目次
1.オメガ3(n-3)系脂肪酸のおもな働き
オメガ3(n-3)系脂肪酸は、脳の情報伝達を活発にする働きがあります。また、LDLコレステロールを減らす働きもあります。
オメガ3(n-3)系脂肪酸は最近の日本人の食事で不足しがちな栄養素のため、効率良く摂取して、健康的な体を目指しましょう。
近年、“体に良い油”として話題を集めているのが「オメガ3系(n-3)脂肪酸」です。
「えごま油」や「亜麻仁油」などが脚光を浴びていますが、実際のところ、どの程度オメガ3(n-3)系脂肪酸が含まれているのでしょうか。
今回は、オメガ3(n-3)系脂肪酸の働きや一日の摂取目安量、えごま油と亜麻仁油を使ったおすすめのレシピも紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
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オメガ3(n-3)系脂肪酸は、脳の情報伝達を活発にする働きがあります。また、LDLコレステロールを減らす働きもあります。
オメガ3(n-3)系脂肪酸は最近の日本人の食事で不足しがちな栄養素のため、効率良く摂取して、健康的な体を目指しましょう。
オメガ3(n-3)系脂肪酸は、油のなかでも特に「えごま油」と「亜麻仁油」に豊富に含まれています。サラダ油が100gあたり0.3gに対して、えごま油と亜麻仁油は100gあたり2.3gです。実に7.6倍ものオメガ3(n-3)系脂肪酸が含まれています。
オメガ3(n-3)系脂肪酸を効率良く摂取するには、えごま油と亜麻仁油を意識的に食事に取り入れるとよいでしょう。
【オメガ3(n-3)系脂肪酸が多い油100g中および小さじ1杯(4g)中に含まれる含有量】
食品名 | オメガ3(n-3)系脂肪酸含有量(g)/100g中 | オメガ3(n-3)系脂肪酸含有量(g)/小さじ1杯中 |
---|---|---|
えごま油 | 58.3 | 2.3 |
亜麻仁油 | 56.6 | 2.3 |
なたね油 | 7.5 | 0.3 |
サラダ油 | 6.8 | 0.3 |
大豆油 | 6.1 | 0.2 |
参考:文部科学省「食品成分データベース」
食用油以外の代表的はオメガ3(n-3)系脂肪酸にはDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)があり、さんま・マグロ・イワシ・サバなどの青魚に多く含まれています。その他、クルミなどの種実類もオメガ3(n-3)系脂肪酸を効率良く補給できる食品です。
【オメガ3(n-3系)系脂肪酸が多い魚100g中に含まれる含有量】
食品名 | オメガ3(n-3)系脂肪酸含有量(g) |
---|---|
サバ(生) | 6.6 |
マグロのトロ(生) | 5.8 |
さんま(生) | 5.6 |
参考:文部科学省「食品成分データベース」
【オメガ3(n-3)系脂肪酸が多い種実類100g中に含まれる含有量】
食品名 | オメガ3(n-3)系脂肪酸含有量(g) |
---|---|
チアシード(乾) | 19.4 |
クルミ(炒り) | 9.0 |
ペカンナッツ(味付き・揚げ) | 1.0 |
参考:文部科学省「食品成分データベース」
オメガ3(n-3)系脂肪酸は体内で作り出すことができないため、食事から補給する必要があります。
オメガ3(n-3)系脂肪酸の弱点は、空気・光・熱で酸化しやすいことです。このため、炒め料理や揚げ料理には向きません。えごま油や亜麻仁油を料理に使う際は、ドレッシングなど加熱せずに使うのがよいでしょう。青魚などの調理は、刺身やカルパッチョなどがおすすめです。
ビタミンCが多いレモン汁をかけるなど、抗酸化作用のある食材と組み合わせることで酸化を防げます。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、オメガ3(n-3)系脂肪酸の一日の必要摂取目安量は以下のとおりです。
【n-3系脂肪酸の一日の目安量】
年齢 | 男性(g) | 女性(g) |
---|---|---|
30~49歳 | 2.0 | 1.6 |
50~69歳 | 2.2 | 1.9 |
65~74歳 | 2.2 | 2.0 |
75歳以上 | 2.1 | 1.8 |
※目安量:推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量
※引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
オメガ3(n-3)系脂肪酸が特に多い「えごま油」と「亜麻仁油」には、“小さじ1杯で2.3g”のオメガ3(n-3)系脂肪酸が含まれています。これらの油を毎日小さじ1杯食卓に取り入れることで、目安量を満たすことができるでしょう。
えごま油と亜麻仁油は、無味無臭でクセがないものが多く、納豆やお浸し・ヨーグルトなど、普段の食事にかけても違和感なく食べることができます。
また、オメガ3(n-3)系脂肪酸は、一般的な食事であれば過剰摂取の心配はないでしょう。極端な大量摂取ではカロリーの摂り過ぎなどの懸念はあるものの、過剰摂取で健康を害するという十分な根拠がないため、耐容上限量は設定されていません。
ここからは、オメガ3(n-3)系脂肪酸がたっぷりの油を使ったおすすめレシピを2品紹介します。
まず紹介するレシピは、亜麻仁油を入れることでトマトのリコピンの吸収率がアップする「トマトとサーディンのサラダ蕎麦」です。
• 蕎麦(乾麺) 1束
• オイルサーディン 2尾
• みょうが(小口切り) 1本
• 大葉(千切り) 5枚
• 白髪ねぎ 4cm分
• トマト(小) 1個
• めんつゆ(2倍濃縮) 大さじ3
• 亜麻仁油 大さじ2
• レモン汁 小さじ1
• おろししょうが 小さじ1/2
1. オイルサーディンは粗くほぐし、みょうが・大葉・白髪ねぎと合わせておきます。
2. トマトは湯むきして1cm角に切り、めんつゆ・亜麻仁油・レモン汁・おろししょうがを加え、混ぜましょう。
3. 蕎麦は袋の表示どおりに茹でてザルに上げ、冷水で洗って表面のぬめりを取り、水気を切ります。
4. 器に蕎麦を盛り、2をかけて、1を載せれば完成です。
次に紹介するのは、野菜もたっぷり摂れる「ぶりトロ刺身のさっぱりサラダ仕立て」です。
• ぶりトロ(刺身用) 100g
• 大根 5cm
• 紫玉ねぎ 1/4個
• ブロッコリースプラウト 1パック
• 大葉 5枚
• ポン酢 大さじ3
• えごま油 大さじ1
1. 大根は皮をむき、細切り用のスライサーで細長く切ってください。紫玉ねぎは薄切り、ブロッコリースプラウトは根元だけ切り落とします。
2. 1の野菜はサッと水にさらしてから、水気をしっかりと切りましょう。大葉は縦半分に切ります。
3. 大皿を取り囲むように大葉を並べ、2.の野菜で土手を作るように円形に盛り付けましょう。
4. ぶりトロの刺身は5mm程度の厚さに切り、3の野菜に立てかけるように盛り付けます。
5. 残りの野菜を中央にふんわりと盛り付けましょう。
6. ポン酢とえごま油を混ぜ合わせてドレッシングを作り、5の大皿に添えて完成です。
オメガ3(n-3)系脂肪酸は、脳の健康などさまざまな健康効果が期待できる栄養素です。
オメガ3(n-3)系脂肪酸は体内で作り出すことができないため、毎日の食事から摂り入れる必要があります。マグロやイワシ、サバなどの青魚に豊富に含まれていますが、毎日魚を食べるのは簡単なことではありません。
不足しがちなオメガ3(n-3)系脂肪酸を毎日手軽に摂取できるのが。「えごま油」と「亜麻仁油」です。これらを毎日小さじ1杯摂ることで、必要量を満たすことができます。
ぜひ、今回紹介したレシピも参考にして、“毎日小さじ1杯”の健康習慣を取り入れてみてください。
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。
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