1.前立腺肥大症かも?まずは症状をチェック
前立腺肥大症の原因の一つは加齢であり、決して珍しいものではありません。治療が必要になるのは、肥大が見られる方のうち25%程度です。前立腺肥大症の患者さんは年々増加傾向にあります。
1-1.前立腺肥大症が疑われる場合の症状
前立腺肥大症の重症度は、大きく1期から3期までわけられることが特徴です。進行度によって、次のような症状が現れることが知られています。
1期 |
・頻尿になる ・夜間に何度も尿意をもよおす・尿が出るまでに時間がかかる ・トイレに行くまでに漏れる ・尿が数回にわけて少しずつ出る |
2期 |
・排尿後でも膀胱に尿が残っている感じがする ・力を入れないと尿が出ない |
3期 |
・尿がポタポタと落ちるようにしか出ない ・排尿するのに数分かかる ・尿がだらだらと漏れる ・尿が出なくなる |
参照:日本医師会「健康ぷらざ」
1-2.前立腺肥大症の症状が見られたら
前立腺肥大症は男性の多くに見られるものですが、時に加齢以外のものが原因で肥大していることがあります。重い病気の可能性もあるため、何か気になる症状があれば早めに相談するようにしましょう。
2.前立腺肥大症が疑われる場合の検査について
前立腺肥大症かどうかを確定するためには、いくつかの検査が行なわれます。自覚症状のチェックや問診、残尿測定や超音波検査などが代表的な検査です。
2-1.問診
まずは問診を行ないます。自覚症状を正確に伝えることは難しいため、「国際前立腺症状スコア(IPSS)」を用いて評価を行なうことが一般的でしょう。
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・直近1カ月で排尿後にまだ残っている感じがありましたか
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・直近1カ月で排尿中に尿が何度も途切れることがありましたか
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・直近1カ月で尿の勢いが弱いと自覚するがありましたか
など全7つの項目に対して6段階で評価を行ない、点数をつけます。合計点が7点以下なら軽症、8~19点なら中等程度、20点以上なら重症です。
2-2.通常の検査
問診の結果でおよその判断はつきますが、次のような検査が同時に行なわれることもあります。
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・直腸診
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・超音波検査(お腹の表面から検査)
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・尿流測定
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・残尿測定
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・血液検査
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・尿検査
直腸診は、肛門から指を入れて前立腺を直接触ることで大きさや硬さを調べるものです。超音波検査では、超音波をあてることで前立腺の大きさや形を調べます。
尿流測定は尿の勢いや排尿量などを調べ、残尿測定は排尿後に膀胱へどのくらいの尿が残っているかを調べるものです。血液検査は、血液中のPSA濃度を測定することで前立腺肥大症などの検査を行ないます。尿検査は、血尿やタンパク尿の有無などを調べるものです。
2-3.精密検査
必要に応じて、次のような精密検査も行なわれます。
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・超音波検査(直腸から検査)
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・尿道や膀胱のレントゲン検査
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・内視鏡検査
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・腎臓のレントゲン検査
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・膀胱機能の検査
前立腺肥大症が疑われる場合は早めに検査を受けましょう
前立腺肥大症は、前立腺が肥大することで頻尿や残尿感、尿漏れなどを引き起こす疾患です。
前立腺肥大症が疑われる場合は、国際前立腺症状スコアを用いた問診や直腸診、超音波検査などが行なわれます。
症状が進むと、尿閉を起こして尿がまったく出なくなることもあり、生活の質が著しく低下してしまう可能性があるため、早めに受診するようにしましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。