ナイアシンアミドにはどのような効果があるの?
おすすめの摂取方法を解説

ナイアシンアミドという栄養素をご存知でしょうか?

あまり馴染みのない栄養素かもしれませんが、ナイアシンアミドはビタミンの一種で、皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。「マルチビタミン」と称したサプリメントに含まれている場合もあり、実はとても身近な栄養素です。

今回は、ナイアシンアミドの効果やおすすめの摂取方法について解説します。

1.ナイアシンアミドについて

ナイアシンは、水溶性ビタミンB群に分類される栄養素で、ヒトの体内ではニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)やニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)といった成分に変換されています。NADやNADPは補酵素として、アミノ酸や脂質の代謝、エネルギー産生に関わっています。

ナイアシンは、動物性食品中ではニコチン酸アミド、植物性食品中ではニコチン酸に変換されています。ニコチン酸アミドは、ナイアシンアミドと呼ばれる場合もあります。

ナイアシンアミドは動物の体内に多く含まれているため、通常は食品を通じて摂取しています。また、ヒトの体内ではアミノ酸であるトリプトファンからナイアシンを合成することが可能です。なお、食品から摂取したトリプトファンのうち、体内でナイアシンに変換されるのは約60分の1といわれています。

2.ナイアシンアミドの効果

ナイアシンアミドが不足すると、皮膚炎や下痢を引き起こすことがあります。

ナイアシンアミドをしっかりと摂取することで皮膚や粘膜の健康維持を補助できます。

ナイアシンアミドの効果については、他にもさまざまな研究が実施されており、白内障、糖尿病、変形性関節症に対する有効性も示唆されています。

3.ナイアシンアミドを摂取する方法と目安量

ナイアシンアミドはしっかりと補給しなければならないことがわかったものの、一体どのぐらいの量を摂取すればよいのでしょうか?

各年齢別のナイアシンアミドの食事摂取基準(ナイアシン当量)を表にまとめました。ナイアシン当量には、体内で合成されるナイアシンの量も含められており、「ナイアシン量+トリプトファン量の60分の1」で示されます。

性別 男性 女性
年齢等 推奨量(RDA) 目安量(AI) 耐容上限量(UL) 推奨量(RDA) 目安量(AI) 耐容上限量(UL)
18~29 (歳) 15 300 11 250
30~49 (歳) 15 350 12 250
50~64 (歳) 14 350 11 250
65~74 (歳) 14 300 11 250
75以上 (歳) 13 300 10 250
妊婦 (付加量) +0
授乳婦 (付加量) +3

参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)

また、ナイアシンが多く含まれるおもな食品は下記のとおりです。食事から摂りたいときは、これらの食材を積極的に選ぶようにしましょう。

食品名 1食あたりの重量(g) ナイアシン(ナイアシン当量) (mg)
1食あたり 100gあたり
玄米 150 4.4(5.4) 2.9(3.6)
そば(ゆで) 200 1.0(3.0) 0.5(1.5)
鶏むね 皮つき(焼き) 100 17.0(24.0) 17.0(24.0)
かつお(生) 80 15.2(19.2) 19.0(24.0)
豚ヒレ(焼き) 100 13.0(21.0) 13.0(21.0)
ぶり(焼き) 80 8.0(12.0) 10.0(15.0)

参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版 (八訂)

ナイアシンアミドは熱湯に溶けやすい性質をもちます。たとえば、煮物にするとその多くが煮汁中に溶け出してしまいます。また、から揚げにした場合、半分近くが油に溶けてしまうこともあります。ナイアシンアミドを効率良く摂取するには、これらの調理法は避けたほうがよいでしょう。

好き嫌いが多い方、仕事や家事に忙しく食事に時間をかけられない方は、毎日の食生活でナイアシンアミドを十分に摂取するのが難しいかもしれません。そんなときは、手軽に栄養補給ができるサプリメントを利用するのもおすすめです。

ナイアシンアミドをしっかり補給しよう

ナイアシンアミドは水溶性ビタミンBの一種で、動物性食品中や植物性食品中に存在しています。

ナイアシンアミドが不足すると、皮膚炎や下痢を引き起こしてしまうこともあります。ナイアシンアミドをしっかりと摂取することで、皮膚や粘膜の健康維持を補助できます。

ナイアシンアミドは熱湯や油に溶け出す性質を持つため、食事から摂取するには調理法を工夫する必要があります。手軽に補給するには、サプリメントを利用するのもおすすめです。

ナイアシンアミドをはじめとするビタミンは、カラダの調子を整えるうえで基本となる栄養素です。サプリメントも活用しながらしっかり補給し、健康な毎日を過ごしましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。