カルシウムイオンの働きとは?
一日の目安量・摂取時のポイントも解説

みなさんは、十分な量のカルシウムを摂取できていますか?

カルシウムは体に良い栄養素というイメージから、意識的に摂取するようにしている方もいるのではないでしょうか。

カルシウムの一部はカルシウムイオンとしてさまざまな働きをしているのですが、ポイントを押さえずに摂取していると、きちんとそのカルシウムを利用できていない可能性もあるのです。

それでは今回は、カルシウムイオンの働きと、一日の推奨量や摂取時のポイントをお伝えします。

1.カルシウムイオンとは

カルシウムと聞くと、「骨のための栄養素」とイメージする方が多いでしょう。

しかし、その他にもカルシウムは体の中でカルシウムイオンとして体のあらゆる仕組みに使われているのです。

1-1.カルシウムイオンについて

食物として摂取したカルシウムは、胃酸によって溶解され、カルシウムイオンの状態で腸管から吸収されます。

カルシウムは体内で最も多く存在するミネラルです。9割以上がリン酸カルシウムと呼ばれる形態で骨や歯のエナメル質に含まれていますが、わずかな残りはカルシウムイオンとして血液や筋肉、神経内にあります。

1-2.カルシウムイオンの働き

カルシウムイオンは、止血に関係する血液凝固因子として機能したり、心筋の収縮にとって欠かせない役割を果たしたり、筋肉の興奮を調整したりする働きがあります。また、唾液中のカルシウムイオンは、口の中の細菌が出す酸によって溶かされた歯の再石灰化を促すなど、体にとって重要な役割を果たしているのです。

2.カルシウムの一日の摂取推奨量

日本人の食事摂取基準(2020年版)では、成人の一日あたりの推奨量を以下のように示しています。

年代 男性の摂取推奨量 女性の摂取推奨量
18~29歳 789mg 661mg
30~49歳 738mg 660mg
50~64歳 737mg 667mg
65~74歳 769mg 652mg
75歳以上 720mg 620mg


※推奨量:ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が一日の必要量を満たすと推定される一日の摂取量
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3.カルシウムを摂取する際のポイント

実は、カルシウムを十分に摂取していても、正しい摂取方法でないとしっかり体に吸収できていない可能性があります。

カルシウムを摂取する際のポイントをみていきましょう。

3-1.ビタミンDも併せて摂る

体内のビタミンDの量が十分でないと、カルシウムの吸収が阻害されてしまう可能性があります。よって、カルシウムが豊富な食品だけでなく、ビタミンDも一緒に摂取する必要があります。

なお、ビタミンDが豊富な食品は、サンマ、サケ、イワシなどの魚や、シイタケなどのきのこ類が代表的です。また、ビタミンDは食品からだけでなく、日光浴によって体内での生成も可能です。晴れた日に外に出て、太陽の光を浴びることも大切です。

3-2.運動で骨にある程度負荷をかける

カルシウムを効率的に利用するために運動も需要なポイントとなります。

運動などである程度骨に負荷をかけることで、カルシウムの利用効率をあげることができるのです。

カルシウムイオンのことを意識してカルシウムを摂取しよう

カルシウムイオンは、体内でさまざまな働きを担っていることがわかりました。

カルシウムの9割以上は骨や歯に含まれますが、残りはカルシウムイオンとして血液や筋肉、神経内などに含まれます。カルシウムイオンはおもに出血を予防したり、歯の再石灰化を促して虫歯になりにくくしたりするなど、その役割は多岐にわたるものです。

また、カルシウムは一日あたりの推奨量を超えて摂取していても、ビタミンDを摂取できていなかったり、運動不足だったりすると利用効率が悪くなってしまいます。カルシウムが不足すると骨や歯が弱くなることがあるため、ポイントを押さえて、しっかりと摂取することが大切です。

普段の食生活を思い返して、栄養補給について考えてみてください。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医