1.シミのおもな種類
シミには「老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)」、「雀卵斑(じゃくらんはん)」、「肝斑(かんぱん)」などの種類があり、それぞれ原因や特徴が異なります。
老人性色素斑は顔や手の甲などに出やすい境界のはっきりした褐色斑で、40代以降の男女に多く見られるものです。
雀卵斑は5mm以下の小さなシミが顔や手の甲、腕などの露出部に多く出現し、色白の方に多いといわれています。
肝斑は20代後半から40代女性に多い褐色のシミで、頬に出やすく、左右対称で境界線がはっきりしている点が特徴的です。
2.肌にシミができるおもな原因
肌にシミができるおもな原因を、シミの種類ごとに解説します。
2-1.老人性色素斑
老人性色素班のおもな原因は紫外線です。これまで大量に浴びてきた紫外線の影響でメラノサイトからメラニンが作られやすくなり、皮膚にメラニンが増加するために出現します。
2-2.雀卵斑
雀卵斑には遺伝の影響があるといわれており、家族内発生が見られることがあります。
さらに、強い紫外線にさらされると悪化しやすくなることが知られています。
2-3.肝斑
肝斑が悪化するおもな原因は紫外線であり、春先から夏にかけての紫外線の強い季節に濃くなりやすいシミです。一方で、紫外線の弱い季節には肝斑は薄くなる傾向があります。
また、妊娠時に肝斑が濃くなり出産後に目立ちにくくなる方もおり、女性ホルモンが肝斑に影響しているともいわれています。
3.肌にできるシミを予防する方法5選
シミを予防し、今あるシミを悪化させないための方法を5つご紹介します。
3-1.紫外線を避ける
老人性色素班や雀卵斑、肝斑などはいずれも紫外線の刺激を受けると悪化するため、シミ予防には紫外線を避けることが重要です。紫外線によって体内で活性酸素が発生し、メラニンを過剰に生成したり、肌の奥のコラーゲンを変性したりしてシミやくすみにつながるのです。
外出時に日傘やつば広の帽子を使い、長袖長ズボンを着用しましょう。スカートのときは、ストッキングをはくことで紫外線をカットしやすくなります。日焼け止めは日常生活ではPA+~PA++・SPF10~20、炎天下で長時間過ごすときはPA++++・SPF50を目安に選び、2~3時間おきにこまめに塗り直しましょう。
3-2.バランスの良い食事を心がける
栄養バランスの良い食事は、体の内側から健やかな肌を支えます。年齢を重ねた肌は紫外線などのダメージが蓄積されているため、根気強く継続的にケアしていくことが重要です。
たんぱく質やビタミン、炭水化物、脂質、ミネラルの5大栄養素を、バランス良く摂取しましょう。
3-3.ビタミン豊富な食品を摂る
ビタミンのなかでも、特に抗酸化作用のあるビタミンA、C、Eを積極的に摂るのがおすすめです。紫外線は活性酸素を発生させて肌ストレスを引き起こしますが、これらのビタミンは活性酸素の働きをおさえることが知られています。
野菜や果実、ナッツ類など、さまざまな食品から幅広く摂取するとよいでしょう。
3-4.しっかりと睡眠をとる
質の良い睡眠を十分にとることも、シミ予防の重要なポイントです。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌を修復する働きがあるためです。
快眠には規則正しい生活習慣が欠かせません。できるだけ毎日同じ時間に布団に入るようにすると、体内時計のリズムが整ってスムーズに眠れるのでおすすめです。
3-5.肌の保湿を心がける
シミをはじめとした肌老化への対策には、肌の保湿も欠かせません。
肌の乾燥が進んでしまうと、各層のバリア機能が低下してさらに紫外線のダメージを受けやすくなるおそれがあるためです。
顔や体に化粧水や美容液、クリームをしっかりと塗ることを習慣づけてください。食事や睡眠による体の内側からのケアと併せて、十分な保湿で体の外側から働きかけてシミ対策を行ないましょう。
シミを予防して若々しい肌をキープしましょう
シミには老人性色素班や肝斑などいくつかの種類がありますが、いずれも紫外線を浴びると悪化しやすいことが知られています。日焼け止めを塗ったり帽子をかぶったりと、日頃から紫外線対策を行なって紫外線から肌を守っていきましょう。
また、食生活を整え、良質な睡眠をとることや、肌を保湿することも若々しい肌を保つためには重要です。年齢を感じさせない若々しい肌作りのために、できることから始めていきましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。