活性酸素が増える原因とは?
活性酸素の発生を抑制する方法についても解説

人間は、酸素なしでは生きることができません。大気中の酸素の割合が18%を切ると、酸欠で息苦しくなります。

酸素は、呼吸をすることで肺に取り込まれます。その後、血液を通って体の隅々に送り込まれ、エネルギーを作って筋肉を動かします。

このエネルギーを作る際に産出されるのが、活性酸素です。

活性酸素は細胞伝達物質や免疫機能として作用する一方、さまざまな病気を引き起こす要因にもなります。

今回は、活性酸素が増える原因、活性酸素の発生を抑制する方法を解説します。

1.活性酸素が増える原因とは?

現代社会は、活性酸素を増やすものが多く存在します。その一つが紫外線です。また、ダイオキシンや排気ガスなどの大気汚染も活性酸素の増加につながります。

喫煙や過度な運動なども、活性酸素を増やす原因です。

活性酸素が発生するおもな原因は以下のとおりです。

  • ・太陽の紫外線や酸性雨

  • ・喫煙や過多飲食、激しい運動

  • ・ウイルスや細菌

  • ・ディーゼル車などの車の排気ガス

  • ・洗剤や柔軟剤

  • ・化学工場やごみ焼却場から出る排煙やダイオキシン など

2.活性酸素が増えることでもたらす体への影響

活性酸素は健康に過ごすうえで体内に必要な物質ですが、増えすぎると体にとって毒となり、生活習慣病などのさまざまな病気を引き起こします。

活性酸素による病気は、以下のとおりです。

  • ・白内障

  • ・胃粘膜障害

  • ・肺気腫

  • ・糖尿病

  • ・アトピー性皮膚炎

  • ・虚血性腸炎 など

3.活性酸素の抑制には食生活と生活習慣の改善がおすすめ

活性酸素が増えすぎないようにする体内の仕組みを、抗酸化力といいます。抗酸化力は食べ物からでも高めることができます。

ここでは、抗酸化作用のある食べ物(抗酸化物質)と、活性酸素を予防するために生活習慣を改善するポイントを紹介します。

3-1.抗酸化作用のある食べ物

抗酸化物質には、体内で作られる体内合成抗酸化物質のほか、ポリフェノールとカロテノイドがあります。

・ポリフェノール

ポリフェノールが含まれている食べ物には、以下のものがあります。

  • ・アントシアニン:ブルーベリーなどに含まれる

  • ・イソフラボンやサポニン:大豆に含まれる

  • ・セサミノール:ゴマの成分が変換されてできる

  • ・ルチン:そばに含まれる

  • ・タンニン:緑茶のカテキンや発酵茶(紅茶・ウーロン茶など)のテアフラビンの総称

・カロテノイド

カロテノイドが含まれている食べ物には、以下のものがあります。

  • ・β-カロテンやリコピン:緑黄色野菜や果物など多くの食品に含まれる

  • ・アスタキサンチン:えびやかになどの甲殻類、さけ・ますなどの魚類

3-2.生活習慣を見直す

活性酸素の産生が増えすぎると、抗酸化防御機構のバランスが崩れます。この状態を酸化ストレスといいます。

酸化ストレスの予防には、普段の生活からバランスの取れた食事、適度な運動習慣、十分な睡眠をとり、抗酸化防御機構を良好に保つことが大切です。

紫外線や喫煙、過度な運動は活性酸素を増やすため、注意しましょう。

活性酸素の増えすぎを防ぐために生活習慣の見直しを

体のエネルギーを作る際に副産物として生まれるのが、体を守る武器としても役立ってくれる活性酸素です。

しかし、活性酸素は細胞伝達や免疫機能をサポートする一方で、さまざまな病気を引き起こす原因にもなります。

普段の生活からバランスの取れた食事、適度な運動習慣と十分な睡眠をとり、活性酸素の増えすぎを予防しましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医