1.β-カロテンとは?
β-カロテンとは、どのような栄養素なのでしょうか。体内でのβ-カロテンの働きを解説します。
1-1.β-カロテンの働き
β-カロテンは、カロテノイド(動植物に存在する黄色または赤色の色素成分)の一種。にんじんやかぼちゃなどの、緑黄色野菜の黄色または赤色はβ-カロテンが含まれている証です。
β-カロテンは食品から摂ると体内でビタミンAへと変換され、「活性酸素」の発生を抑えて取り除く作用があります。
活性酸素とは、呼吸で体内に取り込んだ酸素の一部が変化したもので、体内に侵入した細菌やウィルスから体を守る働きを持ちます。
なお、私たちの体内にはもともと、活性酸素を抑える「抗酸化作用」がありますが、この機能は年齢とともに衰えるため、抗酸化作用を持つ食品を摂ることが大切です。
1-2.β-カロテン・ビタミンAの一日の摂取量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」ではβ-カロテンの一日の摂取目安量は示されていません。β-カロテンは体内でビタミンAに変換されるため、ここではビタミンAの一日摂取量を紹介します。
推奨量(㎍RAE/日)
年齢 |
男性 |
女性 |
18~29歳 |
850 |
650 |
30~49歳 |
900 |
700 |
50~64歳 |
900 |
700 |
65~74歳 |
850 |
700 |
75歳以上 |
800 |
650 |
妊婦後期(付加量) |
- |
+80 |
授乳婦(付加量) |
- |
+450 |
※推奨量:ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
※目安量:推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量
※上限量:ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2.β-カロテンが豊富な野菜・果物
ここでは、β-カロテンを多く含んでいる食材と、100gあたりの含有量を野菜と果物に分けて紹介します。
2-1.β-カロテンが豊富な野菜
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・にんじん(6,900㎍)
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・にら(3,500㎍)
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・かぼちゃ(日本:700㎍、西洋:3,900㎍)
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・パプリカ(赤:940㎍、黄:160㎍)
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・ほうれん草(4,200㎍)
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・春菊(4,500㎍)
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・グリンピース(410㎍)
2-2.β-カロテンが豊富な果物
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・あんず(1,400㎍)
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・マンゴー(610㎍)
-
・干し柿(370㎍)
参照:文部科学省「食品成分データベース」
3.β-カロテン・ビタミンAが摂れるおすすめレシピ
β-カロテン・ビタミンAが摂れるレシピを2品紹介します。ぜひ作ってみてください。
3-1.春菊とソーセージのガーリックソテー
最初に紹介するのは、にんにくのきいた「春菊とソーセージのガーリックソテー」のレシピをご紹介します。
【材料】(2人分)
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・春菊 1束
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・ソーセージ 4本
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・にんにく 1/2片
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・オリーブ油 大さじ1/2
-
・塩 適量
-
・こしょう 適量
-
・しょうゆ 小さじ1
【作り方】
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1.春菊は根元を切り落として半分の長さにカットします。ソーセージは斜め切りにし、にんにくは薄切りにしておきましょう。
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2.フライパンにオリーブ油、にんにくを入れて弱火にかけます。香りが立ってきたら、ソーセージを入れて炒めましょう。
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3.ソーセージに火が通ったところで、春菊を入れてさっと炒めます。
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4.春菊がしんなりしてきたら塩、こしょう、しょうゆを加えて味を調えたら完成です。
春菊はすぐに火が通るため、炒めすぎに注意しましょう。
3-2.にんじんのロースト クミンの香り
次に、「にんじんのロースト クミンの香り」です。
【材料】(作りやすい分量)
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・にんじん 2本
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・塩 小さじ0.5
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・クミンシード 小さじ1
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・こしょう 適量
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・オリーブ油 大さじ2
【作り方】
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1.にんじんはよく洗い、皮付きのまま縦に8等分にカットします。
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2.ポリ袋などににんじん、クミンシード、オリーブ油、塩、こしょうを入れてよく混ぜ合わせましょう。
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3.オーブンを200度に予熱する。天板にオーブンシートをセットし、にんじんを広げて30~35分ほど焼いたら完成です。
にんじんのほかに、かぼちゃを使っても、β-カロテンが豊富に摂れておいしく作れるためおすすめです。
β-カロテンは抗酸化作用を持つ栄養素
β-カロテンは、活性酸素を抑えてくれる「抗酸化作用」を持つ栄養素です。
そのため、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、マンゴー、パパイヤなどの野菜や果物から積極的にβ-カロテンを摂るようにしましょう。
今回紹介したレシピはβ-カロテンも補給できて、簡単に作れるものが多いものばかりです。日々のメニューにぜひ取り入れてみてください。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医