1.ビタミンAが不足した際のおもな症状
ビタミンAの働きと、不足した場合のリスクについて解説します。
1-1.ビタミンAとは
ビタミンAは、おもに動物性食品に含まれている脂溶性ビタミンの一つで、体内ではレチナール、レチノール、レチノイン酸の3種類が存在します。
ビタミンAのおもな働きは、目の機能を維持することです。
レチノールは目の光刺激反応に関わるロドプシンという物質を生成するために必要であり、暗い場所でも視力を保つために働きます。
その他に、皮膚や粘膜の乾燥を防いだり、健やかな成長に関与したりする役割も持っています。
また、おもに植物性食品に含まれているカロテノイドなどはプロビタミンAとよばれ、摂取すると小腸でビタミンAに変換されるものです。
このカロテノイドにはさまざまな種類が存在します。なかでも効率良くレチノールに変換されやすいのはβ-カロテンです。β-カロテンを効率良く吸収するには、それらを含む食品を加熱して食べることが良いとされています。
1-2.ビタミンAが不足する要因と欠乏症
基本的にビタミンAは、長期間ビタミンAを含まない食事が続いていなければ、不足することはないでしょう。
ただし、新生児の場合は肝臓内にビタミンAの貯蓄が少ないため、母乳などから補充することが必要です。しかし、開発途上国において授乳婦の母乳のビタミンAは非途上国の半分以下だといわれているため、完全に母乳栄養でも赤ちゃんにビタミンA欠乏症が起こりうるとされています
ビタミンA不足による比較的軽めな影響として、免疫機能の低下などがあります。
2.ビタミンAの一日の摂取推奨量とは?
ここでは、ビタミンA(レチノール活性当量)の一日あたりの推奨量について紹介します。
推奨量(㎍RAE/日)
年齢 |
男性 |
女性 |
18~29歳 |
850 |
650 |
30~49歳 |
900 |
700 |
50~64歳 |
900 |
700 |
65~74歳 |
850 |
700 |
75歳以上 |
800 |
650 |
妊婦(付加量)後期 |
- |
+80 |
授乳婦(付加量) |
- |
+450 |
参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
※推奨量とは、ある性・年齢階級に属する人の97~98%が一日の必要量を満たすと推定される一日の摂取量のことを指します。
3.ビタミンAを含む食品とおすすめレシピを紹介
ビタミンAの働きや、不足した場合に起こりうる症状、一日の推奨量についてお伝えしました。ここからはビタミンAが摂取できる食品やおすすめのレシピも紹介します。
3-1.ビタミンAを含む食品
ビタミンAを多く含んでいる食品を紹介します。
100gあたりに含まれているビタミンA(レチノール活性当量)の量も合わせて記載するため、参考にしてみてください。
-
・味付けのり:100g中2700㎍
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・ほたるいか:100g中1900㎍
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・ぎんだら:100g中1500㎍
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・にんじん:100g中1000㎍
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・ほうれんそう:100g中720㎍
参照:文部科学省「食品成分データベース」
3-2.おすすめレシピ
ここからは、ビタミンAが摂取できる「にんじんとくるみのサラダ」の作り方をご紹介します。
【材料】2人分
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• にんじん 15cm
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• くるみ(乾煎りしたもの) 20g
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• パセリ 適量
(A)
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• 白ワインビネガー 大さじ2
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• はちみつ大さじ 1/2
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• 塩小さじ 1/4
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• こしょう 適量
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• オリーブ油 大さじ2
【作り方】
作りたてもおいしく食べられますが、和えてから15~20分ほど置いておくと味がなじみやすくなります。
ビタミンAは健康を維持する重要な栄養素
ビタミンAは、プロビタミンAをもとに体内で生成、貯蔵されるため、健康な人であれば不足することは少ないでしょう。
しかし、食事の偏りなどによって不足してしまうと、病気のリスクが高まります。
そのため、健康を維持するためにも、今回お伝えしたレシピも参考に偏りすぎない食事を心がけてみてください。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。