ナイアシンを多く含む食品とは?
摂取量の目安やおすすめのレシピも紹介

人間の健康を保つ栄養素の一つにナイアシンがあります。

ナイアシンが不足すると、体にさまざまな不調が現れかねません。毎日を健やかに過ごすためには、適切な量のナイアシンを摂ることも大切です。

今回の記事では、ナイアシンについて解説するとともに、性別・年齢別の一日推奨量やナイアシンを多く含む食材、そしておすすめのレシピを紹介します。

1.ナイアシンとは

ナイアシンとはビタミンB群の一種で、動物性食品、植物性食品のいずれにも含まれています。しかし、食品中の形はやや異なり、動物性食品においてはニコチンアミド、植物性食品中においてはニコチン酸として存在しています。ニコチンアミドとニコチン酸はどちらも小腸で速やかに吸収されるのが特徴です。

ナイアシンは食品中に含まれるだけでなく、人間の肝臓でも合成されています。体のなかでナイアシンの原料となるのはトリプトファンという不可欠アミノ酸です。トリプトファンは牛乳や乳製品、大豆などに多く含まれています。

ナイアシンはエネルギーの代謝を助けるほかに、糖質や脂質、そしてたんぱく質を効率よく利用するために欠かせません。また、アルコールの分解にもナイアシンが関係しています。

毎日の健康のためには、必要な量のナイアシンを摂取することが不可欠です。

2.ナイアシンを多く含む食品と摂取量の目安

ナイアシンが健康に不可欠であることがわかりましたが、具体的にはどのくらいの量を摂るべきなのでしょうか。また、効率よくナイアシンを摂るには、どのような食品を食べたら良いのでしょうか。ここでは、年齢や男女別の摂取量の目安と、ナイアシンを多く含む食品について解説します。

2-1.ナイアシンの一日摂取量の目安

厚生労働省が発表している、ナイアシンの一日の推奨量は次のとおりです。

性別 男性 女性
0~5カ月 2(母乳中の目安量) 2(母乳中の目安量)
6~11カ月 3(母乳中の目安量) 3(母乳中の目安量)
1~2歳 6 5
3~5歳 8 7
6~7歳 9 8
8~9歳 11 10
10~11歳 13 10
12~14歳 15 14
15~17歳 17 13
18~29歳 15 11
30~49歳 15 12
50~64歳 14 11
65~74歳 14 11
75歳以上 13 10

ナイアシンの食事摂取基準(mgNE/日)。

妊婦のナイアシン推奨量は表の数値と同じになりますが、授乳婦は母乳中にナイアシンが分泌される分を補うために、各年齢の数値より3mg/日多く摂取することがすすめられます。

2-2.ナイアシンを多く含む食品

食品のなかで、ナイアシンを多く含むおもなものは以下のとおりです。

食品名 100gあたりの成分量
まいたけ(乾) 64.0mg
たらこ(焼き) 57.0mg
たらこ(生) 50.0mg
インスタントコーヒー 47.0mg
らっかせい(煎り) 23.0mg
びんながまぐろ(生) 21.0mg
からしめんたいこ 20.0mg
かつお(生) 19.0mg
くろまぐろ(焼き) 19.0mg
ごまさば(焼き) 19.0mg

上の表を見ると、ナイアシンはまいたけやたらこ、らっかせいに多く含まれることがわかります。また、まぐろやかつお、さばにも豊富です。毎日の食事でナイアシンをしっかり摂りたいならば、これらの食品を中心にメニューを考えるのがよいでしょう。

3.ナイアシンが摂れるおすすめレシピ

ここでは、ナイアシンをたっぷり含む食材を使った料理を2種類紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

3-1.たらこパスタ~バター風味~

ナイアシンたっぷりのたらこのソースに、スパゲッティをあえるだけの簡単レシピ。たらこを明太子に変えるのもおすすめです。

【材料】(2人分)

  • ・たらこ 80g

  • ・大葉 4枚

  • ・バター 15g

  • ・牛乳 大さじ2

  • ・しょうゆ 適量

  • ・スパゲッティ 180g

  • ・塩 適量

【作り方】

  • 1. 大きめのボウルに薄皮を取り除いたたらこ、牛乳、バターを入れて軽く混ぜ合わせます。

  • 2. 鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩を加えてスパゲッティを袋に書いてある時間でゆでます。

  • 3. 1のボウルにゆでたスパゲッティを加え、よく混ぜ合わせます

  • 4. しょうゆで味を調えたあと、お皿に盛り付けます。最後に刻んだ大葉をちらして完成です。

3-2.焼きさばのきのこあんかけ

ナイアシンを豊富に含むまいたけを使ったレシピです。まいたけやさばにはナイアシンが多く含まれています。焼きさばにひと手間をかけるだけで、ちょっと贅沢なメニューへ変化し、爽やかな生姜の風味も食欲をそそる一品です。

【材料】(2人分)

  • ・さば(切り身) 2枚

  • ・干しシイタケ 3枚

  • ・まいたけ 1/2株

  • ・なめこ 1/2株

  • ・生姜 10g

  • ・だし昆布 2cm

  • ・片栗粉 大さじ1

  • ・水 適量

【A】

  • ・水 150ml

  • ・干しシイタケの戻し汁 100ml

  • ・しょうゆ 大さじ1.5

  • ・みりん 小さじ1.5

【作り方】

  • 1. 魚焼きグリルでさばを焼きます。

  • 2. 干しシイタケを水で戻して石づきを取り、1cmの幅で切ります。なめことまいたけは食べやすい大きさに分けます。生姜をすりおろします。

  • 3. 1cm角に切った昆布と、【A】を鍋に入れて火にかけます。煮立ったらまいたけ、なめこ、干しシイタケを加えてさらに煮ます。

  • 4. 全体に火が通ったら、生姜と水溶き片栗粉を入れて、ひと煮立ちしたら火を止めます。

  • 5. 焼さばを盛り付けたお皿に、4を回しかけて完成です。

ナイアシンたっぷりの食材を追加して調子を整えよう

ナイアシンは、人間が元気に生きていくために必要なビタミンの一つです。エネルギー産生をサポートするほか、脂質やたんぱく質、アルコールの代謝に関わっています。

ナイアシンを効率よく摂るには、まいたけやたらこ、まぐろやさばを使用した料理がおすすめです。ナイアシンを多く含んだ食品を積極的に摂って、毎日の調子を整えましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。