便秘解消に役立つ食べ物や便秘になってしまう原因について解説

食生活が乱れると、便秘の症状が現れやすくなります。特に女性は男性に比べて慢性的な便秘になりやすく、年齢を重ねるとともに増える傾向があります。

排便が気になってしまい、仕事など日常生活に支障をきたしている人もいるでしょう。

今回の記事では便秘の種類と原因について解説するとともに、便秘解消に役立つ食べ物をご紹介します。

1.おもな便秘の種類と原因

便秘は、3日以上排便がなかったり、週に3回以下しか排便がなかったりなど排便頻度に問題がある場合と、排便のしづらさ、残便感によって診断される症状です。しかし、排便は個人差も大きく、便秘を一言で定義することは難しい面があります。

便秘のタイプとして最も多いのは機能性便秘です。機能性便秘はさらに、一過性便秘と習慣性(慢性)便秘の2つがあります。

一過性便秘は、旅行などの環境の変化で感じる緊張やストレスで起こります。また、水分や食物繊維の不足も原因です。季節の変わり目に、飲む水分量が減ったり、体が冷えて自律神経が乱れたりすることによって便秘を起こす人もいます。

習慣性便秘とは、一時的ではなく慢性的な便秘です。生活習慣の乱れや偏った食生活によって引き起こされます。習慣性便秘のなかで最も多いのが弛緩性便秘です。弛緩性便秘は大腸の動きが悪くなることで起こります。大腸の中に便が長くとどまり、水分が吸収され過ぎて便が硬くなった結果、便秘につながります。水分や食物繊維の不足だけでなく、運動不足や腹筋力の低下、激しいダイエットも原因です。

2.便秘解消に役立つ食べ物

食物繊維不足などの偏った食生活は便秘を引き起こす原因の一つです。便秘を改善するために、食生活を整えましょう。お腹の調子を整えるためには、腸内環境を整える食べ物がぴったりです。

2-1.食物繊維を含む食べ物を摂取する

食物繊維は腸の動きを良くして、排便をスムーズにしてくれます。食物繊維には、大きく分けると水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2つがあります。

水溶性食物繊維とは水に溶けるタイプの食物繊維です。腸内の善玉菌を増やしたり、便をやわらかくしたりといった働きがあり、キャベツなどのやわらかい繊維の野菜のほか、果物、海藻類に豊富に含まれています。

不溶性食物繊維は水に溶けにくいタイプの食物繊維です。おもに根菜類やたけのこなどの固い繊維の野菜、きのこ類、豆類などに含まれています。便の量を増やすことで、腸管に刺激を与えて腸の動きを活発にさせる作用があります。

便秘対策におすすめなのは、野菜たっぷりのきんぴらなどです。ごぼうやにんじんなど食物繊維を多く含む野菜を使ったきんぴらは、便秘の方にぴったりのメニューです。

食物繊維の適切な摂取は便秘症の改善につながります。日々の食生活のなかで、食物繊維を多く含む食品をしっかりと摂りましょう。ただし、便秘のタイプによっては、食物繊維を摂り過ぎると反対に悪化させてしまうこともあります。

2-2.腸内環境を整える食べ物を摂取する

便秘対策には、腸内環境を整えることが大切です。人間の腸内にはおよそ1,000種類、数にすると100兆個の細菌が存在します。腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、そのどちらでもない菌の3つです。

ビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌が多くなると、腸内環境が整って排便がスムーズになります。善玉菌を増やすためには、ビフィズス菌や乳酸菌が含まれる食品や、善玉菌の栄養になるオリゴ糖が多い食品を積極的に食べるのがおすすめです。

ビフィズス菌や乳酸菌を多く含む食品はヨーグルトや乳酸菌飲料が代表的ですが、納豆などにも含まれています。これらの食品を食べることで、生きた善玉菌である「プロバイオティクス」をそのまま摂ることができます。

しかし、食品から摂った善玉菌は、腸内にずっと住み着くことはできないと言われています。そのため、善玉菌が入った食品はなるべく毎日食べたほうがよいでしょう。

オリゴ糖を含む食べ物は大豆製品をはじめ、たまねぎやごぼう、アスパラガスなどがあります。オリゴ糖を摂ることで、もともと腸内に住んでいる善玉菌を増やす原料となる「プレバイオティクス」を摂取できます。

これらの食品を毎日の食生活に取り入れるほか、特定保健用食品として市販されている商品で効率良く摂る方法もあります。ただし、オリゴ糖を急に摂り始めると、下痢やガスでお腹が張ることがあります。少しずつ量を増やしたり、数回に分けて摂取したりするとよいでしょう。

便秘を解消する食べ物を摂ってすっきりとした毎日へ

便秘とは排便の頻度の減少や排便しづらくなるほか、残便感が残るなどの症状があった際に診断されます。

便秘で最も多いタイプは、弛緩性便秘という大腸の動きが悪くなって起こる慢性の便秘です。

弛緩性便秘の原因は水分不足や食物繊維不足のほか、運動不足や激しいダイエットなどが挙げられます。

便秘を改善するには、ごぼうやにんじんなどの食物繊維が多い食品を摂ると効果的です。また、ヨーグルトや味噌などで腸の善玉菌を補ったり、大豆製品やたまねぎなどから善玉菌のエサであるオリゴ糖を摂ったりするとよいでしょう。

便秘の対策には食生活が大切です。規則正しい食生活で、すっきりした毎日を送りましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。