ケルセチン配糖体とは?
ケルセチン配糖体の働きと効果が現れるまでの期間を解説

厚生労働省の発表によると、成人男性の約3割、成人女性の約2割が肥満であると報告されています。そのため、健康を意識して体脂肪を減らす取り組みが注目されているのです。

今回の記事では、体脂肪の減少を助ける成分として話題の「ケルセチン配糖体」について紹介し、ケルセチン配糖体が脂肪の分解をサポートするメカニズムと、効果が現れるまでの期間について解説します。

1.ケルセチン配糖体とは?

ケルセチン配糖体は「体脂肪を減らす」として話題の成分です。配合された飲料などには、トクホ(特定保健用食品)として許可されているものもあります。

ここでは、ケルセチン配糖体が体脂肪を減らすまでのメカニズムを紹介します。

1-1.そもそもケルセチンとは

ケルセチンは、私たちが普段食べている玉ねぎやブロッコリー、リンゴといった野菜や果物などに含まれているポリフェノールの一種です。これまでに抗酸化作用や抗炎症作用、降圧作用などさまざまな体へ良い作用があることがわかっています。また、脂肪分解を促す力や、コレステロールを下げる作用もあると報告されてきました。

このように、多くの作用を持つケルセチンですが、健康のために摂り続けるには弱点があります。それは、水に溶けにくく体内に吸収されにくいということです。せっかく体に良い作用があっても、体に取り込まれなければ力を発揮できません。

そこで、研究の結果導き出されたのが「ケルセチン配糖体」という形にすることでした。

1-2.ケルセチン配糖体の作用について

体についた脂肪を燃焼するためには、まずは脂肪が分解されなければなりません。上述のとおり、ケルセチンは脂肪の分解を促し、コレステロールを減らすのを助けてくれます。そして、体に吸収されづらいケルセチンを、効果的に吸収できるように工夫したのが「ケルセチン配糖体」です。

「ケルセチン配糖体」はケルセチンと糖を結合したもので、水に溶けにくいケルセチンと異なり、ケルセチン配糖体は水に溶けやすく吸収も良くなっています。水に溶けやすいので、お茶や青汁などに入れることができます。また、さまざまな飲み物に配合しやすくなったことで、ケルセチンの摂取が手軽に行なえるようになりました。

口から体内に入ったケルセチン配糖体は、小腸で加水分解されケルセチンとなり、スムーズに吸収されます。ケルセチンが脂肪組織まで達すると、脂肪を分解する酵素であるホルモン感受性リパーゼを活性化し、その結果、脂肪の分解を促して体脂肪の減少を手助けするのです。

このことから、ケルセチン配糖体が入った飲料を摂取すると、体脂肪減少効果が発揮されるといわれています。体脂肪が多めの方や体脂肪が気になっている方を、ケルセチン配糖体はサポートしてくれます。

2.体脂肪低減効果が現れるまでの期間

ケルセチン配糖体が体脂肪の減少をサポートするメカニズムについて、解説してきました。それでは、体脂肪への効果を実感するにはどのくらいの期間、ケルセチン配糖体を摂取すれば良いのでしょうか。

ケルセチン配糖体が含まれた飲料を用いた研究によると、ケルセチン配糖体入りの飲料を飲み始めて8週間目頃から脂肪の低減が見られました。研究を始めて8週目で、内臓脂肪面積・皮下脂肪面積ともに減少を確認し、飲み始めて12週目ではさらに減少が見られたのです。

この結果から、ケルセチン配糖体による体脂肪への効果を実感するには、8週間以上続けて飲むことがある程度の目安だといえるでしょう。

ケルセチン配糖体を摂取して軽やかな日々を楽しもう

ケルセチン配糖体は、脂肪を分解する酵素にはたらきかけて分解を促し、体脂肪を減らす手助けをします。

ケルセチンのままでは溶けにくく、体内に吸収しづらい特徴がありますが、配糖体の形にすることで、さまざまな飲み物に溶けやすくなり、体にも取り込まれやすくなりました。これまでの研究で、ケルセチン配糖体の体脂肪の減少効果を8週間で実感しはじめることができるとわかっています。

体脂肪が気になる方は、ケルセチン配糖体を生活に取り入れて軽やかな毎日を楽しみましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。