風邪をひいたときにおすすめの食べ物とは?
摂るべき栄養素についても紹介

風邪をひくと、のどの痛みや鼻水、くしゃみ、咳などの症状が現れます。インフルエンザのように、高熱になったり重症化したりすることはあまりありません。

しかし、できることなら日頃から風邪をひかないように予防したり、風邪をひいても早く治るように体調を整えたりしておきたいものです。

今回は、風邪に対して効果が確認されている栄養素や食べ物を紹介します。

1.風邪に対する効果が報告されている栄養素について

風邪に対する予防効果が確認された栄養素は、以下のとおりです。

  • ・ビタミンD

  • ・ビタミンC

  • ・亜鉛

  • ・プロバイオティクス(乳酸菌、ビフィズス菌など)

  • ・プレバイオティクス(β-グルカン、オリゴ糖など)

ビタミンDは、腸管や腎臓でカルシウムやリンの吸収を促進する成分です。骨を作る手助けをする栄養素として知られています。

ビタミンCは、皮膚や細胞のコラーゲンを作るために必要な栄養素です。欠乏すると、疲労感やいらいら、出血や貧血などが見られる壊血病を来すことがあります。抗酸化作用があるため、活性酸素を取り除いて細胞を守る働きがあることも特徴です。

亜鉛は、さまざまな生理機能を助ける栄養素として知られています。体内では、骨格筋や骨、皮膚や脳などに多く分布している成分です。

プロバイオティクスは、生きて腸まで到達する微生物のことを指します。プレバイオティクスは、オリゴ糖のようにプロバイオティクスの増殖を助けるものです。

2.風邪をひいたときにおすすめの食べ物

風邪に対する効果が期待されているビタミンDやビタミンCなどは、次のような食べ物に多く含まれています。

2-1.ビタミンDを含む食べ物

食品名 100gあたりの成分量
乾燥あらげきくらげ 130.0μg
かつお塩辛 120.0μg
あんこう(きも) 110.0μg
しらす干し 61.0μg
煮干し 54.0μg
イクラ 44.0μg
焼きべにざけ 38.0μg
にしんの開き干し 36.0μg
まいわし 32.0μg
いかなごのつくだ煮 23.0μg

引用:文部科学省「食品成分データベース

ビタミンDは、魚介類やきのこ類に多く含まれている成分です。最もビタミンDを多く含んでいる食品として、きのこ類の乾燥きくらげが知られています。100gあたり130.0μgのビタミンDが含まれており、気軽に摂取できます。

魚介類では、かつお塩辛にビタミンDが多く含まれています。100gあたりの含有量は、120.0μgです。上の表以外では、マーガリンやにじます、めざしなどにもビタミンDが多く含まれています。

2-2.ビタミンCを含む食べ物

食品名 100gあたりの成分量
アセロラ 1,700mg
ケールの青汁 1,100mg
パセリ 820mg
焼きのり 210mg
赤ピーマン 170mg
キャベツ 160mg
ゆずの果皮 160mg
ブロッコリー 150mg
レモン 100mg
にがうり 76mg

引用:文部科学省「食品成分データベース

レモンのビタミンC含有量は、100gあたり100mgです。イメージほど特別に多く含まれていることはなく、レモン以外にもアセロラやパセリなど、ビタミンCを多く含む食べ物はほかにもたくさんあります。

2-3.亜鉛を含む食べ物

食品名 100gあたりの成分量
かき 18.0mg
小麦胚芽 16.0mg
ビーフジャーキー 8.8mg
ごまさば 8.4mg
パルメザンチーズ 7.3mg
まいたけ 6.9mg
抹茶 6.3mg
干しわらび 6.2mg
いりごま 5.9mg

引用:文部科学省「食品成分データベース

亜鉛を多く含む食べ物で代表的なのは、かきです。100gあたり18.0mg含まれています。その他、小麦胚芽やビーフジャーキー、まいたけなども亜鉛を多く含む食品です。

2-4.プロバイオティクスを含む食べ物

人間の腸内には、およそ1,000種類もの細菌が生息しています。個数にして100兆個もの腸内細菌が存在するなか、体の健康に関わっているのが善玉菌です。

プロバイオティクスを摂取すると、善玉菌を増やすことができます。プロバイオティクスは、以下のビフィズス菌や乳酸菌を含まれている食品が代表的です。

  • ・ヨーグルト

  • ・乳酸菌飲料

  • ・納豆

  • ・漬け物

プロバイオティクスのような善玉菌は、生きたまま腸に届かないと意味がないとされています。

しかし、死んだ状態でも有効な働きをしてくれるため、まったく意味がないわけではありません。プロバイオティクスは、摂取しても腸内に住みつくことはないため、毎日続けて摂取することが大切です。

2-5.プレバイオティクスを含む食べ物

プレバイオティクスは善玉菌そのものではありませんが、摂取することで善玉菌を増やす働きが期待できます。

プレバイオティクスの食品成分であるオリゴ糖や食物繊維は、野菜類・果物類・豆類などに多く含まれています。

プレバイオティクスが含まれているおもな食べ物は、以下のとおりです。

  • ・大豆

  • ・玉ねぎ

  • ・ごぼう

  • ・ねぎ

  • ・にんにく

  • ・アスパラガス

  • ・バナナ

食事から摂取するのが難しい場合は、特定保健用食品などを利用するのもよいでしょう。

栄養のある食べ物をしっかり摂って風邪の対策をしよう

風邪に対する効果が認められている栄養素は、ビタミンDやビタミンC、プロバイオティクス、プレバイオティクス、亜鉛が知られています。

ビタミンDを含む食べ物は乾燥あらげきくらげやしらす干し、ビタミンCを含むものとしてはアセロラやパセリなどが代表的です。

亜鉛は、かきや小麦胚芽などに多く含まれています。プロバイオティクスはヨーグルトや乳酸菌飲料、プレバイオティクスは大豆や玉ねぎなどから摂るとよいでしょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。