悪い方は個別に医師に相談しましょう。

5-3.運動

体をよく動かすことは、血圧を正常にするうえで大切です。まずは、一日にどれくらい歩いているか歩数を測ってみてください。その歩数に1,000歩をプラスした数を達成できるように毎日運動をしてみましょう。

5-4.禁煙

喫煙は、血圧を上げる大きな要因になります。1本吸うだけで、収縮期血圧と拡張期血圧がそれぞれ10~20mmHgほど上昇してしまうのです。

また、タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させて血圧を上げる働きがあります。喫煙するだけで血圧が上がってしまうので、禁煙を心がけしましょう。

正常な血圧は生活習慣で作れる

収縮期血圧が120mmHg未満かつ拡張期血圧が80mmHg未満であれば、正常血圧といわれています。収縮期血圧が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧が90mmHg以上になると高血圧と判断されるため、生活習慣に気を付けましょう。

血圧を正常に保つためには、まず減塩を意識することが大切です。食事の際に、漬け物を控えたり麺類のスープを飲み干さないようにしたりと、できることから始めてみてください。

その他には、運動や禁煙も効果的です。日頃から血圧を正常値にするための生活習慣を意識付けましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。