1.タンパク質が体にもたらす働き
タンパク質は、生きるうえで欠かすことのできない物質です。
例えば、泣く・笑う・怒る、体を動かす・考えるなど、私たちの日常に必要な動作はすべて「タンパク質」によるものといっても過言ではないかもしれません。
人間の体内にはおよそ3万~10万種類ものタンパク質が存在しています。それぞれ種類によって独自の働きをしており、種類別のおもな働きは以下のとおりです。
2.一日に必要なタンパク質の摂取目安量
厚生労働省により、一日に摂るべき理想的なタンパク質量として、エネルギー比率が示されています。
18~49歳では13~20%、50~64歳は14~20%、65歳以上は15~20%と設定されているのです。具体的なタンパク質摂取目安量を以下に示します。
性別 |
男性 |
女性 |
年齢など |
推奨量(g/日) |
推奨量(g/日) |
0~5(月) |
※10 |
※10 |
6~8(月) |
※15 |
※15 |
9~11(月) |
※25 |
※25 |
1~2(歳) |
20 |
20 |
3~5(歳) |
25 |
25 |
6~7(歳) |
30 |
30 |
8~9(歳) |
40 |
40 |
10~11(歳) |
45 |
50 |
12~14(歳) |
60 |
55 |
15~17(歳) |
65 |
55 |
18~64(歳) |
65 |
50 |
65以上(歳) |
60 |
50 |
妊婦(付加量)初期 |
- |
+0 |
妊婦(付加量)中期 |
- |
+5 |
妊婦(付加量)後期 |
- |
+25 |
授乳婦(付加量) |
- |
+20 |
※1歳未満は目安量
※推奨量:ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が一日の必要量を満たすと推定される一日の摂取量
※目安量:推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3.タンパク質を多く含むおもな食材
タンパク質は、体内への吸収率が良い「動物性食品」と、カロリーが低い「植物性食品」をバランス良く食べて摂取することが大切です。いろいろな種類の食材を毎日の食事に取り入れるとよいでしょう。以下では、タンパク質が多く含まれる食材を種類別に紹介します。
種類 |
食品名 |
100gあたりの成分量(廃棄部分除く) |
食品の目安重量 (廃棄部分含む) |
タンパク質(g) |
単位 |
重量 |
肉類 |
鶏ささみ肉(生) |
23.9 |
1枚 |
40g |
豚ロース肉(生) |
22.7 |
1枚 |
200g |
牛もも肉(生) |
19.3 |
1枚 |
200g |
魚介類 |
いわし(丸干し) |
45.0 |
1尾 |
11g |
シラス(半乾燥) |
40.5 |
大さじ1 |
5g |
かつお(生) |
25.8 |
1柵 |
250g |
キハダまぐろ(生) |
24.3 |
1柵 |
150g |
乳類 |
パルメザンチーズ |
44.0 |
大さじ1 |
6g |
プロセスチーズ |
22.7 |
スライス1枚 |
18g |
低脂肪牛乳 |
3.8 |
コップ1杯 |
200g |
豆類 |
油揚げ(生) |
23.4 |
1枚 |
20~30g |
ひきわり納豆 |
16.6 |
1パック |
30~50g |
がんもどき |
15.3 |
1個 |
95~125g |
卵類 |
鶏卵(卵黄・生) |
16.5 |
1個 |
16g |
ウズラの卵(生) |
12.6 |
1個 |
10~12g |
鶏卵(全卵・生) |
12.2 |
1個(Mサイズ殻付) |
60g |
雑穀類 |
焼き麩(車麩) |
30.2 |
1個 |
6g |
オートミール |
13.7 |
1カップ |
80g |
ロールパン |
10.1 |
1個 |
30g |
参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
4.タンパク質を効率的に摂取するためのおすすめレシピ
ここからは、動物性タンパク質・植物性タンパク質を摂取できるおすすめレシピをそれぞれ1品ずつご紹介します。
4-1.動物性タンパク質のレシピ~「揚げずに簡単!ヘルシーチキン南蛮」
まずは動物性タンパク質がメインのレシピ。塩こうじで下味をつけた「揚げずに簡単!ヘルシーチキン南蛮」です。
【材料】(2人分)
<A>
-
・塩こうじ 大さじ2
-
・おろしにんにく 少々
-
・酢 小さじ1
-
・酒 小さじ2
-
・片栗粉 大さじ2
-
・サラダ油 適量
<甘酢ダレ>
-
・酢 大さじ1
-
・濃口しょうゆ 大さじ1
-
・砂糖 大さじ1.5
<タルタルソース>
-
・ゆで卵(粗みじん切り) 1個
-
・ピクルス(粗みじん切り) 小2本
-
・プレーンヨーグルト 大さじ3
-
・マヨネーズ 大さじ1
-
・塩 少々
-
・こしょう 少々
【作り方】
-
1. 鶏むね肉は一口大のそぎ切りにします。甘酢ダレ・タルタルソースはそれぞれ材料を混ぜ合わせておきましょう。
-
2. ビニール袋に鶏肉と<A>を入れて30分から一日ほどなじませます。
-
3. 1に片栗粉を入れて揉み込み、油をひいたフライパンで蓋をして両面焼き、甘酢ダレを加えてとろみがついたら絡ませて火を止めましょう。
-
4. 器に盛り付け、タルタルソースをかけて完成です。
4-2.植物性タンパク質のレシピ~「豆腐とゴーヤのドライカレー」
次に紹介するのは、植物性タンパク質がメインのレシピ。野菜たっぷりヘルシーな「豆腐とゴーヤのドライカレー」です。
【材料】(2人分)
-
・木綿豆腐 200g
-
・鶏ミンチ肉 50g
-
・にんにく(みじん切り) 小さじ1
-
・しょうが(みじん切り) 小さじ1
-
・玉ねぎ 小1/2個
-
・しいたけ 2枚
-
・にんじん 5cm
-
・ゴーヤ 1/3本
-
・カレー粉 大さじ1
-
・サラダ油 大さじ2
-
・ゆで卵 1個
-
・ミニトマト 4個
<A>
-
・トマトピューレ 大さじ3
-
・とんかつソース 大さじ1
-
・濃口しょうゆ 小さじ2
-
・顆粒コンソメ 小さじ1/2
【作り方】
-
1. 木綿豆腐はキッチンペーパーに包んで重しをのせて、しっかり水を切り1.5cm角に切ります。玉ねぎ・しいたけ・にんじんはみじん切りにして、ゴーヤは縦半分に切り、スプーンでワタをこそげ取って薄切りにしましょう。
-
2. フライパンにサラダ油とにんにく・しょうがを入れて火にかけ、香りがたったら鶏ミンチ肉を入れて炒めます。肉の色が変わったらカレー粉・玉ねぎ・しいたけ・にんじんを加え炒め、さらにゴーヤも加えて炒めましょう。
-
3. 木綿豆腐と<A>を加え、水分をとばすように炒め合わせます。
-
4. 器に盛り付け、ゆで卵とミニトマトを飾って完成です。
毎日さまざまな食品からタンパク質を摂りましょう
タンパク質は、肉・魚・卵・乳製品・豆類や穀類に多く含まれています。一般的には、植物性食品よりも動物性食品のほうが体内への吸収率が良いものが多いですが、高カロリーになりがちです。
一方で、植物性食品はカロリーの低い食材が多いので、どちらもバランスよく摂取して高たんぱく・低カロリーの食事を意識するとよいでしょう。
毎日バランスを考えて食事をするのは簡単なことではありませんが、今回紹介したレシピも参考にタンパク質を上手に補給して、健康的な日々を目指しましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。