標準体重とは?標準体重の意味と肥満・痩せの判断基準を解説

自分の体重が標準体重よりも重い・軽いなど、気にしたことはあるでしょうか。

太り過ぎが生活習慣病の原因となることは知られていますが、痩せ過ぎも生殖機能やメンタルなどに悪影響をおよぼすとされています。

今回は、標準体重を維持することの大切さや、「肥満」「痩せ」の判断基準について説明します。自分の標準体重を知り、今後の健康づくりに活かしましょう。

1.標準体重とは?

標準体重とは、「統計上、肥満と関連性のある脂質異常症や高血圧・糖尿病などの病気が最も発症しにくい体重」とされています。つまり、自分の健康維持に最適な体重のことです。

標準体重の指標は、国際的に用いられている体格指数「BMI(Body Mass Index)」の値が22のときとされており、次の式で求めることができます。

標準体重(kg)=身長(m)の2乗×22

標準体重を維持している人は、痩せや肥満の人に比べて「心と体に障害がなく過ごせる期間」が1.3年~1.6年も長いという研究結果が報告されているほど、標準体重の維持は重要です。

ただし、病気や体質などの影響で標準体重の維持が難しい場合もあるので、担当医師の指示にしたがって、自分に合った体重を維持するようにしましょう。

2.肥満・痩せの判断基準

肥満・痩せを判断する際は、標準体重と同じく「体格指数(BMI)」が用いられ、BMIは以下の式で求められます。

体格指数(BMI)=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

肥満・痩せ、それぞれの判断基準は以下のとおりです。

2-1.肥満の場合

「肥満」とは単に体重が多いだけでなく、体脂肪が過多になっている状態のことです。

日本肥満学会では、「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上のもの」を肥満と定義しており、肥満度の分類は以下のように示されています。

BMI(kg/m²) 判定
18.5未満 低体重(痩せ)
18.5以上25.0未満 普通体重
25.0以上30.0未満 肥満(1度)
30.0以上35.0未満 肥満(2度)
35.0以上40.0未満 肥満(3度)
40.0以上 肥満(4度)

参照:日本肥満学会「肥満度分類

しかし、BMIが25以上だからといって、必ずしも「肥満」だと判断することはできません。なぜなら、BMIでは体重が重い要因が「脂肪」のか「筋肉」なのか、区別がつかないからです。

また、BMIが普通体重の範囲内であっても、脂肪が多く筋肉などが少ない(体脂肪率が高い)場合は「隠れ肥満」と呼ばれます。隠れ肥満は、近年若い女性に増えています。

肥満は、脂質異常症や糖尿病、高血圧など生活習慣病のリスクを高めるため、注意が必要です。

2-2.痩せの場合

「痩せ」とは、体重が少ない状態のことです。

具体的には、上の表のとおり、体格指数(BMI)が18.5未満の場合を指します。また、標準体重を2割以上下回る場合や、6カ月以内に1割以上の体重減少がある場合は、病的な痩せ状態の「るい痩(そう)」と判断されます。

近年は、若い女性を中心に「痩せたい」という願望が強い傾向にあり、栄養バランスが偏った食事、極端に少ない量の食事などの誤ったダイエットを行なう人が増えているといわれています。このような食事では必要な栄養を摂取できず、倦怠感や疲れの原因にもなりかねません。

また、栄養不足は卵巣の機能低下を招き、妊娠や胎児の健康にまで悪影響をおよぼす危険性もはらんでいます。

自分の標準体重を指標にし、本当にダイエットが必要かどうかを判断することが大事です。

3.体重管理で大切なこと

巷では、“糖質オフダイエット”をはじめとする、いろいろなダイエットのブームが訪れます。ダイエットや体重コントロールが本当に必要なのか見極めるには、BMIを指標の一つにしましょう。

下記に示したのは、年代別の目標BMIです。

年齢(歳) 目標BMI
18~49 18.5~24.9
50~69 20.0~24.9
70以上 21.5~24.9

自分の体重が目標BMIの範囲内にある場合は、体重コントロールをする必要はないでしょう。しかし、お腹周りが基準値(男性85cm・女性90cm)を超えている場合、血糖や血圧が高めな場合、気力や体力が前よりなくなったと感じる場合は、食事の内容や生活習慣を見直す必要があります。

減量する際は、主食を抜いたり極端に食事量を減らしたりするのではなく、主食・主菜・副菜がそろった食事を心がけ、お菓子などは控えるようにしましょう。さらに、揚げ物を控えて煮物にするなど、油の少ない料理がおすすめです。

体重の減少が3~4%ほどと緩やかであっても、健康効果があるといわれています。

また、痩せの場合であっても、偏った食生活による栄養不良は、倦怠感や疲れなどの原因になります。栄養バランスの良い食事を、しっかり3食食べることが大切です。

標準体重を保っていつまでもイキイキと過ごそう

近年は、食や生活スタイルが多様化していることもあり、食べ過ぎや運動不足から、特に中年男性の肥満が目立っています。しかし一方で、若い女性を中心に、痩せる必要のない人までダイエットに取り組んでいる現状もあります。

体重は、太り過ぎ・痩せ過ぎどちらの場合も健康に悪影響を与えるので、注意が必要です。他人の体型と比べるのではなく、自分の標準体重を基準にして健康な状態を目指しましょう。

健康的な体型を保つには、栄養をバランス良く摂取する必要があるため、生活習慣を見直すことが必要です。毎日の積み重ねが、イキイキとした未来へつながるでしょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医