1.カプサイシンを摂取することで得られることは?
カプサイシンには、どのような働きがあるのでしょうか。カプサイシンの構造や特徴、体にもたらす作用などを解説します。
1-1.カプサイシンとは?
カプサイシンとは、カプサイシノイドと呼ばれる炭素、水素、酸素、窒素から成り立っている天然の有機化合物の一つであり、唐辛子などに含まれている辛味成分です。
カプサイシンは加熱しても壊れにくいため、加熱調理後も辛味は残ります。冷たい料理よりも熱い状態の料理のほうが辛味を感じやすいため、必要に応じて冷まして食べるとよいでしょう。
辛さや刺激を表す単位として、スコヴィル単位というものがあります。
唐辛子やその加工品を摂る場合には、スコヴィル値や薄め方などを確認し、辛くなりすぎないように注意しましょう。
1-2.カプサイシンの働き
カプサイシンは少量であれば、口や食道、胃が適度に刺激を受けて唾液が出ることで食欲の増進を促します。
また、カプサイシンが体内に吸収されると、脂肪代謝などのエネルギー代謝促進の働きを持つアドレナリンというホルモンの分泌を促します。
2.カプサイシンが多く含まれる食べ物
カプサイシンが含まれている代表的な食べ物は、唐辛子です。日本では、唐辛子の一種である鷹の爪やしし唐が一般的によく売られています。
また、唐辛子粉末を使ったキムチやカレー、唐辛子を油に漬けこんだラー油をはじめとする調味料などにカプサイシンが多く含まれています。
しし唐のなかには、種子が少ないものやストレスがかかった場合に、カプサイシンが多く含まれるものができることがあります。
3.カプサイシンを摂取する際の注意点
辛いものが好きな人は、カプサイシンが多く入っている食品を日常的に摂っていることが多いでしょう。
しかし、カプサイシンを摂り過ぎと粘膜が傷つき、のどや胃が荒れやすくなるという症状が報告されています。その他、涙が出やすい流涙症や、排尿障害、鼻液漏などの症状もあります。
また、感受性が強い人や子どもだと、吐き気や高血圧などになるケースがあります。そのため、カプサイシンは加工品も含めて摂りすぎないように注意しましょう。
4.カプサイシンを含む食品のレシピをご紹介
ここでは、カプサイシンを含む食品を使ったレシピを2品紹介します。ぜひ自宅で作ってみてください。
4-1.豆腐豚キムチ炒め
1品目は、カプサイシンが摂れるキムチを使った「豆腐豚キムチ炒め」です。
【材料】(2人分)
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・木綿豆腐 1丁
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・豚バラ肉(薄切り) 200g
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・白菜キムチ 200g
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・にら 1/2束
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・ごま油 小さじ2
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・酒 大さじ2
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・しょうゆ 小さじ2
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・コチュジャン(好みで) 小さじ1
【作り方】
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1. 木綿豆腐はキッチンペーパーに包んで重しをし、30分ほど置いて水切りをして、10~12等分にカットします。
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2. 豚バラ肉は5㎝に切り、白菜キムチとにらは3~4㎝に切っておきましょう。
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3. フライパンにごま油を入れて豆腐を並べ、弱めの中火にかけます。両面に焼き色が付いたら取り出しましょう。
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4. 同じフライパンに豚バラ肉を広げて入れ、脂が出るまでじっくりと焼きます。
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5. 脂が出てきたらキッチンペーパーでふき取り、白菜キムチとにら、豆腐を入れましょう。しょうゆを鍋肌から回し入れて、酒と好みでコチュジャンを加えて味が調ったら完成です。
豆腐は水切りをしっかりし、豚バラ肉を焼いたときに出てくる脂をこまめにふき取ることで油はねを防ぎます。キムチは製品によって塩分が異なるため、味見してしょうゆの量を調整してください。
4-2.しし唐とじゃこのおばんざい風おかか炒め
次に、もう1品欲しいときにもおすすめの「しし唐とじゃこのおばんざい風おかか炒め」を紹介します。
【材料】(2人分)
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・しし唐 1パック
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・ちりめんじゃこ(しらす) 10g
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・かつおぶし 5g
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・酒 大さじ1
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・みりん 大さじ1
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・しょうゆ 大さじ1
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・白いりごま 大さじ1/2
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・ごま油 大さじ1/2
【作り方】
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1. しし唐はへたを取り、炒めるときに破裂を防ぐために包丁で小さく切れ目を入れておきましょう。
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2. フライパンにごま油を熱し、しし唐とちりめんじゃこ入れてさっと炒めます。
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3. 酒、みりん、しょうゆを入れて煮詰めましょう。かつおぶし、白いりごまを入れて軽く混ぜて、器に盛ったら完成です。
冷蔵庫に入れておけば2日くらい保存できるため、作り置きおかずとしてもよいでしょう。
カプサイシンは適量を摂取するようにしましょう
カプサイシンは少ない量であれば、食欲増進を促す、エネルギー代謝に役立つなどの働きがあります。
辛いものが好きな人は、カプサイシンが含まれている食事をつい摂り過ぎることもあるかもしれませんが、カプサイシンを摂り過ぎてしまうと、のどや胃が荒れやすくなるといわれています。摂り過ぎには気を付けましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医