前立腺肥大症の予防法や症状の特徴について解説

「前立腺肥大症」は、男性であれば加齢とともに発症するリスクがあります。

相談したり受診したりしにくい病気ですが、生活の質を維持するためには早期発見・早期治療が大切です。

前立腺肥大症の症状や予防法を知ることで、今からできることをスタートさせていきましょう。

1.前立腺肥大症の症状とは

前立腺が肥大することによって、尿道や膀胱を圧迫して排尿までに時間がかかるようになり、進行すると尿が出なくなるとされています。

そこに至るまでの症状は3期に分けられます。

1-1.第1期(膀胱刺激期)

  • ・排尿後2時間以内に再び尿意をもよおす(頻尿)

  • ・尿意が原因で夜間睡眠中に何度も目が覚めてしまう(夜間頻尿)

  • ・尿の勢いが弱い(尿勢低下)

  • ・尿が出にくく、排尿までに時間がかかる

  • ・トイレに着く前に漏れてしまう(切迫性尿失禁)

  • ・尿が少量で複数回に分けて出る

1-2.第2期(残尿発生期)

  • ・排尿後も尿が残った感じがしてすっきりしない(残尿感)
    ※残尿感と実際の残尿量とは一致しないケースもある

  • ・排尿時に腹部に力を入れないと排尿できない(腹圧排尿)

1-3.第3期(慢性尿閉塞期)

  • ・尿の勢いが極端に悪い

  • ・排尿に数分かかる

  • ・尿がだらだら漏れる(溢流性尿失禁)

  • ・尿を出したくても出なくなる(尿閉)

前立腺肥大症は上記の第1期~第3期のようなさまざまな自覚症状が現れ、徐々に進行していきます。

残尿は細菌感染症をまねきやすくし、排尿が困難になると腎機能にも悪影響をおよぼし、そのままにしておくと尿毒症に発展する可能性もあるため、適切な治療を受けることが大切です。

2.前立腺肥大症の予防法

日常生活を工夫することで、前立腺肥大症の予防が期待できます。

2-1.尿意を感じたらすぐにトイレへ行く

尿意をもよおした際には、我慢しないですぐにトイレに行くようにしましょう。我慢すると腎臓や膀胱に悪影響を与えてしまう可能性もあります。

2-2.生活習慣を改善する

  • コレステロールの高い食品をなるべく摂らない

    コレステロールの高い食品は、男性ホルモンが活発化するといわれています。前立腺肥大症は、男性ホルモンの関与も疑われていることから、高コレステロールの食品はなるべく摂らないようにすることが必要です。

  • 前立腺肥大症の発症を防ぐ食べ物

    穀物や大豆、野菜などに含まれるイソフラボノイドという成分が、前立腺肥大症の予防に効果があるとされています。バランスのとれた食事のなかに、これらの食品を含めるとよいでしょう。

2-3.薬を飲むとき、かかりつけの医師に相談する

医薬品のなかには、排尿トラブルをまねく成分が含まれているものもあります。おもに風邪薬や抗ヒスタミン剤、精神安定剤などで、これらを服用する際にはかかりつけの医師に相談しましょう。

前立腺肥大症を予防して快適な日常生活を過ごそう

前立腺肥大症は、なかなか相談しにくく、受診へのハードルも高めの病気です。

しかし、加齢とともに発症しやすく、進行すると日常生活でも不便を生じうるケースがあります。

早期発見、早期治療が大切なので、排尿のときに違和感を覚えたら、早めにかかりつけの医師に相談してください。薬や手術などの適切な治療により、病気によって低下していた生活の質を向上させることが期待できるでしょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医