ビタミンEが多く含まれる食べ物や目安摂取量、
おすすめのレシピについて

ビタミンEは、脂溶性ビタミンという水に溶けないビタミンの一種です。私たちの体の機能を正常に保つうえで欠かせない栄養素ですが、普段からビタミンEを意識して摂っているという方は、あまり多くないかもしれません。

この記事では、ビタミンEの働きや多く含まれている食品、一日の摂取目安量を紹介します。

1.ビタミンEについて

ビタミンEは、体内でどのような働きをしているのでしょうか。体内でのおもな役割や、一日の摂取目安量などを紹介します。

1-1.ビタミンEとは

ビタミンEとは、化合物の総称です。8種類の化合物(4種類のトコトリエノールと4種類のトコフェロール)を、まとめてビタミンEと呼んでいます。

ビタミンEは活性酸素から体を守る機能をもつ、抗酸化ビタミンの一種です。活性酸素とは、呼吸によって体内に取り込んだ酸素の一部が活性化した状態になることです。これが増えすぎると細胞が傷付き、さまざまな疾患につながる要因になるとされています。

私たちの体には、酵素で活性酸素を抑制する機能をもともと持っていますが、体内で作られる酵素量は加齢とともに減ってしまいます。そういった場合に、ビタミンEなどの抗酸化ビタミンを摂取すると、活性酸素の働きの抑制に役立つのです。

また、ビタミンEには、細胞内での過酸化脂質生成の抑制をサポートする働きがあります。腸の健康を保つ働きも期待されているため、風邪や感染症を予防する体づくりのほか、美容にも欠かせないビタミンだといえるでしょう。

1-2.ビタミンEの一日の摂取量

ビタミンEの摂取について、一日の目安量と上限量を紹介します。厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で設定されている数値は、次のとおりです。

・目安量(mg/日)

年齢 男性 女性
18~29歳 6.0 5.0
30~49歳 6.0 5.5
50~64歳 7.0 6.0
65~74歳 7.0 6.5
75歳以上 6.5 6.5
妊婦 6.5
授乳婦 7.0

・上限量(mg/日)

年齢 男性 女性
18~29歳 850 650
30~49歳 900 700
50~64歳 850 700
65~74歳 850 650
75歳以上 750 650

参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

※目安量:推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量
※上限量:ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量

なお、上記のように目安量や上限量が設定されていますが、一般的な食事を摂っている場合は、ビタミンEの欠乏症や過剰症は起こりにくいとされています。

2.ビタミンEを含む食べ物

ビタミンEを多く含んでいる、おもな食材を紹介します。

なお「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、ビタミンEの摂取基準はα-トコフェロールを指標にして算出されています。これは、血液や組織中に存在するビタミンEの多くがα-トコフェロールであるためです。

そのため、ここではα-トコフェロールを多く含む食材を挙げています。ぜひ、日頃の食事の参考にしてください。

食品名 100gあたりの成分量
煎茶 64.9mg
無塩アーモンド(いり) 28.8mg
有塩マーガリン 15.3mg
なたね油 15.2mg
マヨネーズ(全卵) 13.1mg
まぐろ油漬けフレーク 8.3mg
モロヘイヤ 6.5mg
卵黄(生) 3.4㎎
アボカド(生) 3.3㎎
ほうれん草(ゆで) 2.6㎎
日本かぼちゃ(ゆで) 2.2mg

参考:文部科学省「食品成分データベース」

3.ビタミンEを含む食べ物を使ったレシピを紹介

ここでは、ビタミンEをたくさん摂れるメニューを2品紹介します。

3-1.かぼちゃのアーモンド炒め

かぼちゃとアーモンドはどちらもビタミンEを多く含むので、効率良く摂取できるでしょう。味を調整しやすくするために、アーモンドは無塩タイプを使うのがポイントです。

【材料】(2人分)

  • ・かぼちゃ 250g

  • ・アーモンド(無塩タイプ) 40g

  • ・オリーブ油 大さじ1

  • ・塩 適量

  • ・こしょう 適量

【作り方】

  • 1. 食べやすいサイズにかぼちゃを切り、やわらかくなるまで電子レンジで加熱します。

  • 2. アーモンドは粗めのみじん切りにします。

  • 3. オリーブ油をフライパンで熱し、焼き色が両面につくまでかぼちゃを焼きます。そこに2を入れ、軽く炒めます。

  • 4. 塩とこしょうで味を調整したら、完成です。

3-2.モロヘイヤとツナのごま和え

モロヘイヤとツナ缶から、ビタミンEを摂取できる一品です。すりごまは、白ごまと黒ごまのどちらを使っても構いません。

【材料】(2人分)

  • ・モロヘイヤ 1パック

  • ・ツナ缶 1缶

【A】

  • ・すりごま 大さじ1

  • ・しょうゆ 小さじ1/2

  • ・砂糖 小さじ1/2

【作り方】

  • 1. モロヘイヤの葉先を取り、沸騰した湯に入れて軽くゆでます。その後、冷水に取り水気をよく絞って、食べやすい大きさに切ります。

  • 2. 【A】をボウルに入れて混ぜ、1と油を切ったツナを加えて和えたら完成です。

ビタミンEを摂取して健やかな日常を過ごしましょう

ビタミンEは、人の体を健康に保つうえで大切なビタミンです。抗酸化ビタミンとして、活性酸素から体を守ってくれています。

一般的な食事をしていれば、不足することは少ないといわれています。とはいえ、元気な日々を過ごすため、そして美容のためにも日々の食事から意識して摂取するとよいでしょう。その際には、ぜひ今回紹介した食材やレシピを参考にしてみてください。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医