内臓脂肪を減らしたい!食事の見直しや運動方法について解説

内臓脂肪は、過剰に蓄積するとメタボリックシンドロームの原因になることが多く、現代人にとって厄介な敵といえます。メタボリックシンドロームは、対策をせずに放置していると糖尿病などの原因になることがあります。
ゆえに、健康を維持するため手段として、内臓脂肪が蓄積しすぎないようにすることが求められるのです。

今回は、内臓脂肪を減らすための方法について解説します。

1.内臓脂肪とは

内臓脂肪は、おもに腸管などの内臓の周囲に蓄積する脂肪のことです。この内臓脂肪が過剰に蓄積した状態を内臓脂肪型肥満といいます。内臓脂肪型肥満は、下半身よりもお腹まわりが大きくなり、女性よりも男性に比較的多く見られるのが特徴です。また、BMIが25未満で数値上肥満ではないにもかかわらず、内臓脂肪が蓄積している人もいます。その場合、隠れ肥満症である可能性もあるので注意が必要です。

1-1.内臓脂肪はメタボリックシンドロームの原因になることも

厚生労働省が行なった「国民健康・栄養調査(令和元年)」によると、メタボリックシンドロームに関するデータとして、以下のような結果が出ています。

メタボリックシンドローム
(内臓脂肪症候群)
が強く疑われる者
メタボリックシンドローム
(内臓脂肪症候群)
の予備群と考えられる者
20代男性 0% 18.5%
30代男性 6.5% 17.7%
40代男性 15.7% 27.0%
50代男性 31.5% 17.3%
60代男性 29.4% 29.4%
70代男性 37.4% 23.0%

メタボリックシンドローム
(内臓脂肪症候群)
が強く疑われる者
メタボリックシンドローム
(内臓脂肪症候群)
の予備群と考えられる者
20代女性 0% 0%
30代女性 0.9% 1.8%
40代女性 2.4% 4.3%
50代女性 6.4% 8.3%
60代女性 12.9% 8.3%
70代女性 16.8% 9.0%

厚生労働省:国民健康・栄養調査(令和元年)/厚生労働省をもとに作成

メタボリックシンドロームの診断基準では、一定以上の内臓脂肪の蓄積が必須条件となっており、男性では腹囲85cm、女性では腹囲90cm以上がその目安です。また、内臓脂肪に加えて、高血圧症や高血糖、脂質異常症のうち2つ以上が当てはまっている状態でメタボリックシンドロームと診断されます。

2.内臓脂肪がついてしまう原因とは

内臓脂肪が蓄積する原因として、食生活の乱れや運動不足、加齢などがあります。食事によって摂取したエネルギーは、運動や基礎代謝によって消費されますが、暴飲暴食など食生活の乱れや運動不足などによって摂取エネルギーが過剰になると、余ったエネルギーを脂肪として蓄えます。

また、加齢によって若い時に比べて基礎代謝量が減少することも内臓脂肪が蓄積しやすくなる原因です。基礎代謝量は、安静に過ごした状態の際に、生命維持のために消費されるエネルギーであり、加齢とともに低下する傾向があります。一例として、体重70kgの男性の場合、20歳代で1680kcalであるのに対し、50歳代では1505kcalまで低下してしまうのです。

3.内臓脂肪を減らしたいなら食事を見直す

内臓脂肪を減らすためには、食生活を改善することが重要です。食事は、健康的な生活を送るためには重要な要素だといえます。こちらでは、内臓脂肪を減らすために必要な食生活の改善点を紹介します。

3-1.バランス良く食べる

内臓脂肪の蓄積を改善するために食生活を見直す場合には、主食や主菜、副菜を基本に食事のバランスを改善し、できるだけ多種多様な食材を取り入れることが大切です。

食事のバランスにおける基本は、ビタミンやミネラル、食物繊維を野菜や果物によって摂取することです。ご飯などの穀類や野菜、果物、乳製品、豆類、魚などを組み合わせて食べることが理想のバランスとなります。

3-2.果物を食べる

農林水産省の「食事バランスガイド」では、1日の果物摂取量の目安を200gとしています。

しかし、厚生労働省の調査によると20~40歳代の男性の平均果物摂取量は57g程度であり、目標摂取量の200gよりも少ないのが現状です。

果物は、クエン酸などの代謝を高める働きのある成分を含んでいるので、積極的に摂取したい食材です。

3-3.塩分と脂肪は控える

塩分の過剰摂取は、日本人の高血圧症の最大の原因です。そのため、塩分の摂取量を抑えることが生活習慣病を予防するためにも重要です。

また、脂肪の過剰摂取も内臓脂肪の原因になるため、脂肪の摂取量を抑えて、植物・動物・魚由来の脂肪をバランス良く摂取するようにしてください。

4.効率的に内臓脂肪を減らすことができる運動方法とは

内臓脂肪を減らすためには、食生活の改善と並行して運動習慣を身につけることが重要です。内臓脂肪を減らすために必要な運動は、さまざまな研究でウォーキングや自転車、ジョギング、水泳など有酸素運動であれば効果に大きな差はないとされています。

運動強度に限らず、どれだけエネルギーを消費したかがメタボリックシンドローム予防には重要です。

しかし、低強度の運動では、エネルギー消費を増やすために長い時間の運動が必要となります。かといって、高強度の運動では長時間行なうにはハードルが高いため、効率良く脂肪燃焼をしたい場合には、中強度の運動を比較的長めに行なうのが理想です。運動は、自分の体力や環境に合わせて継続しやすいものを選択してください。

内臓脂肪を減らすためには運動と食生活の見直しを

内臓脂肪は、過剰に蓄積するとさまざまな生活習慣病のリスクを高めます。メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の過剰な蓄積とともに高血圧や高血糖、脂質異常の3つの基準のうち、2つ以上に該当した状態です。

内臓脂肪を減らすためには食生活を見直したり、運動をしたりすることが重要です。食事は、さまざまな食材を取り入れ、塩分や脂肪の摂取は控えめにした方がいいでしょう。効率を考えた場合には、中強度の運動を比較的長めに行なった方が望ましいですが、体力や環境に合わせて継続しやすいものを選ぶと良いでしょう。

監修者情報

氏名:河村優子(かわむら・ゆうこ)
アンチエイジングをコンセプトに体の中と外から痩身、美容皮膚科をはじめとする様々な治療に取り組む医師。海外の再生医療を積極的に取り入れて、肌質改善などの治療を行ってきたことから、対症療法にとどまらない先端の統合医療を提供している。