1.ポリアミンとは
ポリアミンとは、分子のなかに「アミノ基」という構造を2つ以上持つ炭化水素のことです。ヒトや動植物、ウイルスにいたるまで、あらゆる生物がポリアミンを内包しており、細胞の増殖に関わる物質であることが知られています。
ポリアミンにはさまざまな種類や機能があり、近年では細胞増殖以外の働きにも注目が高まってきました。なかでもプトレシン、スペルミジン、スペルミンの3つのポリアミンには生物の体内で細胞の働きを正常化するのを助けたり、抗酸化作用や抗変異原性作用(細胞に変異をおこす物質への抵抗作用)を発揮したりするという報告がされています。
例えば、スペルミジンやスペルミンは「オートファジー」と呼ばれる現象を誘導し、運動機能や記憶力の保持、心臓機能の保護などの抗加齢効果を発揮することが、動物での研究で明らかになっています。
ヒトのアンチエイジングにとっても、ポリアミンは重要な因子と考えられています。
2.ポリアミンを含む食品
ポリアミンを含む食品は、米胚芽や米ぬか、小麦胚芽、かぼちゃ、ピーマン、大豆、ピスタチオ、しめじ、ウナギの肝、牡蠣、オレンジ、マンゴー、緑茶などです。多くの穀類、野菜、魚介類、肉類などにはプトレシン、スペルミジン、スペルミンなどのポリアミンが含まれています。
普段の食事でさまざまな食材をバランス良く食べると、ポリアミンを自然に摂り入れることができるでしょう。
3.ポリアミンが摂れるおすすめレシピ
ポリアミンを効率的に摂りたい方におすすめのレシピを紹介します。
3-1.牡蠣のホイル焼き
ポリアミンアミン豊富な牡蠣としめじを一緒に摂れるメニューです。牡蠣は海のミルクと呼ばれるほど栄養価の高い魚介類で、ビタミン類やたんぱく質なども豊富に含んでいます。
【材料】(2人分)
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・牡蠣(加熱用) 200g
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・しめじ 1/2株
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・サラダ油 適量
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・塩 適量
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・こしょう 適量
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・バター 15g
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・刻みねぎ 適量
【作り方】
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1. 牡蠣を塩水でしっかり洗ってから水気を取る。
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2. しめじの石突きを取って、適当な大きさにほぐす。
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3. アルミホイルを広げてサラダ油を薄く塗り、1.と2.バターの半量をのせて塩こしょうを振り、しっかりと包む(1人分)。もう1人分も同様に作る。
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4. オーブントースターで15分くらい3.を焼く。牡蠣に火が通ったら、刻みねぎを散らす。
バターの下味が効いていますが、お好みでポン酢やしょうゆなどを少量かけるのもおすすめです。
3-2.豆たっぷり!大豆とおからのキッシュ
大豆とおからのキッシュは、ポリアミンなど大豆由来の栄養成分をたっぷり摂れるレシピです。おからは食物繊維が豊富であり、腹持ちの良さも魅力です。ミニトマトの酸味やベーコンのコクが深く、食欲をそそられるメニューです。
【材料】(4人分)
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・大豆 100ml
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・おから 200ml
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・玉ねぎ 1/2個
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・ブロッコリー 1/4個
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・ミニトマト 6粒
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・ベーコン 2枚
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・バター 10g
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・冷凍パイシート 2枚
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・牛乳 200ml
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・固形スープの素 1個
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・卵 2個
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・ピザ用チーズ 60g
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・トマトケチャップ 適量
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・ベビーリーフ 1袋
【作り方】
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1. 大豆は水洗いしてからたっぷりの水に一晩浸ける。厚手の鍋で茹でて、噛むとやや歯ごたえがあるくらいの堅さになったところで、ザルにあげる。
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2. おからを耐熱容器に入れて、ラップをしないで電子レンジで3~4分加熱する。パラパラの状態になったらOK。
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3. 冷凍パイシートを解凍して、パイ型に敷き詰める。
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4. 玉ねぎを粗みじん切りにする。ブロッコリーの軸は1cm角に切り、つぼみの部分をほぐす。ミニトマトは半分に、ベーコンは1cm角に切る。
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5. フライパンにバターを溶かしてから4の玉ねぎを入れ、中火で玉ねぎが透き通るまで炒める。
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6. 4のブロッコリー、ベーコン、ミニトマトと、1の大豆を入れてから、固形スープの素と牛乳を加える。
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7. さっと煮立てたら火を止めて2のおからを入れ、よく混ぜる。
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8. フライパンの5の粗熱が取れたら、割りほぐした卵とピザ用チーズの半分を加え、さらに混ぜる。3のパイ型に入れてから、残りのピザ用チーズを上からのせてオーブントースター(1,000w)で10~15分程度加熱する。
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9. 8.の表面がグツグツして焦げ色がついたら加熱終了。冷めたら切り分けて皿に盛り、ベビーリーフ、トマトケチャップを添えたらできあがり。
ポイントは、6.で牛乳を入れたあとは、煮込み過ぎずミニトマトの形が崩れ始めたところで火を止めることです。煮込み過ぎるとミニトマトが煮崩れてしまいますので注意しましょう。8.でキッシュ表面が焦げそうになった場合は、アルミホイルで覆うと生地内部までしっかり火を通せます。
ポリアミン食品でエネルギッシュな毎日を
ポリアミンはあらゆる生物に含まれ、細胞増殖などに関わって生命を支える重要な成分です。
ポリアミンを含む食品には、米胚芽や米ぬか、小麦胚芽、かぼちゃ、ピーマン、大豆、しめじ、オレンジ、マンゴー、緑茶などがあります。多くの穀類、野菜、魚介類、肉類などに含まれているため、普段の食事でさまざまな食材をバランス良く食べると、ポリアミンを自然に摂取することができます。
ポリアミンが豊富な食品を積極的に摂取するようにして、健やかな体作りに役立てましょう。いつまでも若々しく元気でいたい方の、エネルギッシュな日々をサポートします。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。