1.ビタミンKとは
ビタミンとは、体の機能を正常に保つのに必要な有機化合物です。体内でほとんど合成できないため、食品から摂取する必要があります。
ビタミンは水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分けることができますが、ビタミンKは脂溶性ビタミンの一つで、水に溶けない性質を持っています。
おもに脂肪組織や肝臓に貯蔵され、肝臓において血液凝固因子を活性化したり、骨形成を調整したり、動脈の石灰化を抑制したりとさまざまな働きを担っています。
ビタミンKが不足すると、血液凝固の遅延などの恐れがありますが、通常の食事をとっていれば欠乏症になることはありません。
2.ビタミンKを含む食品と食事摂取基準
ここでは、ビタミンKの食事摂取基準、ビタミンKが多く含まれる食品を紹介します。
2-1.ビタミンKの食事摂取基準
2019年の国民健康・栄養調査によると、成人のビタミンKの一日摂取目安量は、男女ともに150μg/日に定められています。
高齢になるにつれ、消化酵素である胆汁酸や膵(すい)液の分泌量が低下したり、食事からの脂質摂取量が減ったりすることから、ビタミンKの吸収量も低下すると考えられています。
しかし、高齢者の目安量を成人より多めに設定する必要性に関する十分な報告が集まっていないため、高齢者の場合も成人と同じく150μg/日を目安量としています。
妊婦、授乳婦はビタミンK不足などの報告が見当たらないことから、非妊婦時、非授乳時の目安量と同じく150μg/日です。
2019年の国民健康・栄養調査によれば、ビタミンKの平均的な摂取量は男性が246μg/日、女性が235μg/日です。男女ともに目安量(150μg/日)を大きく上回っているため、現在の私たちの食生活において、ビタミンK不足の心配はほぼないと考えてよいでしょう。
2-1.ビタミンKを多く含む食品
普段の食事の中で、ビタミンKはどのような食材に多く含まれているのでしょうか。
ビタミンKの代表的な食材は、納豆です。なかでも、ひきわり納豆のほうが糸引納豆よりもビタミンKが豊富です。
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・ひきわり納豆:100g中930μg
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・糸引き納豆:100g中600μg
納豆よりも多くビタミンKを含む食品は、カットわかめ、パセリ、しそです。
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・カットわかめ 乾:100g中1,600μg
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・パセリ 生:100g中850μg
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・しそ 生:100g中690μg
以下の緑の野菜にも、ビタミンKは多く含まれています。
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・ほうれん草 油いため:100g中510μg
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・春菊 ゆで:100g中460μg
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・モロヘイヤ ゆで:100g中450μg
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・ブロッコリー 焼き:100g中380μg
3.ビタミンKが摂れるおすすめレシピを紹介
ここからは、ビタミンKを多く摂取できるレシピを紹介します。
3-1.野菜のポタージュ風スープパスタ
まず紹介するのは「野菜のポタージュ風スープパスタ」です。
ビタミンK を豊富に含むほうれん草やブロッコリーを使った、野菜たっぷりのパスタです。
【材料】(2人分)
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・ショートパスタ 100g
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・ほうれん草 1/5束
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・玉ねぎ 1/8個
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・さつま芋 50g
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・ブロッコリー 50g
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・にんじん 50g
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・牛乳 100cc
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・塩、こしょう 適宜
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・パルメザンチーズ 適宜
【作り方】
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1.ショートパスタは袋の表示より固めにゆで、野菜はすべて適当な大きさに乱切りします。
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2.鍋に、乱切りした野菜とかぶるほどの水を入れて火にかけ、アクを取りながら野菜がクタクタになるまで煮ましょう。
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3.鍋の野菜を取り出し、ミキサーにかけてピューレ状にします。
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4.ピューレ状になった野菜を鍋に戻して再び火にかけたら、牛乳を加え、塩、こしょうで味を調えます。
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5.パスタを加え、1分程度温めて器に盛り、パルメザンチーズをふったら完成です。
3-2.ゆで豚の納豆ドレッシング
次は「ゆで豚の納豆ドレッシング」です。
ビタミンKを多く含むひきわり納豆やほうれん草を使ったお手軽レシピです。
【材料】(2人分)
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・豚薄切り肉(しゃぶしゃぶ用) 150g
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・ほうれん草 1/2束
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・ひきわり納豆 1パック
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・ポン酢 大さじ2.5
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・サラダ油 大さじ1
【作り方】
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1.鍋に湯を沸かし、ほうれん草をゆでます。火が通ったら冷水に取り、粗熱を取りましょう。
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2.鍋に豚薄切り肉を1枚ずつ広げながらゆで、色が変わったら取り出します。
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3.ほうれん草は4cm長さに切ります。
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4.ひきわり納豆、ポン酢、サラダ油をよく混ぜ合わせてドレッシングを作ります。
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5.皿に豚薄切り肉とほうれん草を盛り、4のドレッシングをかけて完成です。
ビタミンKを含む食品を摂取して健やかな毎日を過ごそう
ビタミンKは、血液凝固や骨の形成に役立つ必須の栄養素です。
ビタミンKが不足すると、血液凝固の遅延などになる可能性がありますが、通常の食事をとっていれば欠乏症になることはありません。
ビタミンKのおもな食材は納豆、カットわかめ、パセリ、しそなどがあります。
今回紹介したビタミンKの食材やレシピを取り入れ、毎日の食事から血流や丈夫な骨を維持していきましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。