1.浮腫(むくみ)とは
浮腫とは「ふしゅ」とも呼ばれる、余分な水分が皮膚の下にたまっている状態です。通常、体内の水分は動脈からそれぞれの組織に供給され、役割を終えたら、静脈やリンパ管に帰っていきます。ところが、何かしらの理由で静脈やリンパ管に戻れなくなると、皮膚の下に水分がたまり内側から押されて膨らんでしまうのです。
浮腫が起こると、一般的には腫れているような症状が現れます。浮腫が起きやすい部位は、顔や腕、手指、膝下から足にかけてです。水は重力で下にたまりやすいため、特に膝より下は浮腫が発生しやすくなります。
軽めの浮腫は健康な人にも起こるため、浮腫が起きたとしても病気であるとは限りません。起床時に顔やまぶたが腫れぼったく感じたり、夕方に足が浮腫んだりしても、しばらくすると解消される場合は特に治療を行なわなくても大丈夫です。
2.浮腫(むくみ)を引き起こす原因
浮腫を起こすおもな原因には、次のようなものがあります。現在、浮腫症状で悩んでいる方は、自分に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
2-1.生活習慣による原因
年齢や性別に関わらず、生活習慣によっては浮腫が引き起こされることがあります。
例えば、筋肉量が少ない人や運動習慣が少ない人は、浮腫が起こりやすいタイプです。そのほかにも、食事の面でいえば、普段から濃い味付けを好む人や、タンパク質をあまり摂らない人も浮腫みやすい傾向があります。仕事上、同じ体勢を長い時間続ける人や、疲労・ストレスが多い人も症状が出やすいとされています。
これらに心あたりがある方は、浮腫の軽減のためにも生活習慣の見直しを行ないましょう。
2-2.女性特有の原因
女性の場合、月経(生理)前や月経中に浮腫が現れる人が少なくありません。これには、女性ホルモンが関わっていると考えられています。
また、貧血、冷え性の方も浮腫みやすい傾向があります。
2-3.病気や薬による原因
心臓や腎臓などの病気も浮腫の原因です。浮腫には、体全体が浮腫んでしまう全身性浮腫と、体の一部分が浮腫む局所性浮腫があります。その他、病気の治療のために使う医薬品で浮腫が生じるケースもあるようです。
急に浮腫が現れたり、ひどい浮腫が出たりする場合は病気が潜んでいるおそれがあるため、早めに医療機関へ相談しましょう。
3.浮腫(むくみ)の予防方法
浮腫の原因の一つは生活習慣によるものです。ここでは、自分でできる浮腫解消法を紹介します。
まずは、適度な運動を習慣づけし、筋肉量を維持しましょう。同じ姿勢でいることも浮腫の発生につながるため、立ち仕事を行なう場合は、ときどき足の曲げ伸ばしをするのがおすすめです。休憩で座るときには、足をやや高めに上げるとよいでしょう。
長時間座っているのも良くないので、筋力アップのために1時間に1度は椅子から立ち上がって運動してください。夜は足を少し高めにして寝ると、起床時の浮腫を和らげることができます。
塩分や水分の摂り過ぎも浮腫の原因です。食生活では塩分を控えるほか、節度ある適度な量の飲酒を心がけましょう。
浮腫(むくみ)解消法でパンパン足から解放されよう
浮腫は、余分な水分が皮下の組織にたまっている状態で、顔や手足に起こりやすい症状です。浮腫は運動不足や食生活が影響するほか、女性の場合は月経周期や冷え性体質で起こりやすくなります。その他、病気や薬も体が浮腫んでしまう原因とされています。
浮腫予防のためには、運動習慣をつけ、生活のなかでもこまめに動くことが大切です。また、塩分を控えた食生活を行ない、必要な量のタンパク質を摂取しましょう。
つらい手足の浮腫を解消するために、ぜひ浮腫対策を実践してください。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。