1.アレルギーについて
ヒトの体内には、ウイルスや細菌など病気を引き起こす異物から体を守ってくれる免疫というシステムがあります。アレルギーとは、特定の食物や特定の異物に対して体の免疫機構が過敏に反応してしまう現象です。アレルギーを引き起こす代表的な異物にはダニやスギ花粉、食物などがあります。
アレルギー性の病気には、喘息をはじめアトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、花粉症などが存在します。
アレルギー性の病気を持つ人は、複数のアレルギーを発症するケースが少なくありません。例えば、赤ちゃんのときにアトピー性皮膚炎を発症し、そのあとに食物アレルギーや喘息、アレルギー性鼻炎と次々に発症していく方がいます。全員に当てはまるものではありませんが、このようにいくつかのアレルギーの病気が次々と発症していく状態を「アレルギーマーチ」と呼びます。
2.アレルギー症状改善のための食事方法と栄養素の注意点
食物アレルギーを持つ場合は、アレルギーの発症を予防するためアレルゲン(アレルギーの原因物質)を除去した食事が基本です。除去食を実施する際は、アレルギー専門医の正しい診断に基づいた必要最小限のアレルゲン除去が重要になります。自身で除去量を決めるのは危険なので必ず専門医に相談しましょう。
例えば、卵や牛乳など乳製品のアレルギーの場合、控えることでタンパク質などが不足してしまいがちです。そのため、魚や肉、大豆食品でタンパク質を摂るなど、代わりの食品を摂取することで栄養素をしっかり補給しましょう。
3.日常生活でできる改善方法
アレルギー性の病気における代表的な予防方法は次のとおりです。
2014年に行なわれた研究で、新生児のときから保湿剤を使うことによってアトピー性皮膚炎になるリスクが3割以上減少すると判明しました。保湿は皮膚のバリア機能を強化します。スキンケアを徹底し、皮膚バリア機能の改善に努めましょう。そして新たな皮膚感作(感作:アレルゲンに反応すること)を起こさないようにすることが重要です。
食物アレルギーの場合は、誤食を防ぐなど安全性の確保を図ったうえで必要最小限の食品除去を行ないます。また、人によってはわずかな量でもアレルゲンが含まれていると、アレルギー症状が現れます。調理の際は、包丁やまな板、鍋などの調理器具はアレルギー用と一般用を区別して調理しましょう。
また、気管支喘息の予防には、日常の手洗いやうがいでウイルス感染を防ぐことが重要です。
食生活を整えてアレルギー症状改善をサポートしましょう
アレルギーとは、決まった食べ物や異物に体の免疫システムが過剰に反応してしまう現象です。アレルギーの原因物質としてダニやスギ花粉、食物などが挙げられます。
食物アレルギーの方は、アレルギー症状を引き起こさないためにアレルゲン除去食が欠かせません。しかし、アレルゲンの除去に気を遣うあまり、栄養素が不足してしまうおそれもあります。そのため、アレルゲン除去食を行なうときは、専門医の指示にしたがい、安全を確保した必要最小限の除去にとどめましょう。
食事を含めた日常生活でできる改善方法を行なって、アレルギー症状を予防しましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。