1.老化について
まずは老化とはどのようなものか、また、その原因についてご説明します。
1-1.そもそも老化とは?
老化とは、成熟期以降に加齢とともに生理機能が低くなってしまうことです。
さまざまなストレスに対して体の適応能力が下がり、呼吸機能の低下、心臓や腎機能など臓器への影響が起こります。
一般的には40歳代から老化の進むスピードが速くなると考えられていますが、個人差があり、同じ年齢であっても老化の進行具合はさまざまです。
1-2.老化の原因
老化の原因についてはいくつか考えられ、そのなかの一つとして、活性酸素により体に錆が生じてしまうことが挙げられます。
活性酸素とは、体内に取り込まれた酸素の一部が異常に活性化されたもので、過剰になると体内の成分と反応して細胞を傷つける原因になります。また、たばこ、紫外線、激しい運動やストレス、排気ガスなども活性酸素が蓄積する原因です。
体内には過剰な活性酸素から体を守る抗酸化酵素が存在するものの、その働きは40歳代で弱くなりやすくなることがわかっています。
しかし、食べ物などによって抗酸化力を補うことで活性酸素を除去し、老化の進行を緩やかにすることができるのです。
2.抗酸化作用のある栄養素
老化を進行させる原因になる活性酸素の発生や作用を抑えるには、抗酸化作用のある物質の摂取が必要です。
ここでは抗酸化作用を持つ栄養素を紹介します。
2-1.ビタミンA(β-カロテン)
-カロテンは抗酸化力が高く、緑黄色野菜などに含まれている栄養素です。必要なときに体内でビタミンAに変わることが知られており、油と一緒に摂ることで吸収率が上がります。
体の成長にとって大切な栄養素でもあり、レチノールと呼ばれることがあります。
2-2.ビタミンC
ビタミンCも抗酸化力の高い栄養素であり、野菜や果物などに多く含まれています。
体内に吸収されやすいものの、必要以上のものは尿から排出されやすく、さらに体内でも生成されないため、毎日欠かさずに摂ることが大切です。
別名アスコルビン酸とも呼ばれ、鉄分の吸収やコラーゲン形成などもサポートする成分です。
2-3.ビタミンE
ビタミンEは植物性の油やナッツ、かぼちゃなどに含まれている栄養素です。
抗酸化力が高く、細胞膜のリン脂質が酸化するのを防いで細胞を守る役割があります。
先に紹介したビタミンAやビタミンCを一緒に摂取することで、抗酸化力についてより高い効果を見込めるでしょう。
2-4.ポリフェノール
ポリフェノールには、赤ワインに含まれるアントシアニン、大豆に含まれるイソフラボンをはじめ、5,000以上もの種類があり、その多くが抗酸化作用を持つとされています。また、活性酸素の除去だけでなく、脂肪の吸収抑制も期待できる成分です。
3.老化予防が期待できる食事を紹介
ここでは抗酸化力の高い食材を使ったレシピを紹介します。
3-1.にんじんのグレープフルーツマリネ
【材料】2人分
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・にんじん 1本
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・グレープフルーツ 1個
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・揚げ油 適量
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・塩 適量
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・砂糖 適量
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・オリーブ油 大さじ1~1.5
オリーブオイルの分量はグレープフルーツの果汁の多さに合わせて調節してください。
【作り方】
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1. にんじんを輪切りか、大きければ半月切りにして、160~170度の油で素揚げします。
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2. グレープフルーツは果肉を取り出して、大きいものは半分に切ります。果肉を取ったあとの薄皮の果汁はしっかりしぼります。
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3. ボウルに2でしぼった果汁、塩、砂糖、オリーブ油をよく混ぜ合わせ、素揚げしたにんじんと、グレープフルーツの果肉を加えて10分ほど置き、完成です。
3-2.丸ごと玉ねぎのトマト煮込み
【材料】2人分
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・玉ねぎ 小2個
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・ベーコン 2枚
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・干ししいたけ 3枚
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・ドライプルーン 4個
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・赤ワイン 80ml
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・トマトの水煮缶 1/2缶(200g)
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・塩 適量
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・こしょう 適量
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・粉チーズ 適量
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・パセリ(みじん切り) 適量
[A]
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・トマトケチャップ 大さじ1
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・顆粒コンソメ 小さじ1
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・水 100ml
【作り方】
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1. 玉ねぎは皮をむいて上から切り込みを入れ、1個ずつラップで包んでレンジで加熱します。レンジは500Wの場合8分~10分が目安です。
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2. ベーコンは1cm幅に切ります。干ししいたけは全体がかぶるくらいのぬるま湯に浸してやわらかくなるまで戻したら、5~6mm幅にスライスします。
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3. 厚手の鍋に赤ワインを入れて熱し、煮立ったらトマトの水煮缶を潰しながら加えます。材料[A]と2、ドライプルーン、玉ねぎを入れて落し蓋をし、弱火で15分ほど煮込んだら塩とこしょうで味を調えます。
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4. 器に盛り付け、粉チーズとパセリをかければ完成です。
赤ワインを煮立たせるとアルコールが飛んで旨みが残り、コクが深くなります。
老化予防は抗酸化力の高い食事で対策しましょう
老化の原因の一つが活性酸素であること、抗酸化力の高い成分や食品、それらを用いたレシピについて紹介しました。
活性酸素は老化だけでなく、生活習慣病などの原因にもなるため注意が必要です。一方で、ストレスやたばこ、食品添加物など活性酸素が発生する要因は身近なところに潜んでいます。このように、何が原因で活性酸素が増えるのかを正しく知り、できるだけ余分な活性酸素を発生させないように努めることが、老化の進行を遅らせるには大切です。
また、抗酸化力を補うことでも老化の進行を遅らせることができます。抗酸化作用が高い栄養素にはビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどがあり、これらは比較的日常生活に取り入れやすい食材に豊富に含まれているものです。
今回紹介したレシピをはじめ、アレンジがしやすい食材をうまく使って、毎日の食事に取り入れてみてください。老化を防ぎ、若々しく健康的な日々を過ごしましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。