目次
1.睡眠不足が引き起こす体の症状とは
睡眠不足が体にもたらす影響はさまざまです。ここでは、おもな症状5つを紹介します。
1-1.生活習慣病の症状が出てくる
睡眠不足による影響は、生活習慣病の発症リスクが高まることです。睡眠時無呼吸症候群の方の多くが生活習慣病をともにわずらっていることから、その関係性についてさまざまな研究がされています。
睡眠時無呼吸症候群は、呼吸が止まることで低酸素血症と交感神経の緊張などが起こり、体にストレスがかかるため生活習慣病にかかりやすい状態が続きます。
また、寝つきが悪かったり夜中に途中で目が覚めたりする方は、睡眠の質が良い方に比べて糖尿病のリスクがほぼ倍増するという報告もあります。
1-2.食欲増進ホルモンが増す
睡眠不足になると、体重が増えやすくなることも考えられるでしょう。睡眠不足は、食欲を刺激するホルモン(グレリン)の分泌を促進させ、反対に食欲を抑えるホルモン(レプチン)の分泌が減少します。そのため、いくら食べても満足感を得にくく、体重増加につながるのです。
さらに、食欲増進ホルモンが活発になることで、夜に甘いものが食べたくなったり間食をとりたくなったりして、糖分を摂り過ぎてしまいます。ある研究データでは、一日の睡眠時間が6時間未満の場合、7~9時間寝る場合よりも肥満リスクが約30%高まると報告されています。
糖分の過剰摂取は、良質な睡眠を促進するメラトニンの分泌を阻害し、さらなる睡眠不足を引き起こすため注意が必要です。
1-3.思考力の低下
睡眠不足は、思考力低下の原因です。人間の脳は、神経を活発に動かす過程で、起きているときのみ有害な代謝物を発生させます。
睡眠時に脳細胞内に蓄積された有害な代謝物を除去するため、きちんと睡眠を取れていれば問題ありません。しかし、しっかり眠る時間がなければ、有害な代謝物を除去できず、脳細胞内にどんどん溜まっていきます。その結果、思考力の低下などにつながるのです。
1-4.睡眠不足による吐き気
睡眠不足になると、吐き気や消化不良を起こしやすくなると考えられます。これは、睡眠不足が、胃腸の動きに関わる自律神経のバランスを崩すためです。
自律神経が乱れて胃腸の働きが低下すると、食べ物をしっかり消化できません。その結果、胸焼け・吐き気・食欲低下・便秘・下痢などを引き起こします。
2.睡眠不足の解消方法
睡眠不足の解消には、次のような方法があります。
・朝日をしっかり浴びる
・規則正しい生活をする
・適度に運動をする
・入浴時間をコントロールする
・覚醒作用のある飲食物を避ける
睡眠不足を解消するためには、体内時計をしっかり整えることが大切です。朝日を浴びたり規則正しい生活をしたりすることで、体内時計が整い快眠を得られるでしょう。
さらに、運動や入浴で体温を上げることでも、睡眠不足の解消が可能です。適度な有酸素運動を、就寝の約3時間前に行なう習慣をつけるとよいでしょう。入浴は、就寝前の2~3時間前に38~39度のお湯に腹部まで浸かり、30分程度入浴すると、睡眠の質が高まります。
また、コーヒーやチョコレートなどのカフェインを含む飲食物は覚醒作用があるため、寝る前の摂取は控えましょう。
規則正しい生活で睡眠不足を解消しよう
世界に比べて睡眠時間が短い日本人にとって、睡眠不足による影響は大きいものです。特に、家事や育児を担っている方は睡眠時間が少ない傾向にあります。
慢性的な睡眠不足は、生活習慣病、思考力の低下など心身に大きな影響を与えます。そのため、日々の生活を見直して睡眠の質を向上させることが大切です。
睡眠不足が気になる方は、今回紹介した睡眠不足の解消方法をぜひ試してみてください。快適な睡眠を得ることで、より健やかな毎日を過ごせるようになるでしょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。
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