1.そもそも血圧が低いとは?
血圧が低い状態、いわゆる低血圧は最高血圧(収縮期血圧)が100mmHg未満であることとされています。低血圧によって起こる症状は、ふらつき、立ちくらみ、めまいのほか、倦怠感や疲れやすいなどさまざまです。低血圧が重度の場合は失神など気を失うこともあり得ます。
ただ、高血圧とは違い、血圧が低いことで心臓や血管などの病気になる確率は低く、体質的に血圧が低いだけで何の症状も起こらない方もいるので、病気として扱われないことも多いです。しかし、何らかの病気が原因で血圧が低くなっている場合もあるため、ただ放っておくのは危険です。
2.血圧が低い人が朝起きづらい理由
では、血圧が低い人が朝起きづらい、あるいは朝が弱い理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
2-1.自律神経が乱れているから
血圧は自律神経のはたらきによってコントロールされているものです。自律神経のはたらきがコントロールできなくなると、起き上がるなど姿勢を変える動きによって血圧や心拍数が変わりやすくなったり、血液の循環が悪くなったりします。そのため、血圧が上がりにくく朝起きづらいなどの症状が現れることがあるでしょう。
2-2.体温が上がらないから
低血圧の人が朝なかなか起きられないのは、体温が低いため十分な睡眠がとれていないことも一因していると考えられています。十分な睡眠には適切な体温が必要ですが、低血圧や自律神経の乱れによって体の冷えが起こると、睡眠が阻害されてしまうのです。
2-3.低血圧になるほかの病気にかかっているから
低血圧の原因には、遺伝や体質のほか、脱水や熱中症などが原因で起こるケースもあり、それにより朝起きられないこともあるでしょう。この場合は、その原因となっている病気をつきとめることが重要となります。
3.低血圧を改善するには?
低血圧を改善するには、日常生活における自己管理が重要になってきます。ここでは、低血圧を改善するためには何をすれば良いのかを紹介します。
3-1.栄養バランスのとれた食事を摂る
好き嫌いをせず、栄養バランスのとれた食事を摂ることを心がけましょう。特に、良質なタンパク質、海藻、豆製品、野菜を摂ることが大切です。
3-2.適度な運動をする
血のめぐりを良くするために、適度な運動を行ないましょう。特に散歩やプール内でのウォーキングなどは下半身が鍛えられるので、血流の改善につながるでしょう。
運動の際の注意点として、終了時には急に終わらせるのではなく、徐々にゆっくりと力を抜きながら終わるように心がけましょう。運動を突然終わらせると、急激に血圧が下がり立ちくらみなどの症状が起こることがあります。
3-3.入浴・寝起きのシャワーをする
血圧が低い方は、ちょっと熱いかなと感じるくらいのお湯に、肩までつかるようにして入りましょう。また、寝起きでシャワーに入ることで血流を良くし、血圧を正常に保つことができます。
3-4.水分をしっかり摂る
気温が高いときは、血管が広がり、汗をかいて脱水症状を起こしやすくなるため、立ちくらみやめまいなど、低血圧の症状が起こる可能性があります。十分に水分を摂るように心がけましょう。
3-5.早寝早起きをする
夜更かしをすることで低血圧の症状が悪化します。しっかりと睡眠時間をとり、できれば朝食を食べるように習慣をつけましょう。
血圧が低く朝起きづらいと感じたら生活習慣を見直してみよう
朝起きづらいと感じるときは、低血圧が原因の場合があります。まずは、血圧を測定することで自分の血圧を把握しましょう。
ただ、病院やクリニックで血圧を測ると、いつもは血圧が低くても緊張することで血圧が上がり、正しく測ることができない場合があります。そのため、自宅でも血圧測定をすることが大切です。
低血圧であることがわかったら、正常な血圧へと改善するために日常生活を見直し、食事や睡眠、運動習慣など自己管理を心がけましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。