1.そもそも尿が出る仕組みとは?
腎臓で作られた尿は、尿管を通って膀胱に貯蔵されます。
膀胱に蓄えられた尿が150~250mlを超えると尿意を感じ始め、300~500mlほど溜まると強い尿意を感じることが多いでしょう。さらに尿が溜まり、400~500mlを超えると膀胱の筋肉が強く収縮して排尿します。
排尿には膀胱、内尿道括約筋、外尿道括約筋の3つの働きが関わっており、外尿道括約筋は自分の意思によってある程度コントロールできることが特徴です。
2.尿切れが悪い、頻尿などさまざまな女性の排尿障害
女性が排尿障害を起こす原因には、過活動膀胱や膀胱炎などさまざまなものがあります。ここでは、代表的なものを紹介します。
2-1.残尿感や排尿痛
残尿感や排尿痛が見られる排尿障害として、膀胱炎が知られています。排尿時に出血や痛みを伴うなどの症状が急に現れたり、持続したりします。膀胱炎のおもな原因は、ウイルスや細菌の感染、免疫抑制剤などの薬剤です。
残尿感や排尿痛は薬の副作用による影響もあるため、気になる症状があればすぐに医師や薬剤師に相談してください。
2-2.頻尿
トイレに行く回数が一日8~10回以上ある場合は、頻尿の可能性が高いでしょう。頻尿になるおもな原因は、水分の摂りすぎや膀胱炎、過活動膀胱などです。
ただし、すべての頻尿に何かしらの疾患が絡んでいるわけではありません。「こまめにトイレに行くようにしている」「尿意がなくても行けるときに行っておく」という場合は、「習慣性頻尿」になっていると考えられます。
2-3.尿漏れ(尿失禁)
トイレに間に合わず漏らしてしまう、咳やくしゃみをすると漏れてしまうといった症状がある場合は、尿漏れを起こしているかもしれません。女性の3~4人に1人は尿漏れの経験があるといわれていますが、なかなか相談できず困っている方も多いでしょう。
尿漏れには、急に我慢できないほどの尿意が押し寄せてくる切迫性尿失禁、知らないうちに尿が漏れてしまう溢流(いつりゅう)性尿失禁、せきやくしゃみなど腹に力が入ることで漏れてしまう腹圧性尿失禁などがあります。
尿切れの悪さで悩む女性は早めに診察を受けましょう
女性に排尿障害が起こる原因は、水分を摂りすぎてトイレが近くなっているだけのこともあれば、出血性膀胱炎や過活動膀胱などの可能性も否定できません。
なかなか相談しづらいこともあるかもしれませんが、ときに何かしらの疾患が隠れていることもあります。気になる症状があるときは、早めに医療機関を受診して相談するようにしましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医