メンタルヘルスとは?
不調により見られる症状やセルフケア方法を紹介

最近「メンタルヘルス」という言葉をよく耳にする、という方もいるかもしれません。これは、ストレス社会を生きる私たちにとって、身近な話題といえます。

しかし、メンタルヘルスについて、心の病気だと誤って認識している方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、メンタルヘルスの意味や不調で現れる症状、ケア方法について解説します。

1.メンタルヘルスとは?

メンタルヘルスという言葉に対して、心の不調といったネガティブなイメージを持っている方もいるでしょう。

しかし実際には違います。近頃は「心身ともに健康的な状態を目指す」といった意味で使われることも増えていますが、本来は「心の健康」という意味です。日本語に訳すと、メンタルは「精神的な」、ヘルスは「健康」を意味します。

ストレスを感じやすい現代では、メンタルヘルスがより身近な話題になるでしょう。

2.メンタルヘルスの不調で見られるおもな症状

メンタルヘルスの不調に陥ると、さまざまな症状が心身に現れます。ここでは、メンタルヘルスの不調で現れるおもな症状について解説します。

2-1.体の症状

メンタルヘルスに不調をきたすと、体に影響が出ます。体に現われるおもな症状は、次のとおりです。

  • ・頭痛や腰痛、肩こりを感じる

  • ・下痢や便秘が起こりやすくなる

  • ・夜中に目が覚める

  • ・寝つきが悪くなる

  • ・めまいや耳鳴りがする

  • ・食欲不振や過食になる

このような体のサインが出ていることに気付いたら、早めに対処することが大切です。メンタルヘルスの不調に早く気付くためには、このようなサインを把握しておきましょう。

2-2.こころの症状

メンタルヘルスの不調は、こころにも支障をきたします。おもに次のような症状が出やすいでしょう。

  • ・イライラしやすくなる

  • ・涙もろくなる

  • ・ちょっとしたことで驚くようになる

  • ・気分が落ち込んで、物事に対して無気力になる

  • ・人付き合いに負担を感じるようになる

このように、こころが不安定な状態が続く場合は、過大なストレスを感じている可能性があります。家族や友人、専門家などに早めに話して、一人でストレスを抱え込まないようにしましょう。

3.メンタルヘルス不調を示す3つのレベル

ストレスによるメンタルヘルスの不調には、「警告期」「抵抗期」「疲はい期」の3つの段階があります。ここでは、ストレスに対する体やこころの変化について見ていきましょう。

3-1.警告反応期

最初に訪れる警告反応期では、体調不良を感じ始めるケースが多いでしょう。ストレスを自覚していない状態でも、体にはストレスサインが現われます。肩こりや集中力の欠如といった不調が目立つ時期です。

3-2.抵抗期

次に訪れるのが抵抗期です。これまで受けていたストレスに対して、体が抵抗します。

一時的に心身ともに活動的になるため、一見するとストレスを解消したように感じられるでしょう。しかし、実際には体に相当な負担がかかっている状態であり、病気になる前の段階といえます。

3-3.疲はい期

抵抗期が過ぎると、疲はい期になります。疲はい期は疲れきった状態のため、自力で回復するのは難しいでしょう。専門家による適切な治療を必要とする時期です。

4.メンタルヘルスのセルフケア方法

ストレスを感じてメンタルヘルスが不調になった際には、自分でケアすることも可能です。なるべく早い段階で、セルフケアできるとよいでしょう。

次のような方法でセルフケアするのがおすすめです。

  • ・適度な運動をする

  • ・腹式呼吸をする

  • ・十分な睡眠時間を確保する

  • ・リラックス効果のある音楽を聴く

運動をすると気分転換ができ心身ともにリラックスするため、睡眠のリズムを整える効果が期待できます。激しい運動ではなく、軽いランニングや散歩などの有酸素運動も有効です。

ストレスを感じて呼吸が浅く速くなるときには、腹式呼吸をするとよいでしょう。お腹が凹むまでしっかりと息を吐き、お腹が膨らむように息を吸うことがポイントです。

また、しっかりと眠ることで、疲労回復やストレス解消の効果を期待できます。適切な睡眠時間は個人差がありますが、日本人の平均睡眠時間の7時間を目安にするとよいでしょう。深い眠りにつくためには、寝る前にリラックスすることが大切です。ピアノや自然の波の音など、心が落ち着く音楽を流すことをおすすめします。

メンタルヘルスをケアして心身の健康を維持しよう

ストレス社会の現代では、メンタルヘルスに注目が集まっています。メンタルヘルスの不調は、早い段階で対処するのが重要なポイントです。

しかし、ストレスよりも体の不調を先に自覚する人も多いでしょう。そのため、自分のストレスサインを知り、早めにセルフケアをすることが大切です。

セルフケアには、適度な運動や十分な睡眠、心身のリラックスなどがあります。自分に合った方法でメンタルヘルスをケアし、健康的な心身を維持しましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医