血圧を下げる方法とは?おすすめの食べ物や生活習慣について解説

高血圧は生活習慣病の原因となりうる症状の一つです。高血圧の状態が繰り返し見られた場合、生活習慣病である「高血圧症」とされる可能性があります。 高血圧、および高血圧症をそのままにしておくと、腎臓病などに発展する危険をはらんでいるため、注意が必要です。

しかし、血圧を測って高かったとしても、どうしたら血圧を下げられるのかわからず、結局何もしていないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、血圧を下げるために必要な食べ物や生活習慣など、日々の生活の中で取り組めることを中心に詳しく解説していきます。

1.血圧を下げることの重要性

1回の測定で血圧が高い状態を示していても、それがすぐに大きな病気につながるというわけではありません。

ここでは高血圧がどのような状態なのか、それが続くとどのようなリスクがあるのかについて解説します。

1-1.高血圧症の診断

そもそも血圧とは、血液が動脈内部の壁を押すときの圧力のことです。心臓が収縮したときの血圧は「収縮期血圧」、拡張したときの血圧は「拡張期血圧」と呼ばれています。

日本高血圧学会では、病院の診察室で測定する収縮期血圧が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧90mmHg以上が高血圧として定義しています。病院の測定でこのような高い血圧の病態を繰り返した場合、高血圧症とされることもあります。

自宅で測定することも重要です。家庭での血圧が収縮期血圧135mmHg以上、もしくは拡張期血圧85mmHg以上であれば高血圧とされています。自宅で血圧を測定する場合は、朝と夜に測定を行ないます。それぞれ2回ずつ測定し、平均値を記録します。日によって変動があるため、継続して測定し5~7日間の平均値が基準値を超えているかで高血圧かどうかの判断がなされます。

1-2.高血圧によるリスク

高血圧はサイレントキラーと呼ばれています。高血圧の状態が続いても自覚症状はほとんど現れないので、気にしないで生活している方もいます。

実際に国が行なった健康調査では、高血圧の患者は約4,300万人と推測されていますが、そのうち実際に病院で治療している方は約900万人にすぎません。病院にかからず自分で生活習慣を見直している方もいますが、何もせず高血圧を放置している方が多いのが現状です。

高血圧は腎臓の機能低下も引き起こすとされ、慢性腎臓病といった腎臓の重い病気になってしまう可能性もあるのです。

将来の大きな病気のリスクを避けるために、高血圧は早いうちから気をつけることが必要です。

2.血圧を下げるための生活習慣

血圧を下げるために大事なのは生活習慣の見直しです。生活習慣を改善しても血圧が下がらない場合は降圧剤の服用も考えられますが、多くの場合は生活習慣を見直すことで血圧を下げることが期待できます。

ここでは、チェックするべき生活習慣についてまとめています。

  • 減塩を心がける

    日本人は食塩の摂取が多いといわれていますので、減塩することで降圧効果が期待できます。
    減塩することで食事が物足りなく思われるかもしれませんが、酸味や香辛料などを上手く取り入れることで、美味しく減塩食を食べることができるでしょう。また、麺類のスープやだしを控えるだけでも減塩効果につながります。

    日本高血圧学会では、すでに高血圧の症状が出ている患者さんに対し、減塩の目標値を6g/日としていますが、まずは厚生労働省が推奨する男性 8g/日未満、女性 7g/日未満を目標にしてみましょう。

  • 適正体重の維持

    適正体重は、BMIを基準に考えられます。
    BMIとは、体重kg ÷ (身長m)2で計算される数値で、これが25以上あると肥満と判定されます。
    BMIの上昇と高血圧の発症には因果関係が証明されていますので、適正体重を維持できるように心がけましょう。

  • 飲酒は節度ある適度な量にする

    節度を守った飲酒であれば、日々のストレス軽減や疲労回復などさまざまな効果を与えてくれますが、過度な飲酒には気をつけましょう。

  • 運動

    運動療法は、続けることで降圧効果が期待できます。
    運動は定期的に(できれば毎日)行ない、30分以上の有酸素運動が推奨されており、おもな有酸素運動には、速足でのウォーキング、軽いジョギング、水中運動、自転車などが該当します。

  • 禁煙

    喫煙は高血圧などの発症リスクを高めます。病院での禁煙指導なども活用して禁煙していきましょう。一定の条件を満たせば、保険診療で禁煙治療を受けることもできます。

    しかし、禁煙すると食事量が増えて体重が増加してしまうことが多いため、禁煙後は適正体重の維持にも注意が必要です。

  • 食生活の改善

    食生活では、カリウムを多く含む食べ物を摂取することを意識しましょう。カリウムは塩分摂取による血圧上昇効果を抑える働きがあります。

    また、単独の食材だけでなく、食事パターンでも血圧を下げる効果が期待できるものがあります。特に野菜、果物、低脂肪乳製品に富み、コレステロールと飽和脂肪酸が少ない食事はDASH食と呼ばれています。DASH食は、減塩と組み合わせることで降圧効果が期待できます。

3.血圧を下げるために摂りたい食品

血圧を下げるためには、以下の食品を積極的に摂るようにしましょう。

果物
野菜
大豆製品
食塩を腎臓から排出する働きがあるカリウムを豊富に含む。 
※腎臓疾患の患者はカリウム摂取量に制限がある場合があるため、主治医に要相談。
牛乳
乳製品
血圧を安定させるカルシウムを豊富に含む。 
脂肪分の少ない低脂肪乳の方が良い。
魚類 魚油由来のEPA、DHAなどのn-3系脂肪酸を豊富に含む魚類を多く摂取している人は、
そうでない人に比べ血圧が低いとされる。

食事は偏って食べるのではなく、1日3食規則正しく、バランス良く摂ることを心がけましょう。

血圧を下げるには生活習慣の見直しを

生活習慣病の原因にもなる高血圧ですが、症状が出ないために治療を避けている方も多く、それが重大な病気のリスクを高めています。

生活習慣を見直すことで、血圧だけでなくさまざまなリスクを低下させ、健康的な生活を送ることができるようになります。

今回ご紹介したポイントを踏まえて、一度ご自身の生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。

監修者情報

氏名:河村優子(かわむら・ゆうこ)
アンチエイジングをコンセプトに体の中と外から痩身、美容皮膚科をはじめとする様々な治療に取り組む医師。海外の再生医療を積極的に取り入れて、肌質改善などの治療を行ってきたことから、対症療法にとどまらない先端の統合医療を提供している。