目次
1.低血糖とは
低血糖とは、血糖値が必要以上に低い状態を指します。
血糖値は、血液中に含まれるブドウ糖の濃度です。炭水化物などを食べ物から摂ると体内で消化吸収され、ブドウ糖に変化して血液中に送られます。
そのため、健康な人でも血糖値は食事前と食事後で変動します。
通常は食事前の血糖値はおよそ70~100㎎/dLであり、健康な状態であれば空腹であっても70㎎/dL未満になることはほぼありません。
これは、主に膵臓から分泌される「グルカゴン」というホルモンが、肝臓などに貯蔵されているグリコーゲンをブドウ糖に変えてエネルギーにし、血糖値を正常値に戻す働きをするためです。
低血糖になると、全身がエネルギー不足となり、さまざまな症状を引き起こして最悪の場合、命に関わる危険性もあります。
糖尿病の人は、血糖値が上がりすぎないよう注意するという人が多いでしょう。
しかし、糖尿病になると血糖値がコントロールしにくくなるため、低血糖も気を付ける必要があります。
2.低血糖により現れるおもな症状
低血糖になると、どのような症状が起こりうるのでしょうか。
低血糖による代表的な症状は以下のとおりです。
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・冷汗が出る
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・手足の震えが起こる
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・頭痛がする
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・意識障害がある
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・気持ち悪くなる
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・ふらつきを感じる
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・力が抜ける感覚がある
特に多い冷汗がでる、手足の震えなどの症状は交感神経症状とも呼ばれ、血糖値を上げようとするアドレナリンやグルカゴンというホルモンが分泌されることで起こります。低血糖が続くと脳がエネルギー不足となり、意識の低下や昏睡状態に至るおそれがあります。
ただし、これらの症状はあくまで一例で、低血糖になったすべての人が該当するものではありません。
糖分は体内のあらゆる箇所で使われているため、低血糖によってさまざまな症状が起こりえます。通常ではあまり感じないような症状が出たら、早めの受診をおすすめします。
3.低血糖を引き起こす原因
ここからは、低血糖が起こるおもな要因を解説します。
3-1.生活習慣によるもの
低血糖を引き起こすおもな原因は、「生活習慣によるもの」と「薬物療法による副作用」です。
生活習慣は、食事と運動による影響が考えられます。
食事では糖分摂取を過剰に控えている場合や、朝食・昼食・夕食前の空腹時、就寝時、特に食事の時間が遅くなったときに低血糖になりやすいのです。
長い時間激しい運動を続けた場合にも、低血糖になるリスクが高まります。
無理な食事制限や過度な運動は控え、専門家に相談することが大切です。
3-2.薬物療法による副作用
血糖値をコントロールするためにインスリン注射をしたり、血糖値を下げるための薬を服用したりしている場合は、必要以上に血糖値が下がり、低血糖を引き起こします。
抗不整脈薬などを服用しても低血糖を起こすケースがあるとされています。
特に血糖値を下げる薬を服用している人は、低血糖になるリスクがあることも常に意識しておきましょう。
低血糖の症状が出た場合は早めの予防が重要です
低血糖の原因は、食事からの糖分を過剰に控えたり、激しい運動を長時間続けたりといった生活習慣によるものや、血糖値をコントロールするための薬による副作用などがあります。
低血糖になると、冷汗が出る、気持ち悪くなる、動悸がする、寒気がする、手足が震える、頭が痛いなど、さまざまな症状が現れます。
場合によっては命に関わることもあるため、普段感じない症状がある場合は、早めの予防を心がけましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。
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