筋力トレーニングはなぜ大切なのか?
トレーニングの種類、運動時のポイントを解説

筋力トレーニングが健康に良いことは知っていても、具体的にどのようなことが期待できるのかご存知ない方も多いのではないでしょうか。

ここでは筋力トレーニングの目的や期待される効果、種類、運動時のポイントについてご説明します。

1.筋力トレーニングの目的とは?

まずは筋力トレーニングを行なう目的について確認しましょう。

1-1.なぜ筋力トレーニングを行なうのか?

筋力トレーニングの目的はおもに筋力アップです。

かける負荷の大きさや回数、トレーニングのスパンを調整することで筋肉の持久力やパワーを高めることができます。

1-2.筋力トレーニングにより期待できる効果

では筋力アップによりどのような効果があるのでしょうか。

筋力が上がると、日常生活をより軽快に行なえるようになったり、病気の予防ができたりすることなどが挙げられます。

具体的には、物を運ぶときや階段や坂道などの登り下りが楽に感じられるようになるでしょう。また、筋肉の増強によってインスリンの働きが良くなり、血糖値が下がりやすくなったり、基礎代謝が上がることで脂肪燃焼をしやすくなったりすることから、糖尿病や肥満の予防も期待できます。

さらに、運動は血流を良好にする効果もあります。血液の流れがスムーズになれば血管の内側に対して良い刺激を与えられるため、血管の強化やしなやかさの維持につながります。

その他、定期的な運動習慣は心肺機能や脳機能にも良い効果があることもわかっています。

2.筋力トレーニングの種類

次に、筋力トレーニングの種類についてご説明します。

2-1.等尺性筋活動

等尺性収縮は関節を動かすことなく筋収縮をさせることです。アイソメトリックトレーニングとも呼ばれています。関節への負担が小さいことから、子どもや中高齢者の方も行ないやすいトレーニングです。

ただし、鍛えられる筋肉が限られている点や、運動中は血流が止まるため高血圧の方は注意しましょう。

2-2.短縮性筋活動

短縮性筋活動とは、重りを持ち上げる時や、体に引き寄せる運動で起こる筋収縮のことを指します。ダンベルを巻き上げるアームカールのトレーニングで、肘の屈曲時に起こる上腕二頭筋の収縮がそれに当たります。

2-3.伸張性筋活動

伸張性筋活動は、短縮性運動で重りを体に引き寄せた後、ゆっくりと重りをもとに戻す、体から離す時にときに起こる筋活動の総称です。
アームカールでは、ダンベルを巻き上げたあとの重量に耐えながらじっくりと手を伸ばすときの動きが相当します。

筋力アップには、負荷に耐えながら伸張性筋活動をコントロールすることが大切と考えられています。

3.筋力トレーニングをする際のポイント

次に、実際に筋力トレーニングを行なうときのポイントについてご説明します。

3-1.呼吸を止めない

呼吸を止めると力が出やすくなりますが、同時に血圧も上昇してしまいます。体の負担になってしまうため、呼吸を続けたままトレーニングを行ないましょう。

3-2.自分に合った負荷でトレーニングをする

自分に見合わない負荷をかけて無理をしてしまうと、誤った体勢になってしまい、ケガにつながることもあります。

できるだけ筋力測定やテストを行なって、自分に適した負荷を把握しておきましょう。
測定やテストができない場合は小さい負荷から始め、徐々に上げながら適切な負荷を見つけていくことが大切です。

3-3.トレーニング後は十分な休息をとる

筋力トレーニングを行なうと筋肉がダメージを受けるため、2~3日ほどの回復期間が必要になります。

筋肉はこの回復期間があることによりトレーニング前より強くなりますが、回復が完了する前にトレーニングを再開してしまうと過剰な負荷がかかって、逆に筋力が低下してしまうことがあるのです。そのため、トレーニングをしたら休息期間をしっかりとりましょう。

また、運動習慣のない方が突然激しい運動をすると、心血管系のアクシデントが起こるおそれもあるため、まずは軽い運動から始めてみましょう。

正しい方法で筋力トレーニングを始めましょう

筋力トレーニングの目的や期待できる効果、種類、運動時のポイントについてご説明しました。

筋力アップができると日常生活が楽になったり、慢性的な疾患の予防が期待できたりと、複数のメリットがあります。

また、筋力トレーニングの観点では伸張性筋活動のような負荷に耐えながらゆっくりと動かす動作が重要になりますが、等尺性筋活動のように関節を大きく動かさなくてもできるトレーニングもあります。

今回ご紹介したポイントを意識して、無理のない範囲から筋力トレーニングを始めてみてはいかがでしょうか。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医