1.爪が折れやすい原因について
爪とは指先の角質が変化したもので、ケラチンというタンパク質の一種が主成分です。爪が折れやすくなるおもな原因には次のようなものがあります。
爪の構成成分であるケラチンは乾燥に弱く、水分が不足すると爪が割れやすくなります。また、爪を健やかに保つためには食事から栄養をバランス良く摂ることも大切です。爪の原料であるタンパク質が不足すると、健康な爪をつくることができません。
また、病気の治療で飲む薬のなかには、副作用で爪の変色や変形、痛みがあらわれるものもあります。爪に影響が出る可能性がある薬を飲む場合は、保湿方法など爪の正しいケア方法について皮膚科の医師などに確認しましょう。
2.爪の折れ方や割れ方によってはこんな病気の可能性も
爪の異常の原因は病気であるケースもあります。それぞれの病気で現れる爪の症状について見ていきましょう。
2-1.爪甲層状分裂症の可能性
爪甲層状分裂症とは、いわゆる「二枚爪」を指します。爪表面の末端が薄く剥がれる状態で、鉄不足で鉄欠乏性貧血が起こることもあります。鉄欠乏性貧血の場合は治療として鉄剤の内服治療が選択されるでしょう。
さらに、マニキュアを除去する際に使う除光液も爪甲層状分裂症の原因の一つです。除光液を過度に使用すると爪のなかの保湿成分が不足し、爪の表面が剥がれやすくなることから、除光液の使い過ぎには注意しましょう。その他、慢性的な水仕事で起こることもあります。水仕事の頻度が高い場合はプラスチック手袋を利用するのもよいでしょう。
2-2.爪白癬あるいは爪乾癬の可能性
白癬とはいわゆる水虫のことで、爪白癬とは爪の下に白癬菌が感染して起こる病気です。爪が黄色~白に変色するほか、厚く硬くなり、爪の下がボロボロになることがあります。足白癬などと違ってほとんどかゆみはありません。
病院での検査の結果、白癬菌が見つからなければ爪乾癬かもしれません。爪乾癬の初期症状は爪の点状のへこみや、爪表面が剥がれることです。その後、爪の色が濁ったり、爪がもろくなったりします。なかには、爪がほとんどつくられなくなるケースもあります。
爪白癬も爪乾癬も塗り薬だけでは治らず、飲み薬での治療が必要です。疑わしい症状がある場合は早めに病院を受診しましょう。
2-3.爪甲縦裂症の可能性
爪が縦に割れる場合は爪甲縦裂症の可能性があります。爪甲縦裂症は爪上皮(クチクラ)の異常のほか爪の根元の腫瘍が原因とされ、爪の先端の割れ目から根元にかけての線条、もしくは割れ目が特徴です。数カ月塗り薬を使っても改善しないときは、腫瘍が原因である可能性が高まります。その場合は、腫瘍の有無の検査が必要ですので皮膚科に受診しましょう。
2-4.爪扁平苔癬(つめへんぺいたいせん)の可能性
爪が薄くなり縦方向に割れやすくなるのは、爪扁平苔癬かもしれません。爪の付け根より奥には、爪母という新しい爪をつくる場所があります。この爪母に問題があると爪が薄くなるほか、縦に筋が入り割れるケースがあります。なかには、翼状爪と呼ばれる、爪の一部分がつくられなくなり皮膚が長く張り出したようになる人もいます。爪扁平苔癬を発症する原因はいまだにわかっていないのが現状です。
3.折れやすい爪を折れにくくする対策法とは
爪を折れにくくするには次のような対処法があります。
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・マニキュアで爪を補強する
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・タンパク質を含む食品を摂取する
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・爪を乾燥から守る
マニキュアを数回重ねて塗ると、爪を補強することができます。色があるタイプでも、無色タイプでもどちらを使っても大丈夫です。ただし、爪の周りに炎症や傷があるときは、通常のマニキュアや除光液ではしみる場合があります。このようなときは、お湯で剥がせるタイプのマニキュアを選ぶとよいでしょう。
爪のもとになるタンパク質をしっかり摂ることも大切です。肉や魚などを毎日の食事に積極的に取り入れましょう。
また、乾燥は爪が割れる原因となるため、保湿のためにハンドクリームやオイルを指先まで丁寧に塗りましょう。
折れやすい爪への対策を行なって健やかな指先へ
爪が折れると、家事や仕事をやりにくくなるなど生活に支障が出ることがあります。爪の折れ方や割れ方によっては、病気の可能性もあるため異常を感じた場合は早めに病院を受診しましょう。
セルフケアでは、タンパク質をしっかり摂り、爪の保湿を心がけてください。折れやすい爪はマニキュアで補強するのもおすすめです。
折れやすい爪や、割れやすい爪への対策を取り入れて、健やかで美しい指先を目指しましょう。
監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。