三大栄養素とは?働きと摂取量の目安を栄養素別に解説

みなさんは三大栄養素と聞いて、どのような栄養素をイメージしますか?

三大栄養素は体づくりやその他の栄養素の吸収促進、特定の必要な部位のエネルギー源になるなど、私たちの体内でさまざまな役割を担っているものです。

これらの栄養素は、体内で不足したり過剰になったりすると体に悪影響をもたらします。

今回は三大栄養の働きや摂取量の目安を栄養素別に紹介していくので、今後の食生活の参考にしてください。

1.三大栄養素とは

食物中に含まれている体に必須な栄養素のうち、エネルギー源となる「タンパク質・脂質・炭水化物」を三大栄養素といいます。

エネルギー産生栄養素とも呼ばれ、生活を営むために摂取すべきとされているものです。多くの人はバランス良く摂取できていますが、外食が多い場合は注意する必要があります。

2.タンパク質の働きと摂取量の目安

体づくりをするうえで重要なタンパク質は、複数のアミノ酸が結合した栄養素です。

タンパク質と聞くと筋肉を連想する方が多いと思いますが、その他にも体を構成する重要な働きを担っています。

タンパク質のおもな働きと、一日摂取量の目安を確認していきましょう。

2-1.タンパク質のおもな働き

タンパク質は筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの体を構成したり、ホルモン・酵素・抗体などの体の機能を調整したりする栄養素です。

体のあらゆる部分がタンパク質でできており、生体乾燥重量の約50%を占めるといわれています。

タンパク質はその他の三大栄養素とは異なり、約16%もの窒素を含むことが特徴として挙げられます。

タンパク質の構造や働きは種類によって異なるものの、どれもアミノ酸が約50~1,000結合したものです。

2-2.タンパク質の一日摂取量の目安

タンパク質の一日の目安摂取量を見ていきましょう。

男性(g/日)

  • ・0~5カ月:10

  • ・6~8カ月:15

  • ・9~11カ月:25

  • ・1~2歳:20

  • ・3~5歳:25

  • ・6~7歳:30

  • ・8~9歳:40

  • ・10~11歳:45

  • ・12~14歳:60

  • ・15~64歳:65

  • ・65歳以上:60

女性(g/日)

  • ・0~5カ月:10

  • ・6~8カ月:15

  • ・9~11カ月:25

  • ・1~2歳:20

  • ・3~5歳:25

  • ・6~7歳:30

  • ・8~9歳:40

  • ・10~11歳:50

  • ・12~17歳:55

  • ・18歳以上:50

食品に含まれるタンパク質の体内での利用率は、アミノ酸の構成によって異なります。

タンパク質の含有量が多く、利用率が高いものが良質なタンパク質とされており、卵類・肉類・豆類などが代表例です。

タンパク質が不足すると、成長障害や体力・免疫機能の低下などが起こる可能性があり、食事でのタンパク質摂取量が低下しがちな高齢者のなかでも問題となっています。

3.脂質の働きと摂取量の目安

中性脂肪やコレステロールなど、肥満のイメージがある脂質は、ビタミンの吸収やエネルギーにも関わる重要な栄養素の一つです。

脂質のおもな働きと、一日摂取量の目安を確認しましょう。

3-1.脂質のおもな働き

脂質は脂肪酸に分解されて、おもにエネルギー源として使用される栄養素です。

また、細胞膜の主要な構成成分であり、カロテノイドや脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収を助けます。

体内で余った脂質は中性脂肪として蓄えられますが、摂取量が過剰になると肥満の原因となり、生活習慣病を招く可能性があるため注意が必要です。

3-2.脂質の一日摂取量の目安

脂質の摂取量目安は男女ともに摂取カロリーの20~30%とされており、その他にも以下のように脂肪酸の目安量が定められています。

男性(n-3系脂肪酸)(g/日)

  • ・18~29歳:2.0

  • ・30~49歳:2.0

  • ・50~64歳:2.2

  • ・65~74歳:2.2

  • ・75歳以上:2.1

女性(n-3系脂肪酸)(g/日)

  • ・18~29歳:1.6

  • ・30~49歳:1.6

  • ・50~64歳:1.9

  • ・65~74歳:2.0

  • ・75歳以上:1.8

男性(n-6系脂肪酸)(g/日)

  • ・18~29歳:11.0

  • ・30~49歳:10.0

  • ・50~64歳:10.0

  • ・65~74歳:9.0

  • ・75歳以上:8.0

女性(n-6系脂肪酸)(g/日)

  • ・18~29歳:8.0

  • ・30~49歳:8.0

  • ・50~64歳:8.0

  • ・65~74歳:8.0

  • ・75歳以上:7.0

不飽和脂肪酸は植物や魚の油に含まれる成分で、血液中の中性脂肪やコレステロールを低下させる働きがあります。ただ一方で、動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸は血液中の中性脂肪やコレステロールを増加させるため、バランス良く摂取するようにしましょう。

食事の摂取量が少なくなって脂質が不足すると、エネルギーが不足して疲労を感じやすくなったり、体の抵抗力が低下したりする原因となります。

さらに、脂質が不足すると脂溶性ビタミンが吸収されにくくなり、ビタミンが欠乏する可能性があるため注意が必要です。

4.炭水化物の働きと摂取量の目安

炭水化物には大きく分けて2つの種類があり、おもに体内でエネルギー源として働く役割があります。

不足すると体の重大な異常につながる可能性もあるため、しっかりと目安摂取量を確認しておきましょう。

4-1.炭水化物のおもな働き

炭水化物には、体内でエネルギー源になる糖質と、体内の消化酵素で消化することができない食物繊維があります。

糖質は、脳・神経組織・赤血球・腎尿細管・精巣・酸素不足の骨格筋などの、通常はぶどう糖しかエネルギー源として利用できない組織に、ぶどう糖を供給する働きをする栄養素です。

過剰に摂取した場合、エネルギー消費されなかった糖質は中性脂肪として体内に蓄積し、肥満や生活習慣病の原因となります。

4-2.炭水化物の一日摂取量の目安

炭水化物の摂取量目安は、男女ともに摂取カロリーの50~65%といわれています。

糖質が体内で不足すると、ぶどう糖をエネルギー源としている組織がエネルギー不足となり、疲れやすくなったり集中力が低下したりします。

また、脳や神経でぶどう糖が不足すると、意識障害を引き起こす可能性があるため注意しましょう。

三大栄養素をバランス良く摂取しよう

今回は、三大栄養素の働きと摂取量の目安を紹介しました。

人間の体でエネルギー源となる必要不可欠な三大栄養素は、それぞれ食事から摂取する必要があります。

普段の食事から何気なく摂取している栄養素でも、ファストフードなど外食の機会が多いと、栄養素のバランスが崩れてしまい、欠乏症や過剰症に陥るかもしれません。

栄養素をバランス良く摂取するためにも、一日の摂取カロリーに対するタンパク質・脂質・炭水化物の目安の摂取割合を意識してみてください。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医