朝メンタルの不調を感じる原因と改善方法について解説

朝起きるとだるさがあったり、なかなか起きられなかったりという経験がある人もいるでしょう。これにはさまざまな要因が考えられますが、不調を放置してしまうと心や体の病気をまねくおそれもあります。

今回は、朝にメンタルが不調になる要因や、その改善方法についてご紹介します。朝すっきり目覚めたいという人はぜひ参考にしてみてください。

1.朝メンタルが不調・・・その原因は?

朝にメンタルが不調になるのはさまざまな要因があります。ここでは4つの原因について解説します。

1-1.エネルギー不足

人間の脳はブドウ糖をエネルギーとして使っていますが、起床時はそのブドウ糖が不足している状態です。

本来であれば朝食を摂ることで不足したエネルギーを補うことができますが、朝食を摂らないとエネルギー不足の状態が続くため、仕事や勉強に集中ができません。

1-2.生活リズムの乱れ

私たちの体には、体内時計と呼ばれるものがあります。

体内時計は、健康的に過ごすための睡眠や体温、血圧やホルモン分泌などに関わる大切な機能であり、日光を浴びることによって活動的に、太陽が沈むと休息するように働きかけているのです。

これは「体内リズム」と呼ばれていて、体内リズムが普段の生活リズムとずれると、体にストレスがかかってしまいます。

ストレスがたまると、活動に支障が出たり、メンタルが不安定になったりする要因にもなるのです。

1-3.自律神経失調症の可能性

自律神経とは、健康的な体を維持するために体内のあらゆる機能を調整してくれる神経のことで、交感神経と副交感神経の2種類に分かれています。

この2種類の神経は体に対して正反対の働きをしているものです。交感神経は活動的に動くときに働き、副交感神経は体を休めるときに働きます。

交感/副交感神経がバランスを取りながら体の調整をしていますが、不規則な生活やストレスなどによりバランスが崩れてしまうことがあります。これは自律神経失調症と呼ばれ、だるさや頭痛のほか、朝なかなか起きられなくなる要因にもなりえます。

1-4.うつの可能性

うつ病とは、ストレスなどが要因となって起こる、心と体どちらにも症状が出る病気です。

心の症状としてはやる気が出ない、悲しい気分になるなどの状態があります。

また体の症状としてはめまいや耳鳴り、頭痛などのほかに、なかなか眠れない、朝起きられないなど、睡眠に関する症状が現れることもあるのです。

うつ病は、日本人の約15人に1人が一生のうちに一度はかかるといわれています。そのため、気になる症状があれば早めに専門家へ相談することが大切でしょう。

2.朝メンタルが不調にならないための改善方法

朝にメンタルが不調になる要因についてお伝えしました。ここからは、改善方法について解説します。

2-1.朝食をしっかり食べる

脳のエネルギー不足を予防するためには、朝食をしっかり食べることが大切です。

起床時は、寝ている間にエネルギー源であるブドウ糖を使用するため、ブドウ糖が不足状態になっています。

ごはんなどの主食にはブドウ糖がたくさん含まれているため、朝食をしっかり摂ってブドウ糖を補給し、一日の仕事や勉強に備えましょう。

朝食をしっかり摂るためには夕食の摂り方も大切です。夕食を摂りすぎたり遅い時間に摂ったりすることで、朝食が食べられなくなるという悪循環が生じる可能性あります。
夕食は食べすぎないようにし、しっかり朝食を摂る習慣をつけましょう。

2-2.良い睡眠をとるよう心がける

不眠や睡眠不足などの睡眠に関わる問題とメンタルの不調には、深い関係があることがわかっています。

睡眠時間は6時間以上確保できると理想的です。これによって日中の眠気や疲労感が改善しやすくなり、結果としてうつ状態のリスク低下にもつながります。

また、深い睡眠をとるためには、入浴時間を考慮することも重要といわれています。これは脳の温度が低下すると眠りやすくなり、快眠につながるとされるためです。

ただし、就寝直前の入浴は寝付きを悪くすることが懸念されます。深い睡眠を得るには就寝する2~3時間前の入浴が理想的でしょう。

2-3.規則正しい生活をする

私たちの睡眠と覚醒リズムは脳内にある体内時計によって調整されています。

この体内時計の一日あたりの周期は、地球の周期である24時間よりも少し長め(約25時間)であり、光などの刺激によって24時間に合わせて修正されることがわかっています。

しかし、この体内時計の調整がうまくいかないと睡眠に問題が生じやすく、体にも不調が現れやすくなってしまうのです。

つまり、体内時計を調整することは、良い睡眠を取るためにも大切といえます。

朝起きたら日光を浴びることで、後ろにずれる体内時計を早められます。起床後はまずカーテンを開けて自然光を浴びるようにしましょう。さらに、昼間の光を浴びることで、夜になると眠りを促すメラトニンというホルモンを増やすことがわかっています。

また、夜の光は体内時計を遅らせる働きがあるため注意が必要です。深夜になるほどその力が強まり、家庭にある照明の光でも体内時計は遅れてしまいます。

規則正しい生活は良い睡眠につながり、メンタル不調のリスクを減らせるでしょう。

メンタルからくる朝の不調予防には規則正しい生活を心がけよう

朝目覚めたときの不調を予防するためには、朝食を摂ることや、質の良い睡眠を取ることが大切です。そのためには、体内時計を一定に保ち、規則正しい生活を送ることが土台となるでしょう。

また、うつ病などの思わぬ病気が要因となる場合もあります。気になる症状が続くようであれば早めに治療を受けることも検討しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。