ゴマペプチドとは?
血圧に作用する仕組みと効果が現れるまでの期間を解説

「先日受けた健康診断で血圧が高めと言われてしまった」
「血圧にはゴマが良いと聞いたけれど本当?」

このような血圧のお悩みをお持ちではありませんか。

厚生労働省が2006年に行なった「国民健康・栄養調査」によると、約1,520万人の方が正常高値血圧者とされており、高血圧に悩む人は少なくありません。

今回は、血圧が気になる方に向けてゴマに含まれるゴマペプチドを紹介します。実際に行なわれた研究結果を交えながら血圧への作用や、効果を感じるまでの期間も解説します。

1.ゴマペプチドとは?

ゴマペプチド(LVY)とは、ゴマ由来のたんぱく質を酵素で分解することで得られるペプチドです。ペプチドは、2個以上100個以下のアミノ酸が集まったものを指すことが多い物質のことです。ゴマペプチドはゴマの油を抜いてたんぱく質を抽出したあと、たんぱく分解酵素を作用させると取り出すことができます。

ゴマペプチドを含んだ飲み物は、血圧が高めの方に適しています。なお、ゴマペプチドを含む商品のなかには、「特定保健用食品(トクホ)」として消費者庁に特定の保健の用途を表示することを認められているものもあります。ゴマペプチドが入った飲料をいつものお茶代わりに飲むのもおすすめです。

2.ゴマペプチドが血圧に作用する仕組み

血圧が高めの方におすすめのゴマペプチドが血圧に作用する仕組みを解説します。

体内にはレニン-アンジオテンシン系と呼ばれる、血液量の維持と血圧を上げる作用により、血液を循環させるシステムが存在します。

レニンーアンジオテンシン系では血管を収縮させるアンジオテンシンⅡと呼ばれる物質と、それを作り出すアンジオテンシン変換酵素という酵素が重要です。

塩分が多い食事や運動不足、ストレス、肥満、寝不足などが続くと、体のなかでアンジオテンシン変換酵素のはたらきが強くなります。結果、アンジオテンシンⅡが大量に発生し、血管が収縮しすぎて血圧が高くなってしまうのです。

ゴマペプチドは、このアンジオテンシン変換酵素のはたらきを邪魔することで、アンジオテンシンⅡの大量発生を防ぎ、血圧を下げる効果があります。

血圧が気になっている人は、塩分を控えた健康的な食事に加えて、ゴマペプチドを生活に取り入れるのもよいでしょう。

3.血圧に対する効果が現れるまでの期間

ゴマペプチドの効果を実感するには、どのくらいの時間が必要なのでしょうか。ここでは、実際に行なわれた研究をもとに解説します。

血圧が高めの方72名を2つのグループに分け、それぞれにゴマペプチドを配合した飲料と配合されていない飲料を一日1本12週間摂取させました。その後、ゴマペプチドを配合した飲料を摂取したグループは4週間後に収縮期血圧の低下が現れ始め、12週間後には最高血圧で13mmHg、最低血圧で6mmHg低下したのです。

研究終了後、ゴマペプチド飲料の摂取をやめると血圧は再び上昇したものの、飲み始める前や飲んでいない人たちの血圧に比べるとおだやかな上昇にとどまりました。

別の研究では89名の血圧が高めの人を対象に、ゴマペプチドを含んだお茶と、ゴマペプチドを含まないお茶を飲んでもらいました。一日1本4週間の摂取後、ゴマペプチド入りのお茶を飲んだグループは、ゴマペプチドを含まない飲料を飲んだグループに比べて収縮期血圧が下がったと報告されました。

いずれの研究でも、ゴマペプチドを摂取した人たちに身体測定、血液検査、尿検査を行ないましたが、健康の問題につながる異常は認められませんでした。また、医師の診察でも問題がないと確認されました。

これらの研究結果から、適切な量のゴマペプチドを一定期間飲み続けることは、血圧が高めといわれる正常高値血圧(収縮期血圧においては130~139mmHg)の方におすすめされています。

血圧が気になる人はゴマペプチドを摂取しましょう

現在、日本では多くの人たちが、高血圧に悩んでいます。

昔から日本人になじみ深いゴマから抽出されるゴマペプチドは、血圧を上げる物質を作りにくくすることで、血圧に作用すると報告されています。

また、高めの血圧の人が一日500mgの摂取を続けると、約1カ月で効果を感じ始めることができます。

高血圧に悩んでいる方は、ゴマペプチド習慣を始めてみるのはいかがでしょうか。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。