1.鼻づまりは花粉症が原因?
鼻づまりは、花粉症によるケースと、それ以外の疾患が原因になっているケースがあります。順番にみていきましょう。
1-1.花粉症が原因の場合
花粉症では鼻づまり、くしゃみ、鼻水などの鼻炎症状が起こります。花粉症とは、花粉がアレルゲンになって発生するアレルギー性疾患のことです。
全国調査により、国民のおよそ4人に1人が花粉症であると想定されています。花粉症の70%程度がスギ花粉によるものといわれており、多くは年明け以降、暖かくなり始めた時期にスギ花粉の飛散量が増え、花粉症の症状も強まります。
花粉症は、一年のうち一時期に多く見られる「季節性アレルギー」の一種です。一方、ダニやハウスダストなどを原因とする鼻炎症状は「通年性アレルギー性鼻炎」と呼ばれ、一年中くしゃみや鼻づまりなどの症状が現れます。
1-2.副鼻腔炎(ふくびくうえん)が原因の場合もある
副鼻腔炎が原因で鼻づまりが起こる場合もあります。副鼻腔炎とは鼻の奥、両目の間や頬の下など顔の内部にある「副鼻腔」という空洞に炎症が起き、腫れたり膿などがたまったりする状態のことです。
風邪をひくと急性副鼻腔炎を併発するケースが多く、基本的には風邪の治癒とともに症状が改善しますが、慢性化する方もいます。
また、高齢者や喫煙者、肥満気味の方、喘息や慢性気管支炎などの既往歴を有する方は、そうでない方と比較すると副鼻腔炎になりやすい傾向があるといわれています。
鼻づまりの症状でお困りの場合には、原因を特定するためにも耳鼻咽喉科を受診しましょう。
2.花粉症による鼻づまりの解消方法とは
花粉症が原因で鼻づまりが起きているときの解消方法を2つ紹介します。
2-1.医療機関を受診して治療する
鼻づまり解消には、医療機関で治療を受けるのが効果的です。
治療法は、鼻づまりなどの症状を緩和する「対症療法」と、原因そのものを解消する「根治療法」の2つに分けられます。鼻づまり・鼻水などの症状の重さや生活スタイルなど、一人ひとりの状態に適した治療法を選択します。
軽症から中等症では多くの場合、抗ヒスタミン剤や鼻噴霧用ステロイド薬などによる対症療法が中心です。
中等症や重症では、根治療法の一種である減感作療法(抗原特異的免疫療法)が適応になることもあります。
2-2.花粉を持ち込まないようにする
日常生活でできる花粉症対策としては、花粉を避けたり、家に持ち込まないようにしたりすることが重要です。
外出するときはマスクや花粉症用メガネなどを着用し、帰宅時には衣類を玄関先で十分に払って、家に花粉を入れないようにします。体に付いた花粉を落とすには、うがいや洗顔も効果的です。
つらい花粉症の症状が毎年出ている場合は、症状の強まる季節が来る前に、あらかじめ医師に相談して予防的に治療することをおすすめします。
季節的に悪化する鼻づまりは、花粉症対策が大切
スギなどの花粉がアレルゲンとなって起こる花粉症では、くしゃみや鼻水、鼻づまりのような不調に悩まされる方が多く見られます。
花粉を体に付けない、持ち込まないよう花粉対策を徹底的に行ない、症状がつらい場合には医療機関で治療を受けましょう。
毎年、花粉症がつらいという方は、シーズン前からの予防を視野に入れて医師に相談するのもおすすめです。花粉症の症状を軽減して、鼻づまりに悩まされない毎日を送りましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医