1.腸内環境に悪い影響を与える「悪玉菌」とは?
人にはおよそ1,000種類、数にすると100兆個もの腸内細菌が生息しているとされ、悪玉菌、善玉菌、日和見菌(善玉菌と悪玉菌の中間の菌)の3つに分類されます。
腸内環境に悪いイメージのある悪玉菌は不規則な生活やストレス、肉類などのたんぱく質や脂質の摂りすぎによって増加するものです。
この悪玉菌は腸内環境に悪影響をもたらすだけのものではありません。肉などのたんぱく質や脂質を分解して便として体の外に排泄する役割を持っているため、悪玉菌も体にとっては重要な菌です。
しかし、肉類や脂っこい食事ばかりをしていると悪玉菌が増えすぎて有害物質を作り、腸内環境が悪化します。腸内環境が悪化すると善玉菌が増殖できなくなり悪玉菌が増加してしまうのです。
腸内環境を良い状態で保つためには、悪玉菌を過剰に増やさず、善玉菌を増やすことが大切になります。
2.腸内に悪玉菌が増えるおもな原因
腸内の悪玉菌は日々の生活や食事などによって増えていきます。腸内環境を悪くしているおもな原因を以下で確認してみましょう。
3.腸内環境が悪い場合に現れる症状
腸内環境が悪い場合に現れる症状は便秘や下痢などのお腹の不調、にきびや肌荒れなどです。
便は腸に長くあるほど硬くなってしまう傾向があり、いきまないと出づらくなくなることから便秘の原因になりえます。また、腸内環境が乱れ悪玉菌が増加することによって、アンモニアや硫化水素などの毒素を作ります。この毒素が腸から吸収されることで、にきびや肌荒れになってしまうのです。
腸内環境が悪くなっていないかは、日々の便によって確認可能です。
便が黒っぽく、臭いが強い場合は、腸内環境のバランスが悪くなっている可能性があります。腸内環境が良い状態の便は、善玉菌が多くの酸を作っているためバナナ状で、色は黄色から黄色っぽい褐色です。このバナナ状の便は、力を入れなくてもストンと排便されます。
4.腸内環境を整えるポイント
理想的な腸内環境は悪玉菌10%、善玉菌20%、日和見菌70%といわれています。
腸内環境が健康な状態になることによって、悪玉菌が棲みづらくなり善玉菌の割合が多く保てるようになります。
腸内環境を良くするために日々の食事や生活を見直してみましょう。
4-1.食事
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善玉菌を増やす食事
腸内の細菌は毎日の食事によって大きく左右されています。善玉菌を増やすために乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトや、納豆、漬物などの発酵食品を摂取することを心がけましょう。毎日継続して食べることで、腸内に善玉菌を増やすことができます。
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善玉菌が喜ぶ食事
善玉菌のエサである食物繊維やオリゴ糖を摂ることもおすすめです。食物繊維やオリゴ糖は消化・吸収されることなく大腸まで届きます。大豆製品や玉ねぎ、ごぼう、ねぎ、アスパラガス、にんにく、バナナなど積極的に食べていきましょう。
4-2.生活
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適度な運動
ウォーキングなどの下半身の運動によって腸そのものが動き、便を送り出すあと押しをしてくれます。エレベーターを使わずに階段を使用したり、車を使わずに歩いて買い物に行ったり、電車を一駅手前で降りたりするなどの運動を心がけていきましょう。
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十分な睡眠と朝食
しっかりと睡眠をとり、空腹時間を作りましょう。空腹時間が続くことによって朝食を摂取したときに胃が刺激され、大腸が反射的に動くようになります。
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起床時コップ1杯の習慣を
起床時にコップ1杯の常温の水や白湯を飲むことがおすすめです。冷えた水はお腹を冷やす原因になるため控えたほうがよいでしょう。
腸内環境において悪い症状が出たら生活習慣を見直しましょう
腸内環境は毎日の食事が大きく影響するものです。
悪玉菌は肉類などのたんぱく質や脂っこい食事の摂りすぎなどで増加します。一方善玉菌は、乳酸菌やビフィズス菌などを多く含む発酵食品に多く含まれているため、これらを積極的に摂取することがおすすめです。
さらに、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を含む野菜類や海藻類、穀物類を積極に摂ることにより健康的な腸内環境を目指せます。
また、適度な運動、十分な睡眠と朝食も腸内環境を良好に保つ手段の一つです。
日々の食事や生活の見直しを心がけ、理想的な腸内環境を目指していきましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。