1.納豆に含まれるカリウムの量
納豆に含まれるカリウムの量は、糸引き納豆で100g中660mg、挽きわり納豆で100g中700mgです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、生活習慣病の予防を目的とした一日のカリウム摂取の目標量は、成人男性3,000mg以上、成人女性2,600mg以上とされています。
カリウムは人体に欠かせない栄養素であり、浸透圧の調整やナトリウム(塩分)の排出などで役割を果たします。塩分の摂りすぎを調整するうえでも、目標量のカリウムを適切に摂取していきましょう。
なお、医師から腎機能の低下などによりカリウム摂取量を制限されている方や、血をサラサラにするお薬を服用していて納豆の摂取を禁止されている場合には、医師の指示に必ず従ってください。
2.納豆とほかの食べ物に含まれるカリウムの量を比較
カリウムは果物や野菜、いも、豆類など、さまざまな食品に含まれています。おもな食品に含まれるカリウムの量は以下のとおりです。
食品名 |
100gあたりのカリウム量(mg) |
糸引き納豆 |
660 |
挽きわり納豆 |
700 |
ひじき |
6400 |
乾燥わかめ(素干し) |
5200 |
切り干し大根(乾) |
3500 |
さつまいも(蒸し切干) |
980 |
バナナ(生) |
360 |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
このように比較してみると、納豆のカリウム量は特別に多いというわけではないかもしれません。しかし、カリウムは水に溶ける性質があるため、茹でる、煮るなどの調理をすると食材から一部流出してしまうことが知られています。その点、納豆は煮たり茹でたりせずにそのまま食べられるという点がメリットです。
納豆のほかにも、生野菜や生の果実はカリウムのロスを抑えて効率的に摂取することが可能です。味噌汁などの塩分が多い食事をとってしまい、ナトリウムの過剰摂取が気になる場合には、カリウム豊富な食材を意識的に摂ると良いでしょう。過剰に摂取してしまったナトリウムの排出を促す効果が期待できます。
3.納豆に含まれるカリウム以外の栄養素
納豆は栄養豊富な食材であり、以下のようにさまざまな栄養素を含んでいます。
納豆に含まれる栄養素 |
納豆100gあたりの含有量 |
糸引き納豆 |
挽きわり納豆 |
タンパク質 |
16.5g |
16.6g |
脂質 |
10.0g |
10.0g |
炭水化物 |
12.1g |
10.5g |
食物繊維 |
6.7g |
5.9g |
ナトリウム |
2mg |
2mg |
カルシウム |
90mg |
59mg |
マグネシウム |
100mg |
88mg |
亜鉛 |
1.9mg |
1.3mg |
鉄 |
3.3mg |
2.6mg |
ビタミンB2 |
0.56mg |
0.36mg |
ビタミンB6 |
0.24mg |
0.29mg |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
なお、納豆に含まれるエネルギーは、糸引き納豆で100g あたり190kcal、挽きわり納豆で100g あたり185kcalです。
納豆などの大豆製品には良質なタンパク質が含まれており、ヒトの体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく摂り入れることができます。また、ナトリウムの含有量が2mgと少なく、塩分相当量は0gであるため、塩分控えめの食生活を送りたい方にもおすすめです。しょうゆをかけすぎてしまうと塩分の過剰摂取につながるため、味付けは薄くして素材の味を楽しみましょう。
納豆をおいしく食べてカリウムを摂取しましょう
納豆はカリウムやタンパク質、食物繊維などの栄養素を手軽に摂取できる食品です。挽きわり納豆1パックで摂れるカリウムの量はおおよそ210~350mgで、カリウムの一日あたりにおける摂取目標量は男性3,000mg以上、女性は2,600mg以上になります。
納豆は特有の香りとねばつきがあり、苦手な方もいる食品ですが、体にうれしい栄養がたくさんあります。みなさんもぜひ、普段の食事に納豆をプラスしてみてはいかがでしょうか。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。