1.ローヤルゼリーとは?
ミツバチが食べた花粉などをもとに作られるローヤルゼリーは、女王蜂のみが食べられる高栄養食です。
ローヤルゼリーには、アミノ酸、ビタミンB群、ミネラルなど、40種類以上もの栄養素が含まれ、健康や美容の点から注目されています。自然界において、これほどまでにさまざまな栄養素が含まれている食品はまれです。
女王蜂と働き蜂は同じ卵から産まれますが、ローヤルゼリーを食する女王蜂は働き蜂と比較して寿命が40倍、体長が約3倍になるといわれています。
さらに、女王蜂は卵を一日に約2,000個産みます。栄養豊富なローヤルゼリーが、女王蜂の健康のもととなっていることがわかるでしょう。
2.ローヤルゼリーに含まれる栄養素
前述のとおり、ローヤルゼリーにはアミノ酸、ビタミンB群、ミネラルなどの栄養成分が豊富に含まれています。ローヤルゼリーに含まれる栄養素とその働きを紹介します。
2-1.必須アミノ酸
アミノ酸は、タンパク質の原料となる物質です。アミノ酸は全部で20種類ありますが、なかでも体内で合成できないアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼びます。
必須アミノ酸に含まれるのは、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、リジン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、トリプトファンの9種類です。体内で合成できない分、食事などから栄養補給することが大切です。
2-2.非必須アミノ酸
非必須アミノ酸は、体内で脂質や糖質などをもとに合成できるアミノ酸です。
非必須アミノ酸は11種類あり、システイン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、チロシン、セリン、プロリン、グリシンが該当します。
アミノ酸は、どれか一つでも欠けるとタンパク質の合成に支障をきたしてしまいますが、一般的な食事をとっていれば欠けることはほぼないでしょう。
2-3.ビタミンB群
ローヤルゼリーに含まれるビタミンB群として、ここではビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、葉酸、ビオチンを紹介します。
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ビタミンB1
ビタミンB1は水溶性ビタミンの一つで、チアミンとも呼ばれます。おもに、炭水化物をエネルギーへ変換する際に重要な役割を果たしている栄養素です。
ビタミンB1が不足すると、おもに炭水化物をエネルギー源としている脳や神経の活動に支障をきたすおそれがあります。
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ビタミンB2
ビタミンB2は、リボフラビンと呼ばれる化合物であり、水溶性ビタミンの一種です。おもに、脂質・糖質・タンパク質の代謝をサポートします。
また、発育の促進や皮膚や粘膜の保護などにも関わるため、私たちの成長と健康をサポートしている栄養素といえるでしょう。
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ビタミンB6
ビタミンB6も水溶性のビタミンで、脂質・糖質・タンパク質の代謝の補酵素として働きます。また、免疫機能の維持や血液内のヘモグロビン形成などにも関わっているなど、体内のさまざまな反応や生理活動を支えている栄養素です。
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パントテン酸
パントテン酸は脂質や糖質の代謝に関わっている、水溶性ビタミンの一種です。粘膜や皮膚をすこやかに保つよう、サポートしています。
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葉酸
葉酸は、ほうれん草から発見されたため、その名がつけられました。DNAやタンパク質の合成において重要な栄養素であることから、細胞の新生や成長に深く関わっているといえるでしょう。また、赤血球の合成にも関与しているため、造血機能の維持には欠かせません。
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ビオチン
ビオチンは、粘膜や皮膚の健康維持をサポートする、水溶性のビタミンです。その他に、脂質・糖質・アミノ酸の合成やエネルギー代謝にも関わっています。
なお、哺乳類の体内ではビオチンをあまり合成できないため、食事などから摂取する必要があります。
2-4.ミネラル
ローヤルゼリーに含まれるおもなミネラルは、マグネシウム、リン、鉄、カルシウムです。どういったものなのかをそれぞれ解説します。
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マグネシウム
マグネシウムは、300種類を超える酵素反応やエネルギー代謝に関わっているミネラルです。その他に、骨の健康をサポートする働きもあり、体内に存在するマグネシウムの半分以上が骨に貯蔵されています。
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リン
リンは、体内で「リン酸化」という反応が進行するときに必要な栄養素です。体内に存在するリンの大半は骨や歯の形成に関わっていますが、その他は細胞内に存在し、エネルギー代謝や脂質代謝などに関与しています。
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鉄
鉄は、成人の体内には3~5g程度が存在している、金属元素の一種です。その半数以上は、筋肉中のミオグロビンや血液中のヘモグロビンを構成する材料となっています。
赤血球は血液中の酸素の運搬などにおいて重要な役割を果たしているため、不足すると貧血をはじめとする、さまざまな体調不良につながります。
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カルシウム
人体には、体重の2%前後の重さでカルシウムが含まれていますが、これは体内に存在するミネラルのなかでもっとも多い量です。体内に存在するカルシウムの99%は骨と歯に分布し、これらの硬さや構造を保つサポートをしています。
その他は、血液や細胞などに含まれ、血液の凝固や筋肉の収縮、心機能の維持など、体内のさまざまな機能を調節しています。
ローヤルゼリーは栄養の宝庫
女王蜂の生命力を支えるローヤルゼリーは、働き蜂が作り出す高栄養食です。アミノ酸やビタミンB群、ミネラルなど40種類を超える栄養素が含まれています。
アミノ酸はタンパク質の材料となり、ビタミンB群は体内のさまざまな代謝反応に関与します。そして、ミネラルは体内の機能維持に不可欠な栄養素です。
ローヤルゼリーにはこの他にも多くの栄養素が含まれており、自然が作り出したバランス栄養食といえるでしょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。