1.人体におけるカリウムの役割
まずはカリウムにどのような働きがあるのかを解説します。
カリウムは、ヒトにとって必須ミネラルの一つであり、体内で浸透圧の調整をするための重要な因子です。
また、酸・塩基平衡を保つ働きがあり、筋収縮や神経伝達にも関与しています。
さらに、日本人はナトリウムの摂取量が海外に比べて多い傾向がありますが、カリウムはナトリウムを体の外に出す働きがあります。そのため、塩分を摂りすぎたときにカリウムを摂取することは効果的といえます。
カリウムは通常の食事をしていれば、あまり不足することはないといわれています。ただし、下痢が続いた場合や、嘔吐してしまったとき、薬の影響などの理由で排泄量が多くなると不足することがあります。
欠乏症にみられる症状として、気力がでない、食欲がないなどが挙げられます。また、筋力が低下したり、骨格筋が麻痺したりすることもあるため、欠乏しないよう配慮するとよいでしょう。
なお、カリウムには、一日の目安量が設定されており、成人男性では一日あたり2,500㎎、成人女性は一日あたり2,000㎎です。
2.【調理法別】さつまいもに含まれるカリウム量
では、さつまいもにはどのくらいのカリウムが含まれているのでしょうか。
ここでは、さつまいもに含まれているカリウム量を、調理方法別にご紹介します。
さつまいもを調理するときに参考にしてみてください。
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・皮なし(生):100g中480mg(126kcal)
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・皮なし(蒸し):100g中480mg(131kcal)
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・皮なし(焼き):100g中540mg(151kcal)
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・皮付き(生):100g中380mg(127kcal)
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・皮付き(蒸し):100g中390mg(129kcal)
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・皮付き(天ぷら):100g中380mg(205kcal)
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・蒸し切干:100g中980mg(277kcal)
3.さつまいもに含まれるその他の栄養素
ここからは、さつまいもに含まれるその他の栄養素と、期待できる働きなどを紹介します。
3-1.食物繊維
食物繊維は消化されない栄養素ではありますが、整腸作用など体にとって重要な働きをしています。
さつまいもは、食物繊維のうち不溶性食物繊維と水溶性食物繊維、どちらも豊富に含んでいます。
水溶性食物繊維はその名のとおり水に溶けやすく、体内では腸での栄養の吸収速度をゆるやかにして食後血糖値の上昇を抑えてくれる働きがあります。
また、コレステロールやナトリウムを体の外に出すことで、血中コレステロール値の低下や高血圧予防にも役立ちます。
不溶性食物繊維は、水分を吸収することで便の量を増やす働きがあります。便が増えることで大腸に刺激を与え、便通にも効果があります。
さらに食物繊維はカロリーが低いため、食事に取り入れることで肥満予防につながり、生活習慣病である糖尿病や高血圧などにも有用です。
3-2.ビタミンC
さつまいもにはビタミンCも豊富に含まれています。
ビタミンCはアスコルビン酸ともよばれる水溶性ビタミンの一つであり、ヒトの体内では合成されないため食事から摂取する必要があります。
ビタミンCはコラーゲンの生成のために必須の栄養素です。ビタミンCが不足した場合はコラーゲンが生成されず、血管がもろくなって出血しやすくなることがあります。
また、ビタミンCの役割として、歯や毛細血管、軟骨を正常に保つために働き、ストレスや風邪などに対処するための抵抗力にも関与しています。
近年では、抗酸化作用という活性酸素の活動を抑える働きも期待されています。
活性酸素は老化や免疫機能の低下の原因を作ります。もともとヒトには活性酸素を抑える機能がありますが、この機能は年齢とともに低下してしまうことがわかっています。
そこで、ビタミンCなどの抗酸化物質により活性酸素を抑える働きが注目されているのです。
このようにさつまいもには、カリウム以外にも体に必要なさまざまな栄養素が含まれています。また、さつまいもは加熱してもビタミンC が60%以上は残る点もうれしいポイントです。
さつまいもでカリウムを適量摂取するようにしましょう
カリウムは体内のナトリウムを体外に出す働きがあります。
ナトリウムを摂りすぎるとむくみや高血圧の原因にもなりやすいため、これらの予防のためにもカリウムを適量摂れるとよいでしょう。
さつまいもにはカリウムのほかにも食物繊維やビタミンCも含まれているので、今回紹介した調理法別のカリウム量も参考にして日々の食事に取り入れることをおすすめします。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医