血管運動性鼻炎とは?症状と対処法について解説

季節が変わる頃、くしゃみや鼻水といったアレルギー性鼻炎のような症状に悩まされていませんか。風邪やアレルギーではないのに、このような症状が出た場合、血管運動性鼻炎の可能性があります。

寒暖差アレルギーとも呼ばれるこの鼻炎は、自律神経と深い関係があるのが特徴です。しかし、アレルギー性鼻炎や風邪の症状と何が違うのか、気になる方も多いでしょう。

そこで今回は、血管運動性鼻炎のおもな症状や対処法について解説します。

1.血管運動性鼻炎とは?

血管運動性鼻炎は、寒暖差アレルギーを含む鼻炎の一種であり、冬から春といった季節が変わるタイミングに症状が出ます。例えば、くしゃみや鼻水などアレルギー性鼻炎と似たような症状が出るのが特徴です。

しかし、検査を受けてもアレルギーの原因は特定できず、ウイルス感染による炎症も認められないなど、原因が明確ではない鼻炎もあります。そのような場合はアレルギー性鼻炎ではなく、血管運動性鼻炎である可能性が高いでしょう。

血管運動性鼻炎のはっきりとした原因は究明されていません。しかし、約7度以上の寒暖差が生じた場合、鼻粘膜の自律神経が乱れ鼻炎の症状が現われるとも考えられています。

さらに、タバコ・排気ガスといった化学物質や精神的ストレスなども、血管運動性鼻炎の原因になるでしょう。

このように、自律神経のバランスを乱すような刺激に触れることが原因であるケースが多い傾向です。

2.血管運動性鼻炎のおもな症状

血管運動性鼻炎は、アレルギー性鼻炎と同じようなくしゃみ・鼻水・鼻づまりなどがおもな症状です。しかし、目のかゆみや充血といったアレルギー性鼻炎特有の症状は起こりません。

また、風邪の症状である熱っぽさや黄色っぽい鼻水などはありませんが、だるさを覚えます。アレルギー性鼻炎の症状はあるものの、目の症状や発熱はなくだるさを感じる場合は、血管運動性鼻炎が疑われるでしょう。

3.血管運動性鼻炎の対処法

血管運動性鼻炎の対処法は、温度差に注意して血行の改善や自律神経を整えることがポイントです。また栄養バランスの取れた食生活も意識しましょう。ここからは、それぞれの対処法について詳しく解説します。

ただし、症状が良くならない場合は、耳鼻科やアレルギー科を掲げている医療機関を受診することも必要です。

3-1.温度差を小さくする

鼻の粘膜を刺激しないよう温度差を小さくすることが大切です。例えば室温の低い部屋は、事前に暖めておくことで温度差を最小限にできるでしょう。外出時は、温度差が小さくなるよう上着を用意して、常に体温調整できるように準備することが重要です。

3-2.血流を改善する

血流を改善して体を冷やさないことも意識しましょう。例えば、手袋や羽織ものなどを使って、体を温めることが大切です。さらに、散歩やストレッチなどの軽い運動で、体温を上げるのもよいでしょう。

また、体を内側から温めるのもおすすめの方法です。しょうがやとうがらしなど、体を温める効果のある食材を積極的に摂ることをおすすめします。

3-3.自律神経を整える

自律神経の乱れで起こる血管運動性鼻炎は、規則正しい生活を送りリズムを整えることが大切です。
一日3食しっかり食べて十分な睡眠時間を確保しましょう。そうすることで、自律神経のバランスが安定します。
またストレスを感じている方は、適度に発散し精神面でも健康でいることが重要です。

3-4.食生活の改善

食生活の見直しも、血管運動性鼻炎の対処法として取り入れましょう。食事内容が偏らないように、栄養バランスの整った食事を意識することが大切です。例えば、エネルギーを作り出す際に重要なタンパク質や、体調を整える作用のあるビタミンやミネラルを意識して摂取することをおすすめします。

生活を見直して血管運動性鼻炎を改善しましょう

血管運動性鼻炎は、アレルギー性鼻炎に似た症状と風邪のようなだるさを感じるのが特徴です。しかし、アレルギーが原因ではなく、なぜ起こるのかはまだわかっていません。考えられる原因は、寒暖差や排気ガスなどによって鼻の粘膜の自律神経が崩れて鼻炎を引き起こすということです。

血管運動性鼻炎を改善するためには、温度差を小さくすることや血流の改善、規則正しい生活を送り自律神経を整えることが重要です。さらに栄養バランスの整った食事をしっかり摂り、体調を整えることもポイント。血管運動性鼻炎で悩んでいる方は、今の生活を見直してみましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。